安全と地域貢献への想いを胸に。JTBグループの一員として広島空港を支える縁の下の力持ち
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JTBグループには、旅行業だけではなく、さまざまな事業を担っている会社があります。その一つが中国ターミナルサービス株式会社(以下CTS)。広島の空の玄関口である広島空港の業務を支えています。
今回は、この広島空港を舞台に活躍する二人の社員にインタビュー。空港ならではの仕事の魅力や、地域貢献への想いを聞いていきます。
中国ターミナルサービス株式会社 空港サービス事業部 幸島 孝至
地元スポーツ施設でのスポーツ指導に従事した後、2006年入社。航空機周辺の地上業務、貨物郵便、航空便のコントロール業務などの航空業務を一通り経験し、2020年に「東広島芸術文化ホールくらら」副館長として出向。2023年9月に現職に戻り、空港サービス事業と共に瀬戸内産ライム販売事業に奮闘している。
中国ターミナルサービス株式会社 旅客サービス課 本田 優美
家電量販店での接客・事務職での社会人経験を経て、2023年10月入社。ANAグランドスタッフとして、搭乗手続きや旅客動線の保安確認を始めとする旅客サービスを担当。CTS社内の社員投票で決定する「2023旅客部門CTSベストヤングプレーヤー」では、入社半年ながら2位の得票数を獲得するほど人望が厚い、期待の若手社員。
異業種からの転身。新たな挑戦で自身の可能性を広げる
——中国ターミナルサービス株式会社「CTS」について教えてください。
幸島:CTSはJTBの100%子会社で、 広島空港でANA(全日本空輸株式会社)の業務を総代理店として請け負っている会社です。チェックインカウンターや搭乗口での旅客サービス、お客様の手荷物や貨物・郵便物の取り扱い、整備補助など、ANAが広島空港で行うほぼすべての業務を受託しています。
加えて、私が所属する空港サービス事業部では、広島空港の中で運営している案内所、ラウンジ、あとは全国展開している地元の有名パン屋さんの店舗運営業務も受託しています。
JTB関連の仕事でいうと、 空港の斡旋業務を行っています。旅行で空港にお客様が来られたときに、スムーズにチェックインから手荷物の受付、保安検査場まで見送るという業務です。JTBグループの一員であるというと意外に思う方もいるかもしれませんが、空港という場所は旅行者とJTBを結ぶ接点。サービス品質の向上を通じてJTBブランドの価値向上にも貢献していると自負しています。
出発前の飛行機に荷物を積むCTS社員。「ただ積むだけではなく、飛行機の燃費がよくなるように荷物の重さで機体の前後バランスをとっています」(幸島)。この業務を担当していたときには、限られた時間で「これは後ろ!これは前!やっぱり入れ替えて!」と、素早く指示を出していたとのこと。
——現在の主な仕事内容を教えてください。
幸島:CTSに入社してからこれまで航空関連のさまざまな業務を経験してきました。グランドハンドリングや貨物・郵便の仕分けに始まり、航空便出発全体のオペレーション業務管理などを経て、現在は空港の案内所やラウンジ運営を担当しています。加えて、新規事業として瀬戸内産のライム普及にも取り組んでいます。
ANAグランドスタッフとしてカウンターに立つ本田。
本田:私は、ANAの旅客ハンドリング業務を担当しています。具体的には、チェックインカウンターで発券や荷物預かり、搭乗口、到着ロビーでの旅客案内・誘導のほか、航空会社ラウンジでのお客様対応などを行っています。また、お手伝いが必要なお客様と一緒に飛行機の中までケアするなど、仕事内容は多岐に渡ります。
華やかに見えるかもしれませんがお客様の安全確保が一番大事な仕事。可能な限り要望にお応えしつつ、保安要員として動くことを心掛けています。
——お二人とも、以前は別の仕事をされていたのですよね。CTSにはどのような経緯で入社したのでしょうか。
本田:入社する前は、家電量販店での販売員と事務職を経験しました。大学時代に外国語を学び、中国への留学経験もあったので卒業後は語学力を生かせる仕事がしたいと思っていたんです。ちょうど就職活動時はインバウンド需要が高まっていた時期で、家電製品をたくさん購入する外国人が話題になっていました。一方で、日本語の説明書が読めずに使えない方も多くいると聞いて、語学力を生かして購入や使用をサポートできればと、家電量販店に入社しました。
業界用語や空港特有のルールなど「とにかく覚えることだらけで大変だった」と入社当時を振り返る。特に「3レター」と呼ばれる航空業界で使用するコードを覚えるのに苦労したとのこと(※3レター:アルファベット3文字で空港や航空会社を表すもので、例えば羽田空港はHND、成田空港はNRTという)。
幸島:私は、かつて体育教師を目指していました。中学校から駅伝一筋でしたが、就職氷河期で思うように進まず、スポーツインストラクターとして働いていました。そんななか、陸上仲間だった元上司から「CTSで一緒に働こう」と声をかけられたのです。
正直、航空業界は未知の世界で不安もあり、最初はお断りしていたのですが、結婚を機に自分の人生を見つめ直して入社を決意。勇気を出して飛び込んでみました。
地域とともに。観光と街づくりの好循環を目指して
——仕事のやりがいを教えてください。
本田:お客様や同僚から感謝されることが何より嬉しいですね。入社して間もない頃、先輩から教わりながら仕事をしていたら、お客様から「頑張って」と声を掛けられました。それだけでも嬉しかったのですが、数日後、独り立ちして到着ロビーで働いていた私をそのお客様が見つけてくださり、「ただいま、頑張っているね」と言っていただいたことが忘れられません。お客様とのコミュニケーションは大きなやりがいです。
また、「グッジョブカード」もやりがいにつながっています。素敵だなと思った働きぶりをしている方をカードに書いて、社員同士で送り合う取り組みなのですが、自分の名前が掲載されることはもちろん、他の方のカードを見るのもやりがいに。「こういうふうに対応したらいいんだな」「私もこれをもらえるように頑張ろう」と、良い学びになっています。
幸島:私は、仕事を通じて地域に貢献できることにやりがいを感じています。ライム普及の取り組みでは、生産者の方々の想いに触れ、おいしさを実感し、ライムの魅力にすっかりはまってしまいました。その魅力をお客様にお届けし、喜んでいただけたときの充実感は格別ですね。
CTSには「自ら考え、楽しみながら働く」という風土があります。ライム事業では物販、営業、地域との連携…と自分自身にとってはもちろん、会社としても初めてのことだらけなのですが、失敗を恐れずに挑戦できる環境なので楽しく働けています。
グッジョブカード.。素敵だなと思った働きぶりをしている方をカードに書いて、社員同士で送り合うANAの仕組みがCTSでも導入されている。
約170人が働くCTSだが、昨年の社員旅行で同じグループになって以降、親交があったという二人。「お正月には幸島さんからライムをもらいました」(本田)。
——幸島さんにとっても、CTSにとっても初の試みとなるライム普及事業について、もう少し詳しく聞かせてください。
幸島:瀬戸内海に浮かぶ小さな島・高根島(こうねじま)で栽培されているライムを、広く知ってもらおうという活動です。国産ライムの生産量は非常に限られているのですが、レモンに引けを取らない魅力があります。2023年9月からスタートし、空港サービス事業部にてライムのジュースやお菓子の商品開発から販路開拓まで、一から行っています。
写真左から、ライム果汁をたっぷり使用したシロップ3本(一番右はストレート) 、広島空港限定販売のソルトミックスナッツ。
ライム事業を始めたきっかけは、JTBから出向してきている現在の上司の一言でした。「高根のライム農園のライムがめちゃくちゃうまかった!これは広めたい!」と。なんでも、体験型ツアーに参加した上司が農園でライムもぎとりをして、自宅に持ち帰って飲んだらあまりのおいしさに驚いたみたいで。
空港という場所の特性を生かして、広島だけでなく全国、世界からお越しのお客様にライムの魅力を発信していければと考えています。将来的には広島=レモンだけでなく、ライムの特産地としても認知いただけることを目指しています。
——商品開発や地元での生産販売というお話から、ライム事業は「空港を起点とした地方創生」にもつながりそうですね。
幸島:そうなんです。例えば、空港周辺には食品加工を得意とする会社があるのでライム利用商品の開発などをお願いしたり、ビジネスラウンジにライム商品を置いてもらったり。空港は多くの方が集まる場所ですし、広島にはお店や工場、農園など素晴らしい仕事をされている方がたくさんいるので、広島空港を起点にそれぞれの発展につながればという想いが背景にあります。
また、ライム事業を広めていくなかで、欠かせないのが「人とのつながり」なのですが、ここでたびたびJTBグループの強みを感じています。事業のきっかけがJTBから出向中の上司の声で始まったことも然りなのですが、とにかくネットワークが広い。
商品開発にあたってふさわしい人を紹介してもらったり、JTBパブリッシングでは「るるぶ」に掲載してもらったりしました。今後はJTBグループの一員として、ライム事業を通じた各社との結びつきも強めていきたいですね。
地域に根差し、共に歩む。空港から広げる地方創生
——本日はありがとうございました。最後にCTSを含め、お二人の今後の展望について教えてください。
本田:空港は、地域の玄関口。私たち一人ひとりの振る舞いが、お客様の旅の思い出を左右します。「広島空港に来てよかった」「また訪れたい」と思っていただけるよう、質の高いおもてなしを仲間とともに追求し続けます。個人的には、お客様の気持ちに寄り添い、少しでも安心していただけるよう、細やかな心配りを忘れないように努めていきたいです。空の旅は、わくわくする一方で、煩雑な手続きなどに同時に不安や緊張を感じる方も多いはず。フライトの安全運航とお客様の安全確保を重視しつつ、サービス品質にも注力していきたいです。
幸島:航空需要の回復とともに、空港には新たな可能性が広がっています。今後は地域の人々の暮らしに寄り添う施設としても、その役割がさらに重要になるでしょう。空港を起点とした街づくり、地方創生の取り組みにも積極的に関わっていきたい。そのためにもまずは、地域の方に「あってよかった」と言っていただける空港であり続けること。地域とともに歩み、愛される存在であるよう、微力ながら貢献していきます。
写真:鍵岡龍門
文:大西マリコ
編集:花沢亜衣
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