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「JTBグループとしてできることを沖縄のために」地域とともに創る沖縄北部の未来

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「沖縄」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、やはり美しい海。ですが、その魅力は海だけにとどまりません。2021年には沖縄北部に広がる「やんばるの森」が世界自然遺産に登録され、2025年の夏には新たなテーマパーク『JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)』が開業。今、沖縄北部が観光地として新たな注目を集めています。このエリアの可能性を広げようとJTBではグループ全体の力を生かして、観光コンテンツの開発や交通インフラの整備などに取り組んできました。
今回は、沖縄に根ざした沖縄JTB株式会社、株式会社JTBで観光地開発を担当するエリアソリューション事業部、旅行商品の企画・販売を担うツーリズム事業本部の3名が集い、それぞれの視点から沖縄北部の魅力と取り組みについて語ります。

沖縄JTB 営業部 沖縄着地コンテンツセンター 池田 善宣

2006年入社。京都中央支店にて教育旅行を担務。私学を中心に幅広いマーケットを経験。2022年に神戸支店で営業課長を務めたのち、営業開発プロデューサーを経て2025年2月より現職。将来の沖縄と社の成長を見据え、エリアソリューション事業部と連携しながら、積極的な事業やコンテンツ開発を推進している。

JTB ツーリズム事業本部 エリアソリューション事業部 平松 育枝

JTBに入社後、16年間は企業の海外販路開拓と外国人材受入れ支援事業に従事。2023年4月よりエリアソリューション事業部に着任し、地域行政や事業者との共創、自主事業の開発を通じて、観光地の価値向上と持続的な発展の実現を目指している。沖縄北部などを担当。

JTB ツーリズム事業本部 事業推進部 髙本 航平

2015年入社。熊本支店にて企業、自治体営業を担当したのち、2019年北九州支店へ。熊本震災やコロナを契機にキャリアビジョンを見直し、2023年から社内のチャレンジ制度を経て現職へ異動。現在は国内旅行推進をミッションとし、ツーリズム事業における創客誘客戦略の全体設計を担当。

国内有数の観光地ゆえに抱えてきた沖縄の観光課題

――JTBグループでは、沖縄JTBを中心に、以前から沖縄北部に関わってきたと伺っています。沖縄といえば日本が誇る有数の観光地ですが、どのような課題を抱えてきたのでしょうか?

池田(沖縄JTB): 沖縄といえば、やっぱり「海」のイメージが強いですよね。でも実は「やんばるの森」に代表されるような豊かな緑も沖縄の大きな財産なんです。希少な動植物が多く生息することから「奇跡の森」とも呼ばれています。
2021年には世界自然遺産にも登録され観光資源としての魅力は十分にあるものの、実際には『美ら海水族館』のために北部エリアを訪れたあと、そのまま帰ってしまう観光客がほとんど。年間400万人以上が訪れる人気スポットがあるにもかかわらず、北部エリア全体への経済波及効果は限定的なものにとどまっていたんです。
一部の場所にだけお金が落ちる状態では、地域全体の発展にはつながりません。この課題は、JTBだけでなく地域の事業者や観光協会の方々の間でも、長年にわたって議論されてきました。

髙本(ツーリズム担当): 沖縄は国内有数の観光地だからこそ、明確な目的を持って訪れる方が多い印象がありますね。
「ここに行きたい!」と決められるほど魅力的なコンテンツが揃っているのは沖縄の大きな強み。その一方で、「ついでに他の場所にも立ち寄ってみようかな」という余裕が生まれにくいことが、これまでの課題だったのかもしれません。

池田(沖縄JTB): そうしたなかで、2025年夏に開業した『ジャングリア沖縄』は、沖縄北部に新たな人の流れを生み出す大きなきっかけになると期待しています。『ジャングリア沖縄』を楽しんでいただくのはもちろんのこと、その前後には地元の宿に泊まり食事や自然での体験を通じて、地域の魅力をより広く味わってほしい。そんな「周遊型観光」の実現に向けて、これまで新たなコンテンツづくりや交通インフラの整備に取り組んできました。

――周遊型観光の実現に向け、具体的にどのような取り組みを行ってきましたか?

池田(沖縄JTB):1つは、やんばるの自然や食を体験できる「周遊コンテンツ」の開発です。例えば『なごアグリパーク』は、芝生の広がる開放的な空間で、やんばる産の食材を生かした沖縄料理やスイーツを楽しめる旅の拠点です。地元農家の方々と連携し、地域資源を生かした商品開発や沖縄文化を体験できるワークショップなども展開しています。

なごアグリパーク

『やんばるアドベンチャーフィールド』では、森の上を滑空する「ジップライン」でやんばるの絶景を体感できます。高低差や長さの違う5本のジップラインは、すべてガイドが同行するので安心して楽しめます。そのほかにも、バギーアドベンチャーツアーやコーヒー焙煎体験など、豊富なアクティビティをご用意しています。

2つ目は、交通インフラの整備です。観光シーズンのレンタカー不足が課題となるなか、那覇空港と北部を直結する「エアポートシャトルバス」を開発しました。車がなくてもアクセスできるようになり、交通の選択肢が広がったんです。

さらに『とくとく5パス』という北部を含めた沖縄の観光地をお手頃な価格で周遊できる割引クーポンの開発や『The Pool & Sauna Villa MOTOBU』という宿泊施設のリニューアルオープンなど、「周遊型観光」を目指す上で必要となるさまざまな要素が少しずつ整ってきた段階です。

やんばるアドベンチャーフィールド

The Pool & Sauna Villa MOTOBU

平松(エリアソリューション担当):私たちは地域開発において、「観光地のテーマパーク化」を掲げています。これは、観光地を1つの目的地として完結させるのではなく、複数の観光地を線でつなぎ、滞在時間そのものを楽しんでいただくという考え方です。
この構想を実現するために必要なのが「誘引コンテンツ」「周遊コンテンツ」「交通インフラ」「滞在コンテンツ」の4つの要素。それぞれが揃いうまく連携することで滞在時間が延び、地域全体に経済効果が波及する仕組みが生まれます。

沖縄北部に当てはめてみると、誘引コンテンツは『ジャングリア沖縄』や『美ら海水族館』、周遊コンテンツは『なごアグリパーク』や『やんばるアドベンチャーフィールド』、交通インフラは「エアポートシャトルバス」、そして滞在コンテンツはすでに素晴らしいホテルが多数あります。
沖縄北部は、私たちが掲げる「観光地のテーマパーク化」というビジョンを、いち早く具体化してきたモデルエリア。ここで成功事例を築くことができれば、他地域への展開も十分に可能だと考えています。
沖縄は、JTBにとって長年ご縁のある大切な観光地であると同時に、地域の皆さまと手を携えながら観光の可能性を広げ、新たな取り組みに挑戦し続けている特別な場所でもあるんです。

サステナビリティや次世代の育成。新たなテーマパーク『ジャングリア沖縄』の魅力

――2025年夏にオープンした『ジャングリア沖縄』について、その魅力を教えてください。

池田(沖縄JTB):僕が魅力を感じているのは、サステナビリティや教育的な視点をすごく大切にしているところですね。
例えば、パーク内で提供される食事には地元の食材が積極的に使われていたり、日焼け止めひとつにしても、地元の原料を使った環境にやさしい「リーフ・フリー」な商品が販売されていたり。細かな部分にまで、サステナビリティへのこだわりがしっかりと感じられます。

髙本(ツーリズム担当):幅広い世代がそれぞれの楽しみ方ができるという点は、他のテーマパークにはあまりない、『ジャングリア沖縄』ならではのおもしろさだと感じました。アトラクションを思いきり楽しむのもいいですし、スパでゆっくりくつろぐのも素敵ですよね。
あとは「海」や「リゾート」のイメージが強くて、冬になると観光客がぐっと減ってしまう傾向があります。でも、『ジャングリア沖縄』は冬場でも見どころがありますし、仮に気温が下がった日でもスパを楽しむという選択肢もある。むしろ夏はかなり暑いですから、落ち着いて過ごせる冬こそ実は狙い目かもしれないと個人的には思っています。

平松(エリアソリューション担当):『ジャングリア沖縄』のテーマに「Power Vacance!!」という言葉がある通り、子どもだけでなく大人も含め、訪れた人たちがエネルギーを持ち帰れる場所だと感じました。髙本さんも言っていたとおりスパもあるので、幅広い世代に楽しんでいただけるんじゃないかな、と。

また、『ジャングリア沖縄』では次世代の観光人材育成を目的に、APU(立命館アジア太平洋大学)の学生を対象としたインターンシップ事業を行っています。3〜4ヶ月間、『ジャングリア沖縄』に関わりながら観光現場やマーケティングについて学べるプログラムです。観光業界で深刻化している人材不足の課題に対して、とても意義のある取り組みだと感じています。

――JTBからも『ジャングリア沖縄』のチケット付きのツアーが販売されています。このプランならではの楽しみ方はありますか?

髙本(ツーリズム担当):JTBのジャングリア沖縄のチケット付きホテル・ツアー『ジャングリア沖縄への旅』に参加すると、「アーリー・パークイン」と「パートナー・ラウンジ」を利用できる特典(※数量限定)がつきます。通常より15分早く入場できるので、お目当てのアトラクションにいち早く並ぶことができます。また早めに入場できるぶん、少し早めの昼食で混雑を避けたり、その後はラウンジで休憩したりすることも可能です。

オフィシャルパートナーのゲストのみが利用できるラウンジ

『ジャングリア沖縄』内には室内レストランもありますが、お昼前後は混み合う可能性もあるため、状況に応じて休めるラウンジがあるのは大きな強みと言えるんじゃないでしょうか。私たちならではの言葉で、『ジャングリア沖縄』そして沖縄北部の魅力をしっかりと発信していきたいです。

地域開発は「現地の人」が主役

WILD BANQUET(ワイルド バンケット)にて

――沖縄JTBは2024年4月に「JTB沖縄」から「沖縄JTB」に改名し、特に「地域密着型企業」としての姿勢が強まった印象があります。北部開発に携わる上で、特に意識されていることはありますか?

池田(沖縄JTB):改名には「常に沖縄を主語にして企業活動を行う」という私たちの強い思いが込められています。単にコンテンツをつくって売るのではなく、必ず地域の事業者の発展に貢献することに徹底的にこだわってきました。こうして北部開発に向けて地域の皆さまとさまざまな挑戦ができているのは、60年以上にわたる沖縄とJTBグループの歴史のなかで築いてきた確かな信頼関係があってこそだと実感しています。

平松(エリアソリューション担当):私は沖縄の事業に携わる一方で、普段は東京の本社で働いています。だからこそ、何をするにも必ず、各地域の最前線で働く社員の意見を聞くことを徹底しています。私たちが描く構想が本当に地域の皆さんの求めているものなのか。その土地で暮らす人にしかわからない視点や判断基準が必ずあるからです。特に沖縄は独自のコミュニティや経済圏が根付いていますからね。
「本当に47都道府県すべてに拠点を置く必要があるのか?」という疑問を持たれることもありますが、地域開発においては「現地に人がいなければできないこと」が確実にあります。だからこそ、まずは沖縄JTBが先頭に立ち、私たちはそのサポート役に徹する。長い歴史を持つ地域に密着した拠点があることこそが、JTBの最大の強みだと考えています。

何十年もお世話になった沖縄に恩返しを

――沖縄の北部開発にあたり感じてきた「仕事のやりがい」についてお聞かせください。

髙本(ツーリズム担当):社員人生のなかで、新しいテーマパークの立ち上げに関われる機会はそう多くないと思います。貴重な体験をさせてもらっていると感じていますし、観光で訪れるのとはまた違った親近感も湧くようになりました。

平松(エリアソリューション担当):『ジャングリア沖縄』の開業に向けては、本当に多くの事業者の皆さまと意見交換を重ねてきました。短期間で議論をして合意形成をして...そういう過程のなかで、1つの物事を成り立たせるためにはこれだけ多くの関係者が関わっているのだなと改めて実感させられました。JTBの力だけでは地域開発は成り立たないということを、この先も忘れずにいたいです。

池田(沖縄JTB):沖縄のなかでも、特に北部はエリア開発において特別な場でもあり、私たちもここで初めてのことにたくさんチャレンジさせてもらっています。特に『なごアグリパーク』では、コンセプトの見直しやレストランのメニュー開発など、地域の方々と一緒に細かい部分まで試行錯誤を続けているところです。
未経験のことも多いため当然うまくいかないこともありますが、「どう改善すれば地域のためになるのか」を日々話し合いながら挑戦できる環境にあることが、本当にありがたく大きなやりがいになっています。

――最後に沖縄北部のこれからの可能性について、感じていることをお聞かせください。

INFINITY TERRACE(インフィニティ テラス)からは、大自然やアトラクションを見渡すことができる。遠くに恐竜の姿も。

髙本(ツーリズム担当):僕たちのミッションは、沖縄JTBが開発した周遊コンテンツやツアーの魅力をお客様に伝え、いかに選んでいただくかにあります。
沖縄の定番観光地をすでに訪れたことがある方でも、2回目、3回目と新鮮に楽しめるスポットがたくさんある。その魅力を沖縄JTBと連携しながらしっかりお客様に届けていきたいです。2025年下期は、JTBのキャンペーン「日本の旬 沖縄」もスタートするので、これらをフックにますます沖縄の観光を創客・誘客の両面で盛り上げていきたいです。

平松(エリアソリューション担当):沖縄はファミリー向けのイメージが強いと思いますが、友人同士でもカップルでも、どの世代のどの国籍の方でも楽しんでいただける場所だと思います。
お客様が「一生を通じて訪れたい場所」を地域の皆様と創っていく。JTBが何十年もお世話になってきた沖縄に少しでも恩返しができるよう、『ジャングリア沖縄』開業を契機に北部が注目されるいま、気を引き締めて私たちにできることを頑張っていきたいです。

池田(沖縄JTB):沖縄県観光振興基本計画では「世界から選ばれる持続可能な観光地」という目標が掲げられています。これまでお話ししてきたように、地域の皆さまとともに開発を進めていくことが大前提ですが、世界から選ばれる場所になるためには、世界のトレンドに常にアンテナを張り、その地域に合った形で取り入れていくことも大切だと考えています。
JTBは国内だけでなく海外の事例も多く手がけているため、日々のミーティングでそうした新しいトレンドを共有できることも強みの1つ。JTBの「グループシナジー」を存分に生かしながら、沖縄の発展に貢献していきたいです。

文:佐藤伶
写真:鍵岡龍門
編集:花沢亜衣

©JUNGLIA2025-1137

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