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新しい関係を創り、交流を深め、真心を伝える。
日常にも感動を、「リビング・オーベルジュ」で

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レストランに行くのもいいけれど、自宅にシェフがきてくれたらいいのに・・・と思ったことはありませんか。プロのつくる料理はもちろん、特別な器やしつらえで「感動パーティー」を楽しめる。そんな「ありそうでなかった」サービスが、23年11月から始まっています。

生まれたきっかけはコロナ禍。外出が制限されるなかでも非日常を味わえるように、という想いから始まったサービスです。「旅先」とは対極の、いわゆる「日常空間」において、新しい交流の創造にチャレンジする社員に話を聞いてみました。

ツーリズム事業本部 事業開発チーム 日高 彬人

法人・自治体・省庁の営業担当を経て、現職。自身が経験した、子育て中の外食に関する課題意識をきっかけに、リビング・オーベルジュを起案し事業化。その他、プライベートでもスタートアップ企業を支援するなど、様々な角度からイノベーション創出に取り組んでいる。

ツーリズム事業本部 事業開発チーム 長尾 好希子

入社後、コールセンター販売部にて国内旅行販売業務に従事。その後はリテールサポートセンターや東日本提携販売部を経て、23年4月よりリビング・オーベルジュ事業に携わる。近所に住む甥っ子たちと戯れることが、日々の癒しとなっている。

ブランド・コミュニケーションチーム 大泉 智敬

入社以来、法人営業や法人マーケティングに携わる。社内の新規事業コンテスト「JUMP‼!」をきっかけに、リビング・オーベルジュの事業化に携わる。22年から広報室に着任。趣味は読書、休日は子供とともにキャンプに出掛けるなどアクティブな一面も。

きっかけは「妊娠中の妻に非日常を味わってほしい」という想いから

大泉:まず、このサービスが生まれるきっかけを振り返ってみたいと思います。コロナ禍で制限のある生活を余儀なくされたなかで、私と日高さんそれぞれで問題意識が芽生えてきたのでしたよね。

日高:そうですね。その当時、私の妻は妊娠中で、「子どもが小さいと、さまざまな制約から高級な外食店に行きにくくなる」という話を聞いていました。そこで「非日常を味わえる料理を自宅に届けてくれたり、シェフが来てくれたりするサービスがあれば、そうした不便も解消できるのでは?」と、高級ラインに特化した食のデリバリーサービスを思いついたのです。

大泉:一方、私は当時、法人向けのマーケティングを担当しており、新型コロナウイルスの影響で企業のお客様が社員旅行や表彰式といったビジネスイベントを開催できないという問題に直面していました。コロナ禍でもどうにか交流を止めない方法はないかと模索するなかでたどり着いたのが、オンラインでつながりながら、それぞれの自宅へ特別な料理を届けるというアイデアでした。

日高:もともと私と大泉さんは面識もなく、各自のアイデアのみで社内の新規事業公募コンテストである「JUMP!!!」に応募したんです。しかし書類選考を重ねるなかで、事務局から「2人で連携してはどうか」と提案があったんですよね。「自宅」で「食」という共通のキーワードがあったので、「お互いのアイデアを組み合わせて、磨き上げてみるのはどうか?」と。

大泉:そうでしたね。コロナ禍だったのでなかなか直接顔を合わせることはできませんでしたが、オンラインで議論を重ね、「日常空間でホームパーティーをプロデュースする」というサービス案へとブラッシュアップし、最終選考に臨みました。その結果、グランプリを受賞することができ、本格的に事業をスタートすることになりました。

変化のなかでも、より身近な存在でいられるように

長尾:議論を重ねるなかで、何か新たな発見などもあったのですか?

日高:はい。私たちが本質的に挑戦したいのは、「旅行のようにどこか遠く離れた空間で感動を味わっていただく」のではなく、自宅やオフィスなど「身近な空間へ感動をお届けしたい」ということが見えてきましたね。
一方で、単に「食べてお腹を満たせればよい」ということでなく「体験」にこだわっていたので、デリバリーサービスやケータリング事業者では出せない価値をどう生み出していくかが最大のテーマでした。その結果、シェフや専属スタッフによるサービスや、食器やテーブル装飾などの空間コーディネートまで含めた「食体験」を演出する必要性が見えてきました。

大泉:私たちが培ってきたリソースを活用できそうな点にも、可能性を感じました。長きにわたって旅行事業を手がけてきた私たちには、ホテルやレストランとの豊富なネットワークがあります。さらに、半世紀以上前からパッケージ旅行を販売してきた歴史や、イベントの企画・運営のノウハウも持っています。これらを有効活用できそうだとも感じました。

長尾:ちなみにサービス名「リビング・オーベルジュ」というのは、どちらが考えたのですか。何かエピソードがあれば聞かせてください。


日高:この名称は、私がコンテストに応募したときのサービス名でした。自宅のリビングのようにくつろいだ空間をオーベルジュのような特別な場所に変え、そこで印象的な食体験を楽しんでいただくシーンを思い浮かべました。


大泉:こうして晴れて実証実験・・・となるわけですが、そこでもいろいろな気づきがあったと聞いています。

長尾:私は、大泉さんが異動で離れてしまったあとにリビング・オーベルジュに加わったのですが、もともとはカウンターで旅行のご予約を受けていました。お客様のいろいろなご旅行に寄り添えて、とてもやりがいを感じていたのですが、一方で残念に感じていたこともあって。
たとえば、お客様が体調を崩されたり、体力的に旅行へ行けなくなったりしたときです。せっかくのご旅行を泣く泣くキャンセルするお客様に対して何も提案できず、記念日のお手伝いができなくなってしまっていたんですよね。楽しみにされていたことを良く知っているからこそ、歯がゆい思いをしていました。でもこのようなサービスができたことで、旅行ができないタイミングでも新たな感動をお届けすることができるようになり、私たちをより身近に感じていただけるようになったのではと思います。

日高:カウンターのスタッフにそのように活用してもらえるとは思っていなかったので、これは嬉しい驚きでしたね。ほかにも実証実験からは、特にラグジュアリーなサービスを好む方に需要があることがわかりました。
自分だけのこだわりや特別な体験にはお金を惜しまない方が多いんです。どんなに収入の多い方でも、高級レストランのシェフを自宅に何人も呼べるようなコネクションをもっている方は少ないと思うので、リビング・オーベルジュが構築している一流シェフのネットワークに価値を感じる方も多くいらっしゃいました。これまでのケータリングサービスや出張料理サービスを超えたクオリティに、ご満足いただけているのではないでしょうか。

大泉:逆に苦労したこともありそうですね。

日高:一番影響が大きかったのは、新型コロナウイルスの収束です。もともとこのサービスを検討するきっかけとなった「外出できないから、家でおいしいものを食べよう」というニーズが消滅し、一時はどうなることかと思いました。ただ、介護や病気などで外出しづらい方の長寿のお祝いや記念日を祝うため、またはママ友の集まりやハレの日の集まりなど、変わらないニーズもありましたね。いまご利用いただいているのは、多くがそのような方々です。

長尾:コロナの収束は旅行に関わるものとしては嬉しいことでしたが、日高さんのいうとおりで、当初はサービスへの参画に乗り気だったレストランやホテルが、逆に人手不足になってしまったときには本当に苦労しました。

新しい関係を創り、交流を深め、真心を伝える

大泉:こだわったポイントはありますか。

日高:単に「食」だけではなく、空間全体をプロデュースすることで、世界観をしっかり作り込めるところが大きなポイントだと考えています。テーブルクロスにお皿、装花はもちろん、カメラマン、ソムリエなどの手配も可能なので、お食事だけのデリバリーでよくある「おいしいんだけど、なんだか気分がのらない」ということがありません。
本当に、自宅に「レストランが来た」ような体験ができます。またご自宅だけでなく、レストランやコンドミニアム、レンタルルームのアレンジもできるので、「自宅だと片付けが面倒・・・」というお客様には、そんな選択肢もおすすめしたいですね。最近では、タワーマンションのパーティールームでの相談も増えています。

長尾:またホームパーティーの課題としてよく聞かれるのが、パーティーを主催するホスト の方がずっとお料理のサービングをされていること。もちろんホスト自身は楽しくやっている方が大半だとは思いますが、やはりゲストとしては気を使ってしまうことも多いのではないでしょうか。その点、リビング・オーベルジュではすべてプロに任せられるので、気を遣わず遣わせず、ゲストとホストが一緒に楽しむことができます。
さらにシェフだけでなくスタッフもプロなので、先日はお部屋に飾っていた生花のアレンジを、最後にブーケにしてゲストにプレゼントするなどのサプライズもしてくれたんですよ。憎いな~と思いましたね(笑)

大泉:それは嬉しいですね!その場も盛り上がりそうですが、帰ってからも余韻に浸れそうですね。

日高:私たちがこれまで旅行を通じてお届けしてきた感動は、たとえば一年に一回とか、場合によっては一生に一度のものでした。しかしリビング・オーベルジュが生み出す感動は、「再来週の利用日を楽しみに、それまでの仕事を頑張ろう」といった、日々の生きる糧になるようなものもあると思います。まだまだお客様と新しい関係をつくっていけるのではと思うと、ワクワクします。

長尾:日高さんの「新しい関係」という表現はとてもしっくりきますね。旅行先で新たな出会いを楽しむのとは違い、リビング・オーベルジュの体験はとてもクローズド 。だからこそ、親密になるためのきっかけとしてご活用いただいているケースが多いんです。月1回程度ご利用いただいているお客様からは、「ビジネスパートナーとの飲み会も、リビング・オーベルジュだと真心が伝わる」というお声もいただいています。

「食体験」を通じて、日常に新たな感動を

大泉:事業を進めるなかで、飲食業界が抱える課題なども見えてきたそうですね。

日高:はい。飲食業界は利幅が狭いことから、経営の難易度が高いといわれています。3年以内の廃業率は70%、5年で80%以上など、かなりシビアなのだとか。先ほど人手不足の話があがりましたが、やはりこういった環境だと良い条件で人を雇えない、という課題がずっと存在しています。
そのため私たちは、このサービスを継続させていくうえで、レストラン側が提供するサービスの質やブランド価値、それらを支えるスタッフの方々の雇用をしっかり守ることが重要だと考えています。そのため、間口を広げてお客様を待つのではなく、高品質を求めるお客様にはそれに見合うようなサービスを提案することで、全体的な単価を上げ、安心して飲食業を続けられる新しいビジネスモデルをつくりたい。その一環として、いまは大人数の法人需要への対応や、日本各地でのイベント型の仕掛けも始めました。先日は、長野県小諸市で県内の一流シェフとコラボレーションした食イベントを開催し、多くの方にお越しいただいています。

長尾:リビング・オーベルジュを運営していると、プロのシェフとお話しする機会がたくさんあります。その方々の料理への想いを聞いているうちに、できるだけ自身の能力や得意分野を活かせる条件で働いていただきたいと、勝手ながら使命感のようなものが芽生えてきました。そのためにはまず、業界の発展につながる働き方やビジネスモデルが必要だと思っています。近いうちに、JTBがシェフの個性とお客様のニーズをマッチングさせるための機能を持つことで、かかわっていただくすべての方々の満足につなげていきたいと考えています。

大泉:それでは最後にお二人から、今後の展望を含めたメッセージをお願いします!

日高:おかげさまでリビング・オーベルジュをご利用いただいた方のほとんどから、もう一度利用したいとコメントをいただいています。もちろんご協力いただいているシェフの方、空間コーディネートの方々の協力あってこそですが、新たに事業を始めた私にとって、この反響は大きな自信になりました。まだまだPRが足りないところもありますが、食事だけではないトータルコーディネートで、もっと多くの人々の日常に感動をとどけたい。JTBをより身近に感じていただけたら嬉しいです。
また、今後は並行して企業向けサービスの拡充や、日本各地での食イベントの開催にも力をいれることで、富裕層だけではなくさまざまなお客様のご要望に応えていきたいです。まずは、100人以上のシェフの方たちに参画いただくことを、直近の目標に置いています。

長尾:100人以上!私もさらに頑張らないといけませんね!私はホームパーティー自体を、もっと日本で身近な存在にしていけたらと思います。ホームパーティーは欧米だともっとカジュアルですが、日本ではまだ敷居が高いと感じる方も多くいらっしゃいます。それはきっと、ホストが準備や後片付け、そしてそれに付随するさまざまな手配を完璧にやらないといけない、という固定観念があるからではないでしょうか。
先ほども触れましたが、親しい人との特別な時間は、お互いの関係を深めるのにとても大切ですし、そこでの素敵な思い出や感動ってずっと心に残ると思うんです。ですので、リビング・オーベルジュをうまく活用いただくことで、一人でも多くの方に、特別な人との楽しい時間を満喫していただきたい。そのお手伝いをしていきたいと思っています。

左から大泉、長尾、リビングオーベルジュ事務局 笹野、日高

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