JTB

人々の心と体の活力と健康

サステナブルな交流をする人を拡大

JTBグループでは、お客様により多くの交流や旅の選択肢を提供し、訪問地との相互理解の促進、多様なアクセス方法の提供、さまざまな人とのコミュニケーション機会の拡大を図っています。近年、この取り組みは海外から日本を訪れるお客様(インバウンド)にも拡大しています。

サステナビリティに価値を感じるお客様の選択肢の拡大

JTBでは、社会や環境の持続可能性により高い価値を感じるお客様に向けて、より多くの旅の選択肢を用意しています。

取り組み事例1:地域の文化・自然の尊重
地域の文化や自然の尊重、環境負荷の軽減を行いながらアクティビ ティや異文化体験ができるアドベンチャートラベルや、エコカップ持参で特典が受けられる「エコカップでトリップ」といったサービスの開発・提供を行っています。

取り組み事例2:カーボンニュートラルとなる旅の提供
グリーン電力をつくる費用や再生可能エネルギーによる電力自給率向上につながる費用を、通常の旅行費用に加えることで、CO2削減に貢献できるCO2ゼロ旅行®を提供しています。立山黒部アルペンルート、首都圏発京都ツアー、関西発博多ツアーにおいて、サービスを提供しています。

取り組み事例3:「TSUNAGARI旅」による、カナダでのサステナブルツアー
旅先の人や地域、文化に理解や共感を深め尊重し、限りある資源を意識し行動変容を起こすことがJTBの目指すサステナビリティであることを踏まえ、2021年度からカナダ観光局と「TSUNAGARI旅」を企画し、2022年5月から販売を開始しました。「守られてきたものを大切に守り」「受け継がれてきたことを伝え」「育まれてきたものを未来に持続する」というカナダの人々に敬意を表し、同国の自然、文化、歴史、人々が持つ多様なストーリーをツアーに組み込んでいます。
海洋資源や環境に配慮された漁獲・養殖されたシーフードを使うレストランでの食事や、環境配慮プログラムを行うホテルの利用など、カナダの未来につながる「7つの取り組み」を通じ体験や交流に焦点をあてています。サステナブルツーリズムの拡大に向けて参考になる点が評価され、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)主催のツアーグランプリ2023において国土交通大臣賞を受賞しました。
今後はスイスをはじめ他地域においても同様の企画を行い、持続可能なツーリズムの発展に貢献します。

お客様の訪問地に対する理解の促進

観光地を訪れる旅行者には、その土地の文化や習慣、法令への理解と配慮が求められます。JTBでは適切な情報提供を行い、お客様の注意喚起・行動変容を促しています。

取り組み事例
宗教施設への訪問に関しては、タイ、ミャンマー、ラオスで取り組みを行っており、ドレスコードを細かくお伝えしています。また、ハワイでは海洋生物との推奨距離や、現地の法令、違反時の罰金などの情報をご提供しています。

アクセシビリティの向上

JTBグループは、すべてのお客様が必要な情報やサービスに円滑にアクセスできるよう配慮し、社会のEquity(公平性)に貢献しています。

取り組み事例1:リモート相談デスクによる情報提供
JTBはWebを通じてコンサルタントや専門デスクに相談いただける仕組み「リモートコンシェルジュ」を提供。「近隣に店舗がない」「お子様連れで来店しにくい」「感染症対策のためにリモート対応を希望する」といったニーズに応えています。

取り組み事例2:〈障害のある方への情報提供〉手話通訳付リモート相談デスク
JTBリモートコンシェルジュにて 手話通訳付きリモート旅行相談を開始。聴覚障害のあるお客様にも安心して旅行相談をいただける機会を提供しています。

取り組み事例3:〈障害のある方への情報提供〉UDトークの活用
聴覚障害のあるお客様など、文字情報でコミュ ニケーションを希望される方向けに、音声認識文字化アプリ「UDトーク」を店頭で活用。

取り組み事例4:海外の観光箇所のバリアフリー情報の提供
JTBグループの海外事業会社と連携して、世界36カ国の約800の観光箇所のバリアフリー情報を集約・整備して、ご旅行の相談時に情報提供できるようにしています。

取り組み事例5:ハワイでの透析治療手配サービスの紹介
旅行中に透析治療が必要なお客様に向けて、「日本エマージェンシーアシスタンス(株)」と業務委託契約を締結し、ハワイでの透析治療手配サービスの紹介を開始致します。

多様な人の交流機会の拡大

JTBグループでは、多様な価値観や個性を持った人が自分らしく暮らせる社会の実現を目指しています。

取り組み事例:就労を目指す障害のある方に、多様なきっかけを提供
現在2.5%(従業員40人以上の事業者)である障害者法定雇用率は、2年後に2.7%(同37.5人以上)に引き上げられ、障害者人材の確保は多くの日本企業の課題となっています。
JTBデータサービスは障害を持つJTBグループ社員へのサポートの実績や、障害の特性への理解と知見を持つ強みを活かし、2023年9月に障害のある就労希望者対象のメタバース空間での「チャレンジド 就活フェス -Ver-Challe-」を開催。障害者雇用を予定する企業やJTBグループ会社、就労移行支援事業所等17社が出展し、就労相談や情報収集のイベントを提供しました。
開催2日間で求職者延べ4,700人がアバターとして入場し、音声会話の他1,000件以上のチャットが交わされるなど、活発にコミュニケーションしました。イベント後、就労移行支援事業所からの参加者のうち9割の方が就活を開始し、本人のみならず家族、支援者も後押しする場となりました。
今後も障害者の就活、定着・活躍支援の事業を続け、障害者人材を当たり前に戦力とする社会変革に貢献します。

海外から日本を訪れるお客様(インバウンド)への、日本の多面的な魅力の情報提供

近年、日本各地を訪れる外国人観光客の急増により、各地域の文化や環境、地域住民の暮らしへのマイナスの影響が懸念されています。JTBグループは海外から日本を訪れるお客様(インバウンド)に向けて、環境負荷の削減やオーバーツーリズムの抑制につながる商品づくりを目指し、人気地域(大阪・京都・東京)に集中せず、日本の多面的な魅力を発見いただける旅の提案を行っています。

各取り組みの目標と実績

指標 2023年度 実績 2024年度 目標 2028年度 目標
大阪・京都・東京以外の宿泊者比率の向上 53.2% 58% 65%

取り組み事例1:新たな観光ルートの開発
JTBグローバルマーケティング&トラベルでは、訪日外国人観光客向け国内パッケージ旅行 「サンライズツアー(SUNRISETOURS)」において、オーバーツーリズムの解消と地域への新たな訪日人流創出を目指したプロジェクトを2022年に始動し、これまでに、北海道から九州まで5つの新インバウンドルートを開発してきました。

北海道アドネイチャールート、東北ディスカバリールート、レインボールート(東京・金沢・京都)、せとうちシーニックビュールート、九州オーセンティックルート

持続可能な観光実現に向けた北陸「レインボールート®」構築による新たな訪日人流創出の取り組みがツアーグランプリ2024訪日旅行部門観光庁長官賞を受賞しました。

ルート開発エリアの地図

取り組み事例2:日本各地の食文化への理解の促進

JTBは日本各地にある食文化の魅力を世界中に伝え地域と地域を「ガストロノミーという文脈でつなぐこと」を目指しています。JTBの各支店が主体となり、地域の関係者と共にそれぞれの地域特性を活かし食文化にちなんだストーリーを訪日外国人観光客に知っていただくと同時に、訪問するだけではなく食文化・歴史などを体験する旅の機会を提供しています。2024年度広島では「お好み焼き」をもとに広島の歴史を紐解き、そのストーリーごと食体験化するコンテンツ、福岡では、そのストー

リーに組み込み、ユネスコ無形文化遺産として登録された和食を中心に、旬の食材を使った福岡ならではの伝統的な食文化を堪能。日本舞踊や、茶道体験など日本の伝統文化を探求し、サステナブルな交流を実践するインバウンドの拡大に取り組んでいきます。

安心・安全への取り組み

JTBグループは、安心・安全な旅の提供が交流文化事業の担い手としての責任であることを認識し、「JTBグループ旅行安全に関する基本方針」を定め、その実現のために具体的な実施事項として「JTBグループ旅行安全マネジメント規程」(事業の運営方針や管理体制・方針等を規定)、「JTBグループ旅行安全マネジメント指針」(サービス提供者やツアーオペレーターの選定基準、安全調査、危機回避対応等の指針)を2015年にとりまとめて、随時見直しを行っています(最新改定2024年)。

基本方針
  • JTBグループは、旅行の安全確保が事業の最優先課題であると認識し、取り組んでいきます。
  • 「旅行安全マネジメント規程」、「旅行安全マネジメント指針」を定め、役員および従業員がこれを遵守します。
  • 「旅行安全マネジメント指針」について、定期的に実施状況およびその有効性について評価し、不断の見直しを実施します。

当社グループで働くすべての役員・社員・スタッフは、当方針を遵守し、ステークホルダーや社会からの信頼を築き、持続可能な社会の実現に積極的に貢献することを目指しています。

推進体制

推進体制

当方針、また「旅行安全マネジメント規程」と「旅行安全マネジメント指針」については、JTBグループ社長を委員長とする「内部統制委員会」と内部統制委員会の下部組織である「リスクマネジメント推進部会」がモニタリングを行っています。また、「旅行安全マネジメント規程」については、旅行安全管理責任者であるツーリズム事業本部長を委員長とするJTBグループ旅行安全委員会において、旅行の安全を確保するとともに、旅行安全目標・旅行安全計画の策定および諸施策の実施、グループ各社への指導・助言を行うことを目的としています。

取り組み事例1:旅行催行基準の設定と催行判断
国内・海外ともに旅行の催行には安全を第一として催行基準を設けています。日々変化する状況を「JTBグループ旅行安全委員会」において分析検討し催行判断を行っています。

取り組み事例2:危機管理・対応
企画旅行中の事故は、レポートラインとトリアージ基準を定め、事故レベルに応じて事故対策本部を設置し、その指示のもと対応を行います。

取り組み事例3:事業パートナー(宿泊・ 運送他事業者)の選定
旅行にご協力いただく事業パートナーは当社独自の選定基準を設け、契約を締結のうえ手配を行っています。