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何度来ても飽きさせない魅力がある。「日本の旬」担当者が語る、京都・奈良・滋賀の新たな魅力

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1000年以上の時を経て、日本の歴史や文化、伝統が現代にも引き継がれる京都・奈良・滋賀。1998年から続く、JTBの国内観光地活性化を目的としたキャンペーン「日本の旬」では、今年2024年の秋冬にこのエリアを特集します。

いま改めて知りたい京都・奈良・滋賀の魅力とは何なのか。今年初めての実施となる奈良の「地元ガイドとめぐる 吉野山早朝満喫プラン」を体験しながら、「日本の旬」担当者に話を聞きました。

西日本仕入商品統括部長 内田 千寿

1991年入社。当時の吉祥寺北口支店で店頭営業、渉外営業に従事し、結婚を機に2002年より関西へ。和歌山支店で15年国内を中心とした店頭営業に従事。2017年より現在所属する仕入造成個所に異動し、施設営業、商品販促などのマネジメント職を経て2024年4月より現職。長年お客様と直接接した経験や感覚を大切にしている。

日本の魅力を再発見。JTBキャンペーン「日本の旬」とは

「吉野山早朝満喫プラン」で訪れる世界遺産・金峯山寺(きんぷせんじ)

――まずは、JTBのキャンペーン「日本の旬」について教えてください。

「日本の旬」とは、JTBが1998年から開催してきた歴史のあるキャンペーンです。「日本の魅力を再発見」をテーマに、半年ごとに1つのエリアに焦点を当て、国内の観光地活性化への貢献を目指すことをコンセプトにしています。

2024年の春夏は北陸エリアで実施していましたが、秋冬は京都・奈良・滋賀エリアとなります。北野天満宮の早朝貸切拝観プランや酒蔵見学、世界遺産・薬師寺の夜の特別拝観や奈良市内でのナイトウォーク、彦根玄宮園のライトアップ優先入場や三井寺の夜間拝観など、JTBならではの体験を多くご用意しています。

――「日本の旬」ならではの取り組みとは、どのようなものなのでしょうか。

金峯山寺の蔵王堂境内

「日本の旬」でもっとも大切にしていることは、その地域の方々と共にお客さまに届ける新たな体験を生み出すこと。そして1回限りではなく、継続的な観光資源となるように仕組みを整えていくことです。

例えば、現在日本国内では二次交通の不足が課題となっています。新幹線で近くまでやって来たものの、タクシーやレンタカー不足により、その後の足が確保しづらいという問題ですね。なかには運転しないお客様も多くいらっしゃいますから、「ここに行ってみたい!」と思っても選択肢から外さなければいけない。それは非常に残念なことです。

そこで「日本の旬」をきっかけに、例えば最寄りの駅から目的地までのシャトルバスを開発したとしましょう。そのプランがうまく機能し、行きたいところに行けるようになれば、その後も事業として継続させたり、同様のプランを他のエリアでも展開できるかもしれません。また、逆に住民の方と観光客の方の導線を分けることが必要なエリアもあります。そのようなエリアではこのような取り組みが生活導線での混雑緩和につながり、生活と観光の共生を可能にするという役割も果たすことができると思っています。

――つまり「日本の旬」をきっかけに観光客を受け入れられる体制を作っていく、ということでしょうか。

おっしゃる通りです。一度きりのキャンペーンでは、「日本の旬」の本来の目的である「観光地活性化」は達成できるものではないと思っています。

JTBのなかでも特に歴史があり知名度もある「日本の旬」を1つの入り口として、私たちJTBと観光協会・DMO※や事業パートナーの皆様、地域の方々と密にコミュニケーションをとり、お客様に喜んでいただけるような魅力ある体験をその後も提供し続けられる仕組みを作る。そのためには、地域の皆様の協力が欠かせません。JTBの地域交流の精神が色濃く反映されている点が「日本の旬」らしさだと思っています。

※ Destination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の頭文字の略。観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のこと。

京都・奈良・滋賀は「周遊」がテーマ

――2024年秋冬のキャンペーンは「京都・奈良・滋賀」エリアです。今回、この地域で実施する目的を教えてください。

ご存知の通り、特に京都は国内外から多くのお客様が訪れる観光地であり、修学旅行も含めると一度は足を運んだことがあるお客様が非常に多いと思います。

その一方で、奈良の中南部に位置する奥大和や京都の日本海側、滋賀の温泉地など、関西に住む方でもあまり行ったことがない魅力的な場所もたくさんあります。今回の「日本の旬」のテーマは「周遊」。人気のある観光地だけではない魅力を知っていただきたいです。

――たしかに一度行ったことがある方でも、初めての体験となりそうなプランが多く用意されていますね。

京都・奈良・滋賀にはそれぞれの地域の課題がありますが、代表的なものとして挙げられるのが「一極集中化」の問題です。京都の観光名所には海外から多くのお客様に足を運んでいただいていますが、そのぶん混雑が苦手な方からすると「1回行ったことあるし、しばらく行かなくていいかな…」と京都を避ける国内旅行者も少なくないのではないかと。

他にも桜や紅葉など、多くの人がその魅力に気づいて足を運んでくれることは決して悪いことではありませんが、「混みすぎていて楽しめなかった」という記憶だけで終わってしまう方がいたら、とても残念ですよね。

そのため今回の「日本の旬」では、場所を中心地から少しずらしたり、混雑時を避けたりすることで、お客様により快適にこの地域を楽しんでいただけるよう工夫しています。

特別な体験と地域の課題解決を両立する「吉野山早朝満喫プラン」

法螺貝を吹く金峯山寺の僧侶

――本日は、奈良の「吉野山早朝満喫プラン」を体験させていただきました。

「吉野山早朝満喫プラン」では、毎朝6時30分から行われる金峯山寺の朝座勤行(あさざごんぎょう)を見学することができます。飛鳥時代から続く金峯山寺の厳かな風景と、法螺貝や太鼓が鳴り響く音は迫力があります。

見学の後は徒歩では行きにくい吉野山一番のビュースポット「花矢倉(はなやぐら)展望台」までタクシーで移動します。展望台からは、奈良の山並みや吉野の街並みが見渡せる絶景が楽しめます。前日に雨が降り気象条件が重なったときには、とても幻想的な雲海を眺められることも。

展望台では温かいお飲み物と、吉野の宿泊施設「吉野荘 湯川屋」の若女将自家製「ミニ葛ベーグル」をいただきながら、早朝の澄んだ空気とここでしか見られない景色をご堪能いただければと思っています。

運が良ければ雲海を見られることも

「吉野荘 湯川屋」の若女将自家製「ミニ葛ベーグル」と、温かいお飲み物

――お寺に朝日が差し込む景色や朝座勤行を間近で見学でき、大変貴重な経験でした。

「吉野山早朝満喫プラン」は今回の「日本の旬」での初めての取り組みです。お寺の皆様はもちろん「吉野荘 湯川屋」の皆様、事業パートナーの皆様など、さまざまな方にご協力いただきお客様に届けられることとなりました。このように「日本の旬」をきっかけに、新たに吉野の皆様とのつながりを広げることができたことも、とても嬉しく思っています。

また、私が「吉野山早朝満喫プラン」をご紹介したかったのには、実は他にも理由があるんです。

今回の「日本の旬」で早朝や夜のプランが多いのは、混雑時を避けたり朝座勤行のようにその時間にしかできない体験を提供する目的のほか、その場所で宿泊することで短時間の滞在では気がつかないような魅力に気付いていただきたいという想いがあります。

宿泊するということは、その日の夕食や翌日の朝食をその場所で食べるきっかけになりますよね。時間に余裕があれば、近くの温泉でゆったり過ごしていただけるかもしれません。このように、その場所での滞在時間を増やす上で「宿泊」というのはすごく重要な要素なんです。

金峯山寺近くの宿泊施設「吉野荘 湯川屋」の若旦那と

――確かに宿泊すると、時間的にも気持ち的にも余裕が生まれてゆったり過ごせそうな気がします。

そうなんです。今回の「日本の旬」で早朝や夜のプランが多いのは、混雑時を避けたり朝座勤行のようにその時間にしかできない体験を提供する目的のほか、その場所で宿泊することで短時間の滞在では気がつかないような魅力に気付いていただきたいという想いがあります。

お客様が快適に旅をして、地域にもしっかりと還元されること。そして、私たちも今までつながりがなかった地域とも新たな関係性を築き、その地域ならではの魅力の発信をお手伝いできること。そういったwin-winの関係性を作っていくことが、特にこの「日本の旬」を通してJTBが取り組んでいくべきことだと感じています。

京都・奈良・滋賀には、何度来ても飽きない魅力がある

――京都・奈良・滋賀での「日本の旬」キャンペーン実施にあたり、感じたやりがいや大変だったことはありますか。

すでに来たことのあるお客様にも、いかに新鮮な体験をお届けできるか。それがこの地域ならではの難しさでもあり、やりがいでもあると感じています。

「1回行ったことがあるからもういいや」ではなくて、「また行きたい」と思っていただけるか。Webでの情報発信の強化や、店舗スタッフにも研修旅行としてこのプランの魅力を存分に感じてもらいお客様への紹介につなげるなど、JTB全体でさらに力を入れていきたいと思っています。

――お客様に京都・奈良・滋賀をどのように楽しんでいただきたいですか。

1回目の旅行であれば主要なお寺を回るので精いっぱいだったとしても、2回目以降なら余裕を持ってこのエリアを満喫できると思いますし、有名なお寺をもう一度見るにしても時間帯や季節を変えるだけで、ガラッと印象も変わると思います。

先日「日本の旬」のプランの1つである奈良ナイトウォークに参加しましたが、奈良公園の中腹に燈籠が灯っている景色はとても幻想的でした。有名な観光地のまた違った顔を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。

――あらためて、JTBが観光地活性化に取り組む意義をお聞かせください。

日本の人口は減少傾向にあり地域産業の衰退が懸念されています。その地域の文化や資源を未来に残すためには、観光地産業を一過性のものではなく、継続的なものにしていく視点が大切です。

来年は「大阪・関西万博」が開催されますから、世界的にもこの地域が注目されるタイミングですよね。万博を目的に来ていただけることはもちろんうれしいですが、せっかく足を運んでくださるのなら、中心地以外の魅力を知り「次はあそこに行きたい」と思っていただける機会にしたい。

京都・奈良・滋賀には、何度来ても飽きさせない魅力がありますから、「日本の旬」を通じてJTBだからこそできる素晴らしい体験を届けていきたいです。

写真:斉藤菜々子
文: 佐藤伶
編集:花沢亜衣

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