沖縄県で、観光レコメンドによるレンタカーの渋滞緩和と周遊促進を確認
株式会社JTB
株式会社JTBは、沖縄県においてレンタカーによる事故削減および渋滞緩和を目的とした「沖縄ゆいまーるプロジェクト」の一環として、これまで北部エリアで実施していた車中空間での観光レコメンドに加え、南部観光ルートの提案を通じて分散周遊と交通渋滞緩和に取り組みました。その結果、観光客の周遊促進が進み、一定の成果を得ることができました。
北部エリアにおける行動変容の分析では、トヨタ自動車と連携し車両データを活用。山側の推奨ルート(山ルート)では渋滞が発生せず所要時間のばらつきが少なく、海沿いのルート(海ルート)では時間帯により走行時間の1-2割渋滞の影響を受けるケースがあること、比較すると山ルートを選択されるのは僅か1.1%であることが明らかになりました。
本実証実験の結果を踏まえて、今後も交通渋滞や情報アクセスに対して魅力ある提案をすることで、レンタカー観光における渋滞回避による時間の正確性向上、オーバーツーリズムへの対策、回遊性の向上と滞在時間を延ばすことで地域消費額の向上に寄与し、サステナブルな地域社会の観光振興に貢献してまいります。
【これまでの実証実験について】
· ステップ1(2021年12月〜)
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金、矢崎総業株式会社、株式会社トヨタレンタリース沖縄と連携し、安全運転支援のための実証実験を開始。
· ステップ2(2022年〜)
トヨタ自動車株式会社、琉球大学、東京大学大学院工学系研究科が参画。車載タブレット用アプリによる観光レコメンドを通じて、交通渋滞の緩和と地域活性化を目指す。
· ステップ3(2023年〜)
沖縄県警察本部と連携協定を締結。事故削減に向けた多角的なデータ分析を実施。2024年3月には観光客の行動変容を確認し、同年9月からは南部観光周遊のレコメンドを開始。
(2021年12月リリース https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2021/12/post-52.html)
(2022年10月リリース https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2022/10/jtb-car-rental-okinawa.html)
(2024年3月リリース https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2024/03/18_jtb_okinawa-yuimaru-pjt.html)
【実証実験(ステップ3)と成果】
①南部観光レコメンド:観光レコメンド実証前後での、おすすめ施設の訪問数を比較検証
那覇以北を訪問する観光客が多い傾向があり、北部から那覇市内に戻る際、午後~夕方など特に旅行最終日の渋滞により時間のロスが課題と捉え、早い時間に南部を訪問する南部観光ルートを提案することで、前年同期間・同台数のレンタカーにおける南部訪問数が2倍となりました。
琉球大学 神谷教授・東京大学大学院 福田教授によると、「このような行動変容により、時間・空間・ルートの分散が実現することで、観光客にとって有効な滞在時間が増え満足な観光体験が得られるとともに、地域にとっての課題である消費額の向上にも貢献できる可能性がある」との評価をいただいており、また実際におすすめの立ち寄りスポットへの訪問数は増加し、地域経済の活性化に寄与する形となりました。
②北部観光レコメンド:往復いずれかで"渋滞の少ない山ルート"を選択いただいた方の比較
トヨタ自動車株式会社のレンタカープローブデータを分析したところ、通常レンタカーのルート選択において渋滞が少ない山ルートを選択した車両は僅か1.1%のところ、観光レコメンドを実施した車両では14%と、行動変容が顕著に見て取れつつ、渋滞回避にも繋がる成果を確認いたしました。
③ 北部観光レコメンドによる交通渋滞回避の実態
海沿いの国道449号線(海ルート)、レコメンドをしている県道84号線(山ルート)について、トヨタ自動車の車両データより解析を行ったところ、「海ルートは所要時間のばらつきが大きい」こと、また「海ルートは渋滞遭遇のケースがあり、平均して走行時間の1割程度で渋滞の影響を受けている」ことを確認いたしました。
図表:トヨタ自動車株式会社様 作成
【実証実験(ステップ3)の概要】
1. 期間: ステップ3:2024年9月1日~2025年3月31日
2. 対象エリア: 沖縄本島(交通事故・観光レコメンド)
3. 対象者: トヨタレンタリース沖縄にてレンタカーを利用され、本実証実験に同意いただいたお客様
4. 主な活動:
① インフラ対策:警察事故データと車両データ(トヨタ自動車)との分析に加え、新たにドライブレコーダーの映像を活用した分析(東京海上日動)を実施し、道路環境にも着目したインフラ対策を各行政機関とも連携して取り組み
② 危険箇所の特定に向けた更なるチャレンジ:警察データと車両データ(トヨタ自動車)と損害保険事故データ(東京海上日動)を連携し、AIを活用して潜在的な危険箇所を地図上に見える化
③ 運転行動の変化:車内のマルチメディアにて楽しいキャラクター「ゆいまるくん」が運転状態のお知らせや危険箇所を周知(トヨタ自動車)
④ 渋滞解消に向けた取り組み:北部エリアに集中する観光客に対して、北部での混雑ルート回避に加えて、南部観光ルートを提案し周遊を促進(JTB)
車両データ(トヨタ自動車)により渋滞が起きやすい箇所や傾向を把握し、今後沖縄県警察本部と連携しながら、信号調整など渋滞緩和へチャレンジ。
レンタカー車中空間での観光レコメンドイメージ(車載タブレット用アプリ「スマイルくん」画面)>
【今後の展望】
2025年8月より、新たに株式会社アイシンも本連携協定に加わり、沖縄本島を広く捉えた渋滞回避の取り組みを進めていきます。JTBは引き続き各社と連携し、観光客、観光事業者、地域住民のすべてのステークホルダーにとって価値ある持続可能な観光の実現を目指してまいります。社会課題の解決と観光体験の向上を両立した"沖縄モデル"の確立に一層注力し、サステナブルな地域社会の観光振興に貢献してまいります。
【連携協定締結パートナー】
【今回の取り組みに関連するSDGsの目標】
JTBビジネスソリューション事業本部 第一事業部
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