サステナブルな交流をする人の拡大
JTBグループでは、お客様により多くの交流や旅の選択肢を提供し、訪問地との相互理解の促進、多様なアクセス方法の提供、さまざまな人とのコミュニケーション機会の拡大を図っています。近年、この取り組みは海外から日本を訪れるお客様(インバウンド)にも拡大しています。
- サステナビリティに価値を感じるお客様の選択肢の拡大
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JTBでは、社会や環境の持続可能性により高い価値を感じるお客様に向けて、より多くの旅の選択肢を用意しています。
取り組み事例1:GSTCスタンダードに準じた「サステナブルツーリズム」の実施
JTBグループは経営の根幹にサステナビリティを据え、社会や環境の持続可能性に配慮した商品・サービス・ソリューションの開発や、事業パートナーとの新たな関係構築を進めるなど、サステナブルツーリズムを進めています。
2024年11月には、持続可能な旅行と観光のための国際スタンダードを策定・管理するグローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(The Global Sustainable Tourism Council® 、以下「GSTC」)が認定した第三者国際認証機関の1つBureauVeritasから、日本国内ツアーにおける「GSTCツアーオペレーター認証」を取得しました。続いて、グループ会社のTour EastSingapore 、JTBグローバルマーケティング&トラベル、JTBPTE LTDも認証を取得しました。この認証は「持続可能な経営」、「社会経済の持続可能性」、「文化の持続可能性」、「環境の持続可能性」の4項目で構成されています。 今後、JTBにおいて「サステナブルツーリズム」を謳う商品は、GSTCスタンダードを踏まえて、次の観点で確認をします。
・宿泊施設
・食事場所、交通手段、生物・自然への配慮
・法の遵守、広告宣伝
・文化遺産保護、地域住民への配慮取り組み事例2:サステナブルツアー「TSUNAGARI 旅」の展開
カナダ観光局との協働からうまれた「カナダTSUNAGARI旅」は、サステナブルツーリズムの拡大に向けて参考になる点が評価され、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)主催の「ツアーグランプリ2023」において国土交通大臣賞を受賞。さらに2025年上期にはヨーロッパのフランス、イギリス、スイス、同年下期にはアジア、オセアニア方面にもツアー展開を拡大しています。
スイスのツアーは、現地での移動に排気ガスを出す自動車を使わずすべて列車やロープウェイで巡る、環境に配慮した旅であり、同じ行程を自動車で巡る場合と比べて、約80%の二酸化炭素排出量削減につながります※。取り組み事例3:サステナブルな旅素材の提供
地域の文化や自然の尊重、環境負荷の軽減を行いながらアクティビティや異文化体験ができるアドベンチャートラベルや、マイカップ持参で特典が受けられる「マイカップ・マイボトルde旅グルメ」といったサービスの開発・提供を行っています。取り組み事例4:スイス政府観光局と連携したSwisstainable(スイステナブル)の展開
Kuoni Global Travel Services (Schweiz)はスイス観光局と「スイステナブル・パートナーシップ」契約を締結し、2022年から2024年の3年間にわたって世界各地で段階的にツアーに関するプロモーションを実施しました。一般には未だ知られていない、スイステナブルのテーマや商品に関する顧客とスイスのサプライヤーへの認知度と関⼼を深めるため、すべての市場において集中的なマーケティングキャンペーンを展開し、効果的なプロモーションを実施しました。結果、2022年から2024年で全327,025泊の取り扱いや、平均滞在日数を2019年の2.2日から2024年の3.9日に延長させる実績につながりました。
©Jungfraubahnen 2019
※スイス連邦鉄道公式サイト内Ecocalculatorによる算出
※乗用車利用時の1人当たりのCO2 排出量で比較
- お客様の訪問地に対する理解の促進
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観光地を訪れる旅行者には、その土地の文化や習慣、法令への理解と配慮が求められます。JTBでは適切な情報提供を行い、お客様の注意喚起・行動変容を促しています。
取り組み事例1:文化や法令の理解
宗教施設への訪問に関しては、タイ、ミャンマー、ラオスで取り組みを行っており、ドレスコードを細かくお伝えしています。また、ハワイでは海洋生物との推奨距離や、現地の法令、違反時の罰金などの情報をご提供しています。取り組み事例2:JTBウェブサイトでのサステナブルツーリズム商品情報の提供
サステナブルな商品の選択を進めやすくするために、旅行と持続可能性の関連性等に関しての情報をわかりやすく掲載するとともに、JTBの旅行商品だけではなく、事業パートナーである宿泊施設のサステナビリティへの取り組みも伝えています。
取り組み事例3:「サステナブルな旅行のヒント」の提唱
グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)メンバーであり、日本でのサステナブルトラベルの重要性や認知拡大への必要性に共感するJTBと楽天トラベル、Booking.comは、2024年9月に行われた「ツーリズムEXPOジャパン2024」において、来場者に向けたサステナブルトラベルの推進を図るための啓発活動を行いました。会場内に特設ブースを設け、旅行者に向けた12項目の「サステナブルな旅行のヒント」を紹介しました。来場者のアンケート結果から「知っているけど行動できていない(商品や情報が不足している)」ことが分かり、今後、ツーリズム業界としてGSTCスタンダードをベースとしながら日本市場に適したルールや仕組みの構築に取り組んでいきます。
- アクセシビリティの向上とユニバーサルツーリズムの推進
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JTBグループは、すべてのお客様が情報やサービスを円滑に入手できるようさまざまな手段で情報の提供を行い、さらに旅を楽しんでいただけるような取り組みを進めています。
取り組み事例1:リモート相談デスクによる情報提供
JTBはWebを通じてコンサルタントや専門デスクに相談いただける仕組み「JTBリモートコンシェルジュ」を提供。「近隣に店舗がない」「お子様連れで来店しにくい」といったニーズに応えています。取り組み事例2:障害のある方への情報提供
手話通訳付リモート相談デスク:JTBリモートコンシェルジュにて手話通訳付きリモート旅行相談を行い、聴覚障害のあるお客様にも安心して旅行相談をいただける機会を提供しています。
UDトークの活用:聴覚障害のあるお客様など、文字情報でコミュニケーションを希望される方向けに、音声認識文字化アプリ「UDトーク」を店頭で活用しています。取り組み事例3:観光地におけるバリアフリー情報の提供
JTBグループの海外事業会社と連携して世界36カ国の約800の観光箇所のバリアフリー情報を集約・整備し、旅行の相談時に情報を提供しています。取り組み事例4:「よりそいの宿」に関する情報の提供
「旅行中、大浴場を楽しみたいのに乳がんなどで手術の傷跡が気になって入りづらい」というお客様が少なくないことを背景に、旅館やホテルにおける露天風呂付客室や貸切風呂の情報に加え、術後の傷跡を覆う専用入浴着の利用可否・貸出・販売の情報、大浴場の洗い場の一人ひとりの仕切り、脱衣所の目隠しスペースの有無等の情報を「よりそいの宿」としてまとめて、北海道内のJTBの店頭で案内を行っています。
『JTB協定旅館ホテル連盟ニュース(2・3月号)』のサステナブルツーリズム座談会にて、日本国内のJTB協定旅館ホテル連盟会員およびJTB支店にも案内し、専用入浴着の着用理解や男女大浴場に共通で掲示できる乳がん検診を促進するポスターの制作を進めています。
取り組み事例5:ハワイでの透析治療手配サービスの紹介
旅行中に透析治療が必要なお客様に向けて、「日本エマージェンシーアシスタンス(株)」と業務委託契約を締結し、2025年5月からハワイでの透析治療手配サービスの紹介をスタート。今後、お客様に知っていただけるように情報を発信していきます。
- 海外から日本を訪れるお客様(インバウンド)への、日本の多面的な魅力の情報提供
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近年、日本各地を訪れる外国人観光客の急増により、各地域の文化や環境、地域住民の暮らしへのマイナスの影響が懸念されています。JTBグループは海外から日本を訪れるお客様(インバウンド)に向けて、環境負荷の削減やオーバーツーリズムの抑制につながる商品づくりを目指し、人気地域( 大阪・京都・東京)に集中せず、日本の多面的な魅力を発見いただける旅の提案を行っています。
取り組みの目標と実績
指標 2024年度 実績 2025年度 目標 2028年度 目標 大阪・京都・東京以外の宿泊者比率の向上 53.1% 60% 65% 取り組み事例1:新たな観光ルートの開発
JTBグローバルマーケティング&トラベルでは、訪日外国人観光客向け国内パッケージ旅行 「サンライズツアー( SUNRISETOURS )」において、オーバーツーリズムの解消と地域への新たな訪日人流創出を目指したプロジェクトを2022 年に始動し、これまでに、北海道から九州まで5つの新インバウンドルートを開発してきました。2024 年度の実績は5ルートで合計509 名でした。
北海道アドネイチャールート®、東北ディスカバリールート®、レインボールート®( 東京・金沢・京都)、せとうちシーニックビュールート®、九州オーセンティックルート®:持続可能な観光実現に向けた北陸「レインボールート®」構築による新たな訪日人流創出の取り組みがツアーグランプリ2024 訪日旅行部門観光庁長官賞を受賞しました。

※ルート開発エリアの地図
安心・安全への取り組み
JTBグループは、安心・安全な旅の提供が交流創造事業の担い手としての責任であることを認識し、「JTBグループ旅行安全に関する基本方針」を定め、その実現のために具体的な実施事項として「JTBグループ旅行安全マネジメント規程」(事業の運営方針や管理体制・方針等を規定)、「JTBグループ旅行安全マネジメント指針」(サービス提供者やツアーオペレーターの選定基準、安全調査、危機回避対応等の指針)を2015年にとりまとめて、随時見直しを行っています(最新改定2024年)。
- 基本方針
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- JTBグループは、旅行の安全確保が事業の最優先課題であると認識し、取り組んでいきます。
- 「旅行安全マネジメント規程」、「旅行安全マネジメント指針」を定め、役員および従業員がこれを遵守します。
- 「旅行安全マネジメント指針」について、定期的に実施状況およびその有効性について評価し、不断の見直しを実施します。
当社グループで働くすべての役員・社員・スタッフは、当方針を遵守し、ステークホルダーや社会からの信頼を築き、持続可能な社会の実現に積極的に貢献することを目指しています。
推進体制

当方針、また「旅行安全マネジメント規程」と「旅行安全マネジメント指針」については、JTBグループ社長を委員長とする「内部統制委員会」と内部統制委員会の下部組織である「リスクマネジメント推進部会」がモニタリングを行っています。また、「旅行安全マネジメント規程」については、旅行安全管理責任者であるツーリズム事業本部長を委員長とするJTBグループ旅行安全委員会において、旅行の安全を確保するとともに、旅行安全目標・旅行安全計画の策定および諸施策の実施、グループ各社への指導・助言を行うことを目的としています。
取り組み事例1:旅行催行基準の設定と催行判断
国内・海外ともに旅行の催行には安全を第一として催行基準を設けています。日々変化する状況を「JTBグループ旅行安全委員会」において分析検討し催行判断を行っています。
取り組み事例2:危機管理・対応
企画旅行中の事故は、レポートラインとトリアージ基準を定め、事故レベルに応じて事故対策本部を設置し、その指示のもと対応を行います。
取り組み事例3:事業パートナー(宿泊・ 運送他事業者)の選定
旅行にご協力いただく事業パートナーは当社独自の選定基準を設け、契約を締結のうえ手配を行っています。なお、海外手配に関しては安全管理基準の見直しを行ったうえ、現地手配代行業者にも当社の安全管理基準の周知を図っています。
- ガバナンス・推進体制
- 重要課題(マテリアリティ)
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・心豊かなくらし
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・人々をとりまく環境
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・パートナーシップ
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