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「本気」は人の心を動かす。市場を起点に香川の未来を拓く観光開発プロデューサー(香川編)

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「観光の力」で地域の課題を解決する仕事がJTBの中にはあります。その名も「観光開発プロデューサー™」。日本各地の隠れた魅力を掘り起こすべく、47都道府県に配属されています。観光開発プロデューサーは「会社と地域」という関係を超えて、「人と人」との関係性や交流を大切にし、地域の課題を共に解決していくことを目指しています。

今回はその一人として香川県で活躍する社員に、取り組みや想いについて、話を聞いてみました。アートと瀬戸内海の島を巡る観光が人気の香川県。その拠点となる高松で地域を盛り上げるべく、誕生した新観光交流拠点「SICS(シックス)サステナブルラウンジ」の魅力にも迫ります。

高松支店 観光開発プロデューサー 山田 裕木

大阪、広島、中国(上海)の部署、支店にて法人営業、教育旅行、地域交流事業などを経験し、2013年に高松に着任。瀬戸内の観光資源に魅了され、瀬戸内の観光サービス「瀬戸内アイランド・コンシェルジュ・サービス(SICS)」や高松市中央卸売市場内に「SICSサステナブルラウンジ」を開業するなど、自身も地域の観光事業者の一人として香川で具体的な行動を起こし続けている。

株式会社オールコンサルティング 代表取締役 金崎 文俊

1989年に高松市に入庁し、2018年より高松市中央卸売市場の市場長として賑わいづくりや再整備事業に着手。予算ゼロで賑わいを取り戻すため、市場長として自ら現場に立ち、空き店舗への入居全誘致成功や現市場を核とした街づくりに努めるなど、その内容は、マスコミやSNSにも多く取り上げられている。現在は高松市を退職し、株式会社オールコンサルティングを開業。モットーは「熱意が一番!熱意があれば、何でもできる!」

自然と芸術が融合。瀬戸内海に浮かぶ島々が紡ぐ多彩な表情

―― はじめに、担当されている香川県の魅力について教えてください。

山田:香川県は日本一小さな県ですが、その小ささとは裏腹に魅力がギュッと詰まった地域です。瀬戸内海に面する高松市は、ターミナル駅である高松駅と港が徒歩圏内という全国的にも稀有な交通結節点を有しています。この利便性の高さは今後、四国の玄関口を目指す上で大きな武器になると考えています。
また、香川県は自然の宝庫でもあります。特に瀬戸内海に浮かぶ島々は、それぞれが個性的で魅力的。世界的にも注目を集める現代アートの島「直島」、オリーブやそうめんで有名な「小豆島」など、島によって全く違った表情を見せてくれるんです。3年に1度開催される「瀬戸内国際芸術祭」の年は、国内外から多くの観光客が訪れ、まさに瀬戸内の島々が熱気に包まれます。

―― 2013年に高松支店に着任して10年。すっかり香川県民といっても過言ではない山田さんがおすすめしたい場所やモノはありますか。

山田:私は、「瀬戸内国際芸術祭」の舞台にもなっている島々が織りなす「多島美」が大好きです。直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島など、個性豊かな島々が点在していて、さまざまな表情が見られる。この地域ならではの醍醐味だと思います。
例えば女木島。まだあまり知られていませんが、屋島と女木島の真ん中あたりに実は「瀬戸内海のど真ん中に立つ」という貴重な体験ができるスポットがあります。それぞれの島には魅力があり、潮の満ち引きによっても異なる景色が楽しめます。

こうした自然と芸術、そして島の人々の営みが織りなす風景こそが、香川の宝です。決して派手さはないものの、その土地でしか味わえない魅力がある。私も休日はよく島に出かけて、食事やお酒をゆっくりと楽しんだりしていますが、行けば行くほど、知れば知るほど魅力的な場所だなと実感します。

瀬戸内ならではの風景である、多島美が臨める高松港から。

山田のいちおしスポットである女木島と高松港を結ぶ「めおん号」。

観光振興と地域振興の橋渡し。持続可能な観光地づくりを目指して

―― 魅力あふれる香川県ですが、一方で、観光や賑わい創出の観点からは課題もあると聞きました。観光開発プロデューサーとしては、どのように見ていますか。

山田:最大の課題は偏った観光人流だと考えています。オーバーツーリズムの話にも通じますが、特に繁忙期は有名な観光地に観光客が集中しがちです。この人流をいかに回遊させるかが、地域全体で観光の恩恵を感じてもらうためには重要です。
地域外から往来した人々の飲食、土産物購入、宿泊、見学、体験活動、移動などによる地域経済の活性化である観光振興と、地域がもつ特性を生かし、人々の生活環境を整え地域の活力を引き出す地域振興。このバランスをどう取るかというのは常に意識すべき課題でありますが、持続可能な観光地域づくりを実現するために必要な観点と考えています。

―― 課題解決のために、観光開発プロデューサーとしてどのような取り組みをしてきたのでしょうか。

山田:観光振興と地域振興のバランスを取りながら、持続可能な観光地づくりを進めるために、さまざまな取り組みを行ってきました。例えば、昨年開催した、小豆島での「Shodoshima Protopia(プロトピア)」 という夜間のイベントです。
香川県観光で人気の高い小豆島でも、「夜はにぎわいが乏しいよね」という課題を踏まえて、小豆島の美しい自然景観とプロジェクションマッピングを融合させ、夜の島の魅力を創出。島内の複数スポットで同時開催することで、エリア内の周遊を促進しました。観光客を一つの場所に集中させず、島内を巡ってもらうことで、観光効果を分散させる狙いがあります。
また、このイベントの企画・運営には、地元の交通事業者や宿泊施設、観光施設など、さまざまな事業者の方々に参画いただきました。観光開発プロデューサーとして、イベントを一過性のもので終わらせず、地域に根差した持続的な取り組みとしていくことを大事にしています。

「SICSサステナブルラウンジ」内の「クセモノズ」のメニュー開発をサポートしている、食の仕立て屋 ラムセスさんと「小豆島から届いたフルーツをメニューに使えないかな?」と談笑中。これまでも市場で出会う方々と挨拶や会話を交わしながら、地域とともに時間を重ねてきた。

高松市場に新たな息吹を。「SICSサステナブルラウンジ」誕生の軌跡。

左:高松市中央卸売市場・前市場長 金崎 文俊さん/右:高松支店 観光開発プロデューサー 山田 裕木

土地の魅力を発掘し、地域の方々とともに具体的な行動を起こし続けている山田。新たな取り組みとして、2024年5月には高松市中央卸売市場内の「うみまち商店街」に観光交流拠点「SICSサステナブルラウンジ」を開設しました。ここからは、同施設開設のキーマンとなった高松中央卸売市場の前市場長である金崎さんを交えて対談。タッグを組んだ背景や、JTBとの取り組みへの想いなど金崎さんにもたっぷり語っていただきました。

観光交流拠点「SICSサステナブルラウンジ」

「サステナブルな交流拠点」をテーマに、1階は流通されづらい魚や野菜などを活用する飲食店「クセモノズ」、2階は地域と旅行者を結ぶ交流スペースとなっています。共創パートナーと連携しながら運営し、市場のフードロスの減少に貢献するとともに、交流スペースを活用し高松市中央卸売市場や瀬戸内の魅力を発信する場所です。

※ SICS(シックス)=JTBの事業「瀬戸内アイランド・コンシェルジュ・サービス」の略称。「チャーター船を活用した新たな島旅の過ごし方をプロデュース」することを目的に香川県内の船や島旅観光の予約受付などを行っています。



―― JTBと、うみまち商店街がタッグを組み「SICSサステナブルラウンジ」を開設するに至った経緯を教えてください。

金崎:私が高松中央卸売市場の市場長になったのが2019年4月ですが、初めて来たときの印象は「閑散としたシャッター街」。建物の老朽化が激しく、草が生い茂り発泡スチロールが散乱している…と、とても人が行きたくなるような場所ではありませんでした。
1967年に開場して57年経過しているので、だんだんと寂れていったのだとは思いますが、それでもひどかった。「まずは可能な限り綺麗にして、店舗を誘致して商店街をつくりましょう」というのが最初の目標。それから1年かけて「うみまち商店街」をつくり、少しずつ地元の漁協や住民とのコミュニケーションが増えてきて、賑わいが生まれてきたんです。

山田:ちょうどそのころ、私が市場に行った際に金崎さんと出会いました。当時はコロナ禍だったので売るものがなく、「タコ壺オーナー制度」のお話をしに行ったのですが、話をしているうちに金崎さんが「ここの湾を使って瀬戸内のクルージングをしたいんや」と、構想を語ってくれまして。JTBとしても2019年に「SICS」を立ち上げたタイミングだったので想いが合致したというのが始まりです。

寂れていたとは思えないほど明るい雰囲気の現在のうみまち商店街。

近年の観光トレンドの変化により、観光客は瀬戸内の魅力である多島美ならではのアイランドホッピングの体験への需要が増えてきています。そこで「SICS」を立ち上げ、チャーター船で島々を周遊しながら観光を楽しむ、新しい旅の過ごし方の提案を始めました。それに加えて、ただのオペレーターサービスではなくて「観光拠点」をつくりたいと思っていたので、その想いと、金崎さんの「市場を観光の中心地として生まれ変わらせたい」という想いが合致したというわけなんです。

地元の工芸高校の木工作品や、子どもたちによる手描きのイラストでつくられた壁画アートが商店街を盛り上げる。

―― 金崎さんをはじめ、市場としてはJTBとタッグを組むにあたってどのような想いがありましたか。

金崎:山田さんが市場に来られた時は、正直「旅行会社が何しに来たんかな?」と思いました。「旅行パックを売りつけられるんちゃうかな」って(笑)。でも話をしていくうちに山田さんは香川が大好きで、本気で街を盛り上げようとしてくれていることが分かり、「この人となら一緒に香川の未来をつくれるかも」と感じた。だから実現できるかは置いておいて、やりたいことや夢を話しました。

高松中央卸売市場前に広がる港

山田:地域の人に信用されるためには心から、本気でこの土地をもっと良くしたいという熱量がないと伝わらないんですよね。薄っぺらい言葉だけではすぐに見透かされてしまう。だから地域の方々よりももっと香川を知り、発言には意思を込め、何より具体的な行動を香川で起こし続けることを大切にしています。

金崎:山田さんは会うたびに新しいアイデアを出してくれて、とにかくNOと言わず、この5年間、期待に応えてくれる以上のプラスのことをしてきてくれました。例えば今回も、最初はJTBが飲食店をやるイメージがなかったので、「JTBがどこかに委託をしてつくるのかな」と思っていたんです。そうしたら「JTBが直営でやりますよ」って言うから驚きと同時に、本気度が伝わってきて嬉しかったです。
だからJTBというよりは、山田さんとタッグを組んだ。大げさかもしれませんが、山田さんとの出会いがなければJTBさんとは組んでいなかったかもしれませんね。

流通されづらい食材や市場の魚、地元の野菜などを活用する「クセモノズ」。サステナブルなコンセプトを身近に感じてもらうべく、思わず行きたくなるようなポップでおしゃれな店づくりにこだわった。

メニューのポイントは、通常のたこ焼きに加えタコの代わりに魚を使用する「NEOTAKOBALL」と日替わりの「ナゾカラアゲ」。この日のたこ焼きには小豆島でオリーブを食べて育ったオリーブサーモン、唐揚げにはアカエイを使用。いずれも「味は抜群だが、形が悪くて流通にはのせられない」とのことで「クセモノズ」で再利用した。

―― プロジェクトを進めるうえで大変だったことはありましたか。

山田:JTBとしても初めての取り組みだったので、各所への確認や運営体制を整えるのに時間がかかりました。それはただ場所をつくって終わりにするのではなく、観光拠点として機能するところまで考えていたのと、地域事業者の皆さんと一緒に進めていくことにこだわったから。地域で頑張っている方たちと一緒にやりたかったんです。例えば、店舗プロデュースやクリエイティブ制作は「株式会社人生は上々だ」、運営やPRは「株式会社ナイスタウン」と、どちらも香川を拠点とし、地域に対しての熱量が高い企業と連携しています。

金崎:山田さんが言うように、多くの企業や人が関わっているので本当に大変だったと思います。本気なぶん、時間がかかりましたよね。あと、私を含めてみんなこだわりが強いですし(笑)。でも、そのこだわりを生かしながら、地域を大切にしながら観光開発に取り組むというのが、“JTBらしさ”なのかなと今回実感させられました。

2階の「SICSサステナブルラウンジ」では、廃材や市で使わなくなった部品を再利用。机の脚には市場の物販移動に欠かせない一方で、廃棄にコストがかかるパレットをDIYして活用している。金崎さんのアイデアを山田が即採用させていただいたという。

―― 「SICSサステナブルラウンジ」を含め、今後高松をどのように盛り上げていきたいとお考えでしょうか。

金崎:市場の再開発を、高松のウォーターフロントエリア全体の活性化につなげたい。将来は、海・空・陸の駅が一体となった未来都市のような姿を目指しています。観光による地方創生のモデルケースとなるよう、JTBさんと共に挑戦を続けます。また、この取り組みを通じて、高松から新しい地方の姿を発信していきたいですね。

山田:市場を拠点に、地域の食や文化、サステナブルな取り組みなどを発信し、観光を通じて地域全体を盛り上げていくことが目標です。将来的には市場一帯が瀬戸内クルージングの発着拠点となり、島旅への玄関口として根付くようにしていきたい。新しい航路ができると観光の人流が変わるので、うみまち商店街ももっと盛り上がるはず。市場を皮切りに高松、香川と地域の価値をどんどん上げて、地元のみなさんに喜んでもらえる観光開発につなげたいですね。

地域に根差し、地域と共に歩む。観光開発プロデューサーの信念。

―― 最後に、山田さんが考える「観光開発プロデューサー」とは。目指す姿について聞かせてください。

山田:観光地経営や街づくりは、地域の人が主役でないと成り立ちません。だから「地域で働き、暮らしている人々のためになるにはどうしたら良いか?」ということを最優先に考える存在でありたいと思っています。
今回のSICSサステナブルラウンジもそうですが、今後も地域の元気や喜びにつながる活動をしていきたい。そのためには観光開発プロデューサーが「本気」であることが不可欠です。私は今回、「クセモノズ」をつくるにあたって食品衛生責任者や防火管理者などの資格を取得しました。クルーズの計画を進めるために近いうちに船舶免許も取ろうと思っています。そんなふうに、なんでもまずはやってみるのが私のモットー。 「本気」は人の心を動かします。

地域の社会課題を解決することは、やがて社会の課題を解決することにもつながるはず。その課題解決を「観光の力」でサポートするのが観光開発プロデューサーのミッションだと思っています。

文:大西マリコ
写真:飯本貴子
編集:花沢亜衣

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