JTB

ガバナンス

コーポレートガバナンス

JTBグループは、「JTBグループ経営理念」に則り、交流創造事業の持続的かつ安定的な成長、企業価値の向上を実現し、その結果、あらゆるステークホルダーの期待に応えるとともに、世界中の人々の心豊かな社会の実現に貢献し続けてまいります。そのためには、コーポレートガバナンスをより一層強化することが経営の重要課題であるとの認識から、「株式会社JTBコーポレートガバナンス基本方針」を策定し、2022年2月25日の取締役会で決議しました。2022年4月より、「コーポレートガバナンス基本方針」のもと、株主その他のステークホルダーに対する経営責任と説明責任を果たすことを含め、健全性、透明性、効率性の高い経営体制の確立に努めてまいります。

コーポレートガバナンス体制

当社のコーポレートガバナンス体制は、監査役会設置会社をベースに、重要な業務執行の決定をCEOを議長とする取締役会で行っており、社外取締役の客観的な意見を取り入れることで、質の高い意思決定を行っています。監査役会は独立した立場から、経営に対して中立で客観的な監視・監督機能を果たしています。取締役および経営幹部の選解任・報酬等の決定プロセスにおいて、公正・客観性を確保するため、任意の枠組みとして「人事・報酬に関するアドバイザリーボード」を設置する体制を構築しています。

コーポレートガバナンス体制図

コーポレートガバナンス体制図

①取締役会

取締役会は、経営理念を確立し、グループの経営計画や事業計画、さまざまな戦略・方針の決定等、当社の重要な業務執行を決定するとともに、取締役の職務執行を監督する責務、適切な内部統制システムを構築する責務を負っていることを認識し、その実効性を確保するために、さまざまな知見やバックグラウンドをもった取締役をバランスよく選任し、多様性のある、適正規模の構成を目指しています。
2025年3月末現在、当社の取締役会は、6名の社外取締役を含む13名の取締役で構成されています。
独立社外取締役は、取締役会における議論に積極的に貢献するとの観点から、独立社外取締役と各担当執行役員とのディスカッションを定期的に開催し、情報交換・認識共有に努めています。

開催回数 構成メンバー (うち女性人数)
取締役会 13回 取締役13名
監査役3名
2名
監査役会 14回 監査役3名 0名

取締役会が適切に機能しているかを定期的に検証するために、2024年も全取締役に対して取締役会の実効性評価に関するヒアリングを実施しました。その結果を踏まえ、取締役会の運営における課題点の改善や取締役会の機能向上を図るための適切な措置を講じてまいります。

②監査役•監査役会

監査役および監査役会は、株主に対する受託者責任を踏まえ、独立した客観的な立場において、取締役の職務執行の監査、外部会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の行使等の役割・責務を果たします。監査の実施にあたっては、監査役会で定めた監査役監査基準、監査方針および監査計画等に従い、質の高い監査を実施するよう努めています。監査役は、原則として過半数を社外監査役とします。
当社の監査役会は、2025年3月末現在、2名の社外監査役を含む3名の監査役で構成されています。

③取締役・監査役の選任基準

当社は、会社の業態をよく理解し、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力をバランス良く備え、会社の重要な業務執行を決定するに十分な判断力を有している者を取締役として選任しています。また、監査役は、適切な経験・能力および必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者で、会社の持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える良質な企業統治体制の確立に寄与できる者を監査役として選任しています。

④内部統制委員会

社長執行役員を委員長とする「グループ内部統制委員会」は経営環境の変化等に対応し、基本方針について不断の見直しを行い、より実効性の高い内部統制システムの実現を常時統括することで、業務の適正性、有効性および効率性を確保し、企業価値の維持・向上を図ります。

⑤内部監査部門(内部監査室)

当社では、代表取締役 社長執行役員の命を受けた内部監査部門の担当者が、当社グループ全体を対象とし、業務が法令・定款および諸規則に準拠し、実効性のあるリスクマネジメント体制および適正な内部統制システムの整備・運用を確保のうえ、経営目標達成のため合理的、効果的に遂行されているか否かについて、内部監査を実施しています。監査結果は代表取締役 社長執行役員および監査役・取締役会に報告するとともに、監査対象部門に対して業務改善に向け具体的に助言・勧告を行っております。

役員報酬におけるESG指標の活用

JTBグループでは、役員報酬制度において、サステナビリティ経営の実効性を高めるため、変動報酬の評価指標(KPI)の一部にESG関連指標を組み込んでいます。2024年度においては、変動報酬全体のうち5%がESG指標に基づいて評価されています。
ESG指標は、外部評価と内部評価の両面から構成されています。具体的には、以下の2項目です。
・外部評価:日経「SDGs経営」調査における全体偏差値
目標値を54と設定したうえで、2024年度の実績は57.5を達成しました。
・内部評価:JTBグループ社員を対象とした「サステナビリティ意識調査」
「JTBグループでは、サステナビリティの目標達成を目指して、実際に活動や取り組みをしている」という設問に対する肯定回答率を評価指標として設定し、2024年度の目標値80%に対して、実績は77.9%となりました。
このように、定量的かつ定性的な両面からサステナビリティへの取り組み状況を評価し、経営層のコミットメントと行動に結びつけています。

コンプライアンスと内部統制

JTBグループの「サステナビリティ基本方針(1)サステナビリティ推進体制と法令や行動規範の遵守」に基づき、私たちは、グローバル企業としての責任を果たすため、公正かつ透明性の高い経営を推進し、事業を行う国や地域の法令、グループ各社が定める社内規則・規程類等を遵守し、「JTBグループ行動規範」に則した行動を実践するとともに国や地域の慣習・倫理観を尊重しています。

内部統制システム

内部統制システムの整備は、社長執行役員を最高責任者として実施します。社長執行役員直轄の「内部監査室」が独立した立場からの定期的なモニタリングを行い、確認・評価します。評価に基づく改善活動の指導・支援は、まず各事業本部の統括部門が行い、それを内部統制チームが支援する体制としています。

JTBグループ内部統制体制図

JTBグループ内部統制体制図
法令および各種規定の遵守(コンプライアンス)に関する社員教育

JTBグループ社員として最低限身に付けておくべき法令等について、人権に関連する法令、個人情報保護関連法令、知的財産関連法令、取引関連法令、内部通報制度およびその遵守について、オンライン試験の実施等、社内への周知と意識浸透を図っています。

コンプライアンスクイズ:グループ社員のコンプライアンス意識醸成のため、年2回実施
(1回目:6月、2回目:JTB GROUP CODE 試験と同じ1月)

コンプライアンスセミナー:JTBグループポリシー理解浸透のため継続的に実施

2024年6月・2025年1月実施コンプライアンスクイズ

受講人数 2024年6月:15,711名
2025年1月:14,517名
受験率 2024年6月:80.5%
2025年1月:88.1%
クイズ言語 日本語・英語・中国語(簡体字)
・中国語(繁体字)・韓国語
・ポルトガル語・スペイン語

2025年3月末時点コンプライアンスセミナー

受講人数 6,131名
受講率 37.2%
セミナー言語 日本語・英語
「JTB GROUP CODE HOTLINE」の設置

当社は、役員、派遣社員、臨時雇用社員などを含む当社グループで働く全社員が、グループ内で不利益を被る危険を懸念することなく、違法または不適切な行為・情報開示に関する情報や真摯な疑念を伝えることができるよう、また、伝えられた情報や疑念が客観的に検証され適切に活用されるよう、相談・通報窓口を設置し、運用を行っています。人権に関する申し立てについても本ホットラインで適切に運用され、救済措置が実施されます。なお、2024年度の相談・通報窓口の利用件数は合計で55件でした。内訳は、職場環境改善19件、ハラスメント25件、労務人事系8件、不正会計・経理処理・法令違反3件となります。

体制・フロー図

体制・フロー図
取引・調達に関するポリシー

JTBおよびJTB社員が、お客様の実感価値向上とさまざまなステークホルダーの期待に応えるため、すべての取引において、企業の社会的責任を果たし、サービスを提供していただくサプライヤーの皆さまとともに協力をして、サプライチェーン全体でサステナブルな社会の実現に取り組んでまいります。「取引・調達に関するポリシー」は、次の個別ポリシーにより構成されています。

反贈収賄に関するポリシー
〈腐敗防止および贈収賄防止へのコミットメント〉
JTBグループは、最高水準の倫理意識を維持することに断固として取り組んでおり、いかなる贈収賄および腐敗も許しません。JTBは、あらゆる形態の贈収賄および腐敗も禁止しており、贈収賄・腐敗とみなされる恐れのある行動も同様に禁止しています。このコミットメントにより、適用されうるすべての法律を厳格に遵守することが求められ、民間または公共部門の職員、顧客/取引先およびサプライヤーを含むいかなる者に対しても、不適切な支払いを行い、贈答品の提供またはその他の勧誘を行うこと、また逆に不適切な支払いや贈答品の提供を受けることも禁止されます。

公正取引・カルテルに関するポリシー
〈公正かつ倫理的な競争へのコミットメント〉
JTBグループでは、「公正取引・カルテルに関するポリシー」を定めており、公正かつ倫理的な事業活動の原則の遵守に尽力しています。いかなる顧客、取引先、仕入先、提携先、または競合他社とも、不公正な取引・カルテルを行いません。

社内情報の透明性とコミュニケーション

人事異動に関する情報共有体制
当社では、社員への円滑かつタイムリーな情報共有を重視しています。人事異動については、原則として異動予定日の2週間前に当該者へ通知を行っています。なお、拠点の廃止など、組織全体に大きな影響を及ぼす事案においては、状況に応じてより早期の通知を実施する体制としています。

リスクマネジメントと危機管理

JTBグループでは、リスクを抽出して分析・評価・優先順位づけした上で、予防策・対応策を策定し、評価および改善を繰り返し、リスクマネジメントサイクルを循環させています。

リスクマネジメント基本方針
  • 会社構成員の安全および健康ならびに経営資源の保全を図る。
  • 経営資源に被害が生じた場合は、適切かつ迅速な回復を図る。
  • 関係者の安全、健康および利益を損なわないように活動する。
  • リスク顕在時は法令・社会通念に即した責任ある行動をとる。
  • 絶え間ないリスクマネジメント活動を通じて、会社の社会的評価を高める。
  • リスクに関する社会的要請をリスクマネジメントに反映する。
リスクマネジメント体制

社長執行役員を委員長とし、経営層にて構成されるグループ内部統制委員会のもとにリスクマネジメント推進部会、グローバル内部統制部会の下部組織を設置し、グループのリスクを網羅的に把握し、全組織のリスクを包括して管理する体制を構築し、リスクマネジメントを継続的に推進しています。

発生しうるリスクを、戦略リスク、コンプライアンスリスク、オペレーショナルリスク、ハザードリスクの4つに分類し、それぞれのマネジメントフローで管理、コントロールしています。各リスクは、発生頻度と影響度による評価を行い、評価基準によって重大リスクを定め、対策を策定しています。また、リスクオーナーを定め、制度と運用による責任を明確にすることで、リスクの発生の防止や発生の際の影響の軽減を図っています。重大リスクについては、継続的なモニタリングや機動的な対策支援が講じられるよう体制構築しています。

またグループ会社の各組織においては、自社の内部統制委員会を中心に毎年組織目標と計画を立て、リスクの総括表にて管理・運用しています。運用状況はグループ本社に報告されます。

JTBグループでは3線ディフェンスラインによるリスクマネジメント体制を推進しており、第1線(事業部門)、第2線(管理部門)が実施するリスク管理運用が適正に機能しているかどうかを第3線(内部監査室)が独立した客観的な立場で監査を実施し、評価、提言しています。リスクの発生状況やリスクマネジメントの運用状況は、取締役、監査役への内部統制のシステム運用報告の中でも説明し、理解を促し意見を得る機会を設定しています。

リスクマネジメント体制図

リスクマネジメント体制図
危機管理体制

JTBグループでリスクが顕在化して危機が発生した場合に、危機管理体制を統括する組織として事故対策本部を当社に設置し、迅速かつ的確な危機対応を行い、当社経営およびステークホルダーへの影響の極小化を図ります。

すべてのリスクを完全にコントロールすることは困難であり、また、自然災害のように発生を抑えることが不可能なリスクも存在します。そのため、さまざまな損失等を極小化し迅速に通常業務へ復旧するため、危機管理体制やBCPの体制を整備しています。

また、当社はグループ会社に対し支援・指示・指導を行い、グループ会社は当社に対し報告・連絡・相談を行うことで、グループ会社としても平時から危機管理体制やBCPの体制の整備を行い、緊急事態発生時においては各社における社員の安全確認やお客様の安全状況の確認、各社の事業の復旧や事業継続に迅速・的確に対応できるよう努めています。自然災害やサイバー攻撃など緊急事態となり得る事象を想定した模擬訓練を1年に1回実施し、緊急事態時の実践力・応用力も高めています。

危機管理体制図

危機管理体制図

適切な税務の推進

JTBグループは、適切な納税が各国・地域の経済および社会発展に影響を与える企業の社会的責任と認識し、各国・地域の税法およびその精神に従って適正適時の納税・申告に努めています。この考え方に基づき、「JTB行動指針(JTBGroup Policy)」を構成する「財務に関するポリシー」において指針を定めています。

税務に関する指針
  • 法令の遵守
    各国の法令、租税条約、その他の国際的な課税ルールを遵守する。
  • 税務当局との相互信頼関係の構築
    税務当局との健全な信頼関係を築くべく、適切な社内体制を構築し、必要な協力を適切に行う。
  • 税務コストの最適化
    企業価値最大化のために適切なタックスプランニングを行うが、濫用的租税回避は行わない。
  • 税務リスクの最小化
    事業活動における税務リスクを一元的に把握し、税務リスクを最小化すべく適切に対処する。
税務のガバナンスとマネジメント

JTBグループでは、最高財務責任者(CFO)を最高責任者として税務のガバナンスとマネジメントを進めており、適時、取締役会への報告を行っています。

社内への浸透

税務に関する指針は、社内イントラネットに掲載している「JTB行動指針(JTB Group Policy)」を通して全社員への周知を図っています。

情報セキュリティと個人情報の保護

JTBグループでは当社グループが取り扱う情報資産の機密性・完全性・可用性を維持するセキュリティを確保し、情報資産の保護と適切な安全対策を推進しています。情報セキュリティ規程に基づいて、グループ全体に下記項目の浸透を図っています。

情報セキュリティ規程
  • ・情報セキュリティ保持義務
  • ・情報セキュリティの管理体制
  • ・機密情報の管理・取り扱い
  • ・事故等への対応
  • ・情報セキュリティ教育
  • ・情報セキュリティ監査
情報セキュリティ体制• 外部監査
RISS

JTBグループでは最高情報セキュリティ責任者(CISO)を最高責任者とする情報セキュリティ管理体制を整備しています。また、ビジネス環境の変化に対応し、情報セキュリティ規程を定期的に見直しています。さらに、外部機関に「情報システム監査および情報セキュリティ監査支援業務」を委託し、管理体制のモニタリングおよび是正に取り組んでいます。

なお、情報セキュリティに関しては、ITセキュリティマネジメントシステム、および個人情報保護マネジメントシステムに則り、リスク対応策を定めています。また、当社のITセキュリティ対策チームには、情報セキュリティに関する国家資格「情報処理安全確保支援士」を持つ社員(2025年4月現在4名)が所属しており、より高度なサイバーセキュリティ確保のための施策を進めています。

情報セキュリティに関する研修

JTBグループでは、社員にセミナー、テストおよび訓練を実施することで、ITセキュリティ意識の向上と個人情報保護の徹底を図っています。具体的には「ITセキュリティハンドブック」を社員に配布して、どうしても守りたいITセキュリティの基本ルールを周知し、ITセキュリティ教育動画の配信と確認テストを実施して、基礎知識の向上を目指しています。2024年度は2回の確認テストを、延べ19,276人が受講しました。さらに、「JTB GROUP CODE試験」においても、ITセキュリティおよび個人情報保護について出題し、理解・浸透度を把握し、改善につなげています。

外部委託業者に対する対応

JTBグループでは、システム開発におけるITセキュリティリスク軽減のため、新たなIT業務の委託にあたっては、「外部委託業務に係るITセキュリティチェックシート」の提出を義務付けています。これにより外部業務委託パートナーのセキュリティ習得の度合いを確認し、グループ全体のITセキュリティ向上に努めています。2024年度は延べ200社から提出されています。

ISMS(ISO/IEC 27001)の取得

国際規格に基づき、組織が有する多種多様な情報のセキュリティ確保の仕組みを適切に構築・運用していることを認証する「ISMS」については、2025年5月現在、ISO27001を22個所で取得しています。2025年度には新たに5個所で取得し、合計27個所への拡大を目標としています。主要な営業個所については、全体の76%が取得済となりますが、引き続き認証個所の拡大を進めていきます。

個人情報保護

「個人情報の保護に関する法律」およびJTBグループ各社の「情報セキュリティ規程」「個人情報保護マネジメントシステム」に準拠して、お客様の個人情報をグループ各社で適切に取り扱い、保護しています。
2024年度に㈱JTBとして個人情報保護委員会へ報告した個人情報漏洩事故は0件でした。
JTBグループの個人情報保護について