クリエイティブ賞

最優秀作品

作品名
世界マーケット博覧会
都市の余白に世界が現れる-場所なき博覧会
受賞者名
村上 明さん

アイデアの内容

世界マーケット博覧会 ― 場所なき都市のための祝祭
『建てない博覧会、漂う博覧会、出会う博覧会』


従来の博覧会は、巨大なパビリオンの建設や先端技術の展示など、『建設を中心とした未来像の提示』に偏ってきました。 しかし、本来の博覧会は、国境や文化を越えた『人類の交流』から未来を発見する場であるべきだと考えます。
そこで私は、建設依存型の博覧会から脱却し、『出来事による交流』を生み出す新しい博覧会の形を提案します。

『世界マーケット博覧会』
新たな土地開発は行わず、都市の余白——コインパーキングを舞台に、世界各地の市場文化を一時的にインストールします。

市場は、都市における最小単位の博覧会。
台湾の夜市では、屋台の光と匂いが都市を祝祭へと変える。
ヨーロッパの朝市では、広場が一時的に人々の交差点となる。
メキシコのティアンギスは、曜日ごとに異なる街区に立ち現れる移動市場です。

そこには『建設』ではなく『出来事』があり、『施設』ではなく『時間と出会い』が存在します。
世界マーケット博覧会は、この市場の本質を東京23区にインストールする。
住宅地、商店街、オフィス街など、日常の風景が一夜にして交流の舞台へと変わる。
偶発的な出会いを生み、人々の心を満たし、都市の余白を再発見し、地球環境への負荷を抑えながら未来への扉をひらく——それがこの新しい形の博覧会です。

開催情報はSNSを通じて告知され、都市を横断する『移動祝祭』として展開されます。
この博覧会は、都市の空虚を祝祭へと変えることで、これまでの『開発の未来』から『出来事の未来』への転換を目指します。

思いついたきっかけ

私は海外を訪れる際、必ず市場に足を運ぶようにしています。市場は、その土地の生活を最もリアルに体験できる場所であり、文化の断面が交差する『交流のハブ』です。いわば、都市における最小単位の博覧会とも言える存在です。

日本にも市場は存在しますが、その多くは卸業者向けであったり、観光地化されたものです。生活者のための市場——日常の中で文化が自然に交わる場——は、ほとんど見られません。
一方で、日本の都市には『コインパーキング』という独特の空虚が広がっています。これは海外には見られない、日本特有の都市の余白であり、祝祭の舞台として再定義できる可能性を秘めています。
この空虚な場所に、建設ではなく『出来事』を差し込むことで、博覧会の理念を現代都市に再起動させたい——それが、このアイデアの原点です。

博覧会の場でこうした差異を紹介し合うことは、『互いの都市に必要なものは何か』『未来の生活文化にどのような仕組みを取り入れられるのか』を学び合う契機となります。
つまり博覧会は、単なる技術や産業の展示にとどまらず、日常生活を形づくる文化装置を交換し、再発見する交流の場となり得るのです。

『建設』ではなく『出来事』を都市に挿入する。
『施設』ではなく『時間と出会い』を立ち上げる。

この発想こそが、私がこの構想に至った背景です。

アピールポイント

■ 『交流の3つの価値』との接続
人を満たす:偶発的な市場体験が、日常から切り離された人と人の交流を創出。食や音楽、手仕事に触れることで心を満たす。
社会を発展させる:既存の都市インフラ(コインパーキング)を再利用し、都市の空白を社会資源として活用する新しい都市デザインの発想。
地球の豊かさを守る:新築パビリオンを建てず、既存空間をリユース。移動型インフラや再生可能エネルギーの導入により資源消費を抑制。

■ サステナビリティと実現性
土地開発を前提としない『イベント型都市利用』により環境負荷を最小化。
都市の余白を可視化し、将来的な土地活用にも柔軟に波及。
ソーラーパネル搭載の移動パビリオンにより循環型エネルギーを実装。

■ オリジナリティと夢
『博覧会=建設』という固定観念からの脱却。
都市の空虚に突如現れる世界の市場という演出が、参加者に驚きと高揚感を与える。
東京23区の住宅地や商店街に夜市の風景を重ねることで、『日常が一夜にして世界とつながる』夢を喚起。

■ クリエイティブな工夫
都市マップ上に空虚を赤点でプロット → ダイアグラム化。
移動パビリオン設計:トイレ、電源、仮設サービスをモジュール化。
SNSや仮想空間による告知・運営 → 都市に漂着するイベントとして展開。

受賞者コメント

村上 明さん

海外旅行で市場を訪れるたびに、人々の交流が生む祝祭性に魅了されてきました。日本には生活者の市場は少ない一方、都市にはコインパーキングという独特の余白があります。この空虚に「建設」ではなく「出来事」を差し込むことで、博覧会の理念を現代都市に再起動させたい――その思いから本アイデアを発想しました。

審査員講評

コインパーキングを博覧会にする発想が秀逸です。市場や各国のブースが並ぶ様子を想像すると面白く、実現可能性も高いと感じます。人が集まり交流の場となることで、新たな価値創造や発展に繋がるリアルな可能性を秘めている点が素晴らしいです。

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