JTB

人権

人権への配慮

基本的な考え方

JTBグループ(以下「JTB」)は、JTBグループポリシー( JTB Group Policy)において「人権に関するポリシー」として以下の内容を定めています。

「人権に関するポリシー」

「人権に関するポリシー」は、JTBおよびJTB従業員が国連憲章および世界人権宣言及び国際規範等、ならびにJTBグループ経営理念に基づき、すべての人の人権を尊重、擁護し、人権侵害を一切容認しないこと(ゼロトレランス)、JTBにおける人権侵害行為の防止、ならびに発生時の早期是正措置の実施を目的とし、 JTBが人権侵害と見做す行為について共通の理解を形成し、 JTB従業員がこの問題に関する自身の権利および責任について認識を高めることを目指しています。
本ポリシーは、次の個別ポリシーにより構成されています。

(1)差別・ハラスメントに関するポリシー
(2)反奴隷制及び人身取引に関するポリシー
(3)DEIB(Diversity, Equity, Inclusion, Belonging)ポリシー
*国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、国際人権規約、国連グローバル・コンパクト10原則

JTBはすべてのビジネスパートナーに対しても、同様に人権尊重についての理解と協力を求め、ともに事業活動を通じて社会における人権尊重の促進に貢献することを目指します。

具体的には、以下の取り組みを進めることを定めています。

■人権デューデリジェンス

事業活動に関係する人権課題の特定、評価、防止、軽減を図るため、「人権デューデリジェンス」を実施しております。2023年度JTB社員を対象に開始、2024年度には国内グループ会社にも対象を拡大し実施しました。今後海外グループ会社、JTBのサプライチェーン上にある取引先へ随時対象を拡大する予定です。
これらの活動により得られた結果は、定期的にJTBグループのウェブサイトにて公開し、透明性のある情報開示を行います。

■苦情処理・救済窓口

JTBグループの事業により直接的影響を受けることが予想される社内外のステークホルダーに対して、人権に関する相談や苦情の申し立て(以下「申し立て」)をすることができる各窓口を設置しており、申し立てに誠実に対応するとともに、必要な救済を受けることができるよう取り組みます。この取り組みにおいてJTBグループに問題があると特定された場合には、その改善に努めます。

■ステークホルダーとの対話

さらに、JTBグループの事業において、人権に関する負の影響を適切に把握し、改善を図るため、関連するステークホルダーとの対話に努めます。

■教育

JTBグループは、「人権に関するポリシー」を含むJTBグループポリシーについて、JTB社員を対象とした教育研修を実施し、JTBグループポリシーをより実行性の高いものとなるよう取り組んでいます。

<人権尊重のためのマネジメントシステム>

取り組みを着実に推進することにより、事業活動を通じて社会における人権尊重の促進に貢献することを目指します。

人権尊重のためのマネジメントシステム図

■ガバナンス体制

人権に関する対応については、CCO(Chief Compliance Officer)が管掌し、経営会議・取締役会で進捗確認を行います。

推進のための取り組み

■人権デューデリジェンスの実施と対策

JTBグループでは人権リスクの把握に向けて、人権リスクを特定し防止・軽減を図り、取り組みの実効性や対処方法について説明・情報開示を行う「人権デューデリジェンス」を実施しています。

(1)2024年度 人権に関する調査について

①調査概要

国内従業員に対して、人権に関するアンケート調査および書面調査、診断を以下のとおり実施しました。

  • ・実施時期 2024年12月9日~12月23日
  • ・回答者数
    JTB 8,393人/回答比率:69% (前回)8,564人/72%
    国内グループ会社(連結決算19社) 4,736人/回答比率:83%
  • ・実態件数・管理体制に関する書面調査
  • ・人権リスク・管理体制・予防是正措置に関する外部専門会社による診断

②調査結果の分析による人権リスクの特定

  • ・2023年度から2024年度の変化(アンケート結果より)
    「ハラスメントを見聞きしたことがある」の回答は2023年度10.70%から2024年度には1.49%に減少しましたが、2024年度調査では「直近1年の事案」に変更したことが影響し、フリーコメントにはハラスメントに関する記載があり、必ずしも改善されている状態とは言えませんでした。また、労働安全衛生と労働時間については著しい変化はありませんが、引き続き課題として認識しています。
  • ・分析と評価、優先して対応すべき人権リスクの特定
    JTBグループにおける個別人権リスクに対するリスク評価および脆弱性評価の結果としては、管理体制は整備されているものの、社員意識調査の結果を含め発生の可能性が高く、リスク発生時の影響が大きい「ハラスメントと虐待」「労働安全衛生」「労働時間(休憩・休日の権利)」を継続して顕在化しているリスクとして特定しました。
    加えて、事案の発生はないが、管理体制が未整備でリスク発生の可能性があるという分析結果をもとに、「児童労働」と「先住民族・地域住民の権利」も潜在的な優先リスクと特定しました。

(2)人権リスクへの具体的な対策と目標

「ハラスメントと虐待」に対しては教育・啓発活動の充実を図るとともに、「社員意識調査」結果のモニタリングを継続実施します。
「労働安全衛生」「労働時間(休憩・休日の権利)」の具体的な対策は、該当ページに記載します。

①教育・啓発活動の実施

  • ・人権に関するポリシーのEラーニングの提供(2024年度の受講者数は707名)
  • ・ハラスメントを含めた人権への取り組み理解を深めるためのセミナー動画による学習
  • ・役職者向けの教育
  • ・社員の行動の礎となる行動規範に対する社員教育と、行動規範遵守宣言の取得
  • ・コンプライアンスデーにおける職場ディスカッションでのテーマ化
  • ・ラインマネジメント向けのDEIB研修
  • ・LGBTQ+セミナー(経営ボード対象、学びのサマフェス、DEIB Week)
  • ・カスタマーハラスメント方針の策定、窓口の開始および周知

②目標(KPI)

各部門と連携の上、項目ごとに設定したKPIをもとに進捗をはかりながら、人権の尊重につながる取り組みを推進します。

なお、「児童労働」「先住民族・地域住民の権利」については、特にリスク発生の可能性が想定される一部のエリア、事業者などについてヒアリングを開始し、リスクを特定し、是正策を検討します。

(3)今後の人権デューデリジェンスの実施対象範囲の拡大

以下の通り人権デューデリジェンスの対象範囲を拡大します。

  • ・従業員:海外グループ会社に対して2025年度から開始(対象範囲検討中)
  • ・サプライチェーン:
    2025年度/事業経由で一部リスクが想定されるサプライチェーンに対してヒアリングを実施予定。
    2027年度/サステナブル取引方針の運用におけるサステナビリティ調査と同時に開始予定。

■苦情処理・救済窓口

「JTBグループ社外ステークホルダーホットライン」の設置

JTBグループでは、従来お客様からのご指摘を承る「お客様相談室」や、全社員からの相談・通報窓口として「JTB GROUP CODE HOTLINE」を設置しています。
加えて、2025年6月から、事業パートナーや地域コミュニティの皆様といった社外ステークホルダーからの苦情・相談・通報を受ける窓口を設置し、是正措置を速やかに講じる救済の仕組みを構築しました。「JTBグループ社外ステークホルダーホットライン」では、法令により許容される範囲で、第三者に知られず匿名で通報することもできます。当社内部統制チームが関連部署に確認しながら対応にあたり、案件によっては、社外弁護士と連携し公正に対応します。本ホットラインに通報したことを理由に通報者が不利益な取扱いを受けることはありません。

<JTBグループ 社外ステークホルダーホットライン>

  • ・受付時間:当社営業時間(9:30-17:30、土・日・祝日・その他の当社休業日を除く)
  • 問い合わせフォーム

■ステークホルダーダイアログの実施

2024年8月、「私たちのビジネスと人権について〜ツーリズム産業を取り巻く様々なステークホルダーの人権尊重を目指して〜」をテーマに、全従業員を対象とし、ILO駐日事務所プログラム・オフィサー、渉外・労働基準専門官(田中竜介氏)、ヒルトン、日本・韓国・ミクロネシア地区担当リージョナル人事企画統括本部統括本部長(瀧澤洋美氏)とともに、パネルディスカッションを実施しました。
本ダイアログでは、ツーリズム産業における人権課題の複雑さと、その解決に向けた継続的な取り組みの重要性を議論し、当社は人権尊重における「知る努力」の重要性と、ステークホルダーとの対話の必要性を再認識しました。今後、人権デューデリジェンスの強化、従業員向け人権教育の拡充、およびサプライチェーン全体での人権尊重の推進に向けた準備に取り組みます。また、ステークホルダーとの対話を継続し、ツーリズム産業における人権課題への理解を深め、具体的な解決策を策定し実行します。