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JTBグループ 2022年3月期 連結決算概要

株式会社JTB(代表取締役 社長執行役員 山北栄二郎)は、20223月期の連結決算を取りまとめました。

1.JTBグループ20223月期(2021年度)連結決算について

(1)全体概要

 当連結会計年度におけるツーリズム産業を取り巻く市況は、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けました。9月には緊急事態宣言が全面解除され、一時的に旅行需要は回復傾向にありましたが、20221月に流行したオミクロン株の感染再拡大により多くの自治体でまん延防止等重点措置が3月中旬まで適用され、再び旅行需要は落ち込みました。 また、各国での入国制限や渡航制限などの措置が継続されたことにより、海外旅行および訪日外国人旅行の需要は2年連続でほぼ消失しました。

 当社グループにおいても、中核である旅行需要は低調に推移した一方で、オンライン接客やハイブリッドMICEなどのオンラインを活用したサービス展開や、新たな需要の獲得に向けたソリューション開発を加速させました。なかでも企業や行政のBPOサービスにおいては取り組みが進み、収益の拡大に貢献しました。2020年度より進めている中期経営計画においては、2021年度までに掲げたテーマである、「緊急コスト削減」、「構造改革実行」、「回復・成長への基盤づくり」を着実に実行し、営業損失を大きく改善することができました。また、所有する不動産の売却や資本調達を行い財務基盤の強化をはかりました。

 これらの結果 、当連結会計年度の売上高は5,82323百万円(前期比156.5%)、営業損失は4880百万円、経常利益3866百万円となりました。所有不動産や関係会社株式の売却等による特別利益の計上により当期純利益は28461百万円の黒字となりました。

 当社グループの概況は次の通りです。

*グローバル旅行:日本発着以外の旅行 *旅行以外:MICEBPO、商事、出版事業等


(2)主な事業・領域別の概況

①ツーリズム事業

ツーリズム事業では、「お客様実感価値の向上」と「生産性の向上」の両立を目指し、「法人と個人」、「発地と着地」の連携による事業モデルの改革に着手しました。

新たな取り組みとして、地域の営業支店による宿泊施設・着地コンテンツ開発営業を先行して8県より開始し、地域密着営業と誘客強化を進めました。お客様を送客するだけでなく、着地としての機能を強化し、地域行政や観光事業者などとの連携で、ユニークな商品を地域と共につくり、市場に提供していくという「発着連動」を強化してまいります。地域交流における新たな取り組みでは、行政との協業による観光地経営・まちづくりへの参画や教育カリキュラムコンサルティングの提供、アドベンチャーツーリズムの体験プログラム開発やワーケーションの受入環境事業など、社会課題として注目された関連事業の取り組みを加速させました。個人領域では、日常を起点としたお客様体験価値(CX)を高めていただくため、お客様一人ひとりのご意向に寄り添い、JTBホームページや店舗、オンライン相談などの多様なお客様接点を活かしながらサービス改革を加速させました。店舗ネットワークは、役割を明確にし最適化を行っています。

②エリアソリューション事業

エリアソリューション事業においては、観光地デジタル化支援事業、観光地整備・運営支援事業、旅ナカコンテンツ提供事業の3区分に定義し、重点施策を中心に取り組みました。

観光地デジタル化支援事業では、グッドフェローズJTBが提供するチケットプラットフォーム※1におけるチケットコンテンツ、JTB BÓKUNにおけるアクティビティコンテンツの営業拡大に注力しました。観光地整備・運営支援事業では、ふるさと納税事業において、個人版ふるさと納税の契約自治体数の拡大と寄付額増加に向けた営業体制の構築に取り組み、その一環として鹿児島県大崎町と新潟県南魚沼市にサテライトオフィスを設置しました。企業版ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとコネクト」はWebでの販売促進や、企業から自治体にオンラインで事業提案できる新機能により、前年を大きく上回る寄付額となりました。旅ナカコンテンツ提供事業では、大阪・関西万博に向け、事業の起点となる入場券販売関連システムサービス提供業務を行う共同事業体に参画しました。万博の成功に貢献するとともに、来訪者を地域に回遊させる仕組みを構築し、地域観光・経済振興の実現を目指してまいります。

③ビジネスソリューション事業

ビジネスソリューション事業では、ABM戦略※3を軸に、顧客企業との関係性を深め、コミュニケーション領域でのソリューションの拡大を進め、人事総務系領域や商品プロモーション領域等において新たな取り扱いの拡大に繋げました。また、当期においては「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」関連や企業のBPOサービスの受託により、ABM対象顧客との接点を拡大することができました。ビジネストラベル領域では、国内、海外出張は共に限定的な取り扱いに留まる一方、法改正による要件緩和で、電子帳簿保存法に対応した経費清算システム(J'sNAVI NEO/Jr)※4の新規契約が進みました。また、インハウスエージェント※5の撤退等により、企業との包括契約は拡大しました。「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」は、大会開催直前に原則無観客開催(一部地方会場のみ有観客)が決定したことで、公式観戦ツアーが催行中止になるなど大きく影響を受けましたが、コロナ対策を伴う大会運営や、事前キャンプ受け入れなどの取り扱いは増加しました。

  Cグローバル領域

グローバルDMC領域では、ハワイを中心に市場回復が見える中、北米・ハワイのM&E※6事業を推進しているMC&A,Inc.が、多くのイベントを獲得しました。インハウス領域では、海外旅行の回復に向けた準備として、オンラインコンテンツの動画配信プラットフォームを構築し、主に法人のお客様に向けた新たな価値提供とコミュニケーション接点の拡大を進めてきました。 グローバルMICE領域では、「オンラインM&E」のサービスレベル向上を図り、非人流ビジネスモデルとして確立しました。特に下期は、日本の企業・行政などの「海外プロモーション」ニーズの拡大に伴い、新たな事業領域として推進を強化しました。ビジネストラベル領域では、 コロナ禍で更に複雑化した出張管理の利便性を高めるため各種テクノロジーを導入し、ウェビナーを中心にプロモーションを行い、グローバルTMCとして初めてグローバル包括契約を獲得しました。

※1 入場施設を事業者の公式サイトやOTADMOサイト等様々な販売チャネルで流通が可能なデジタルプラットフォーム
※2 グローバル市場に対応した、簡単に商品の「予約・販売・決済・在庫管理」ができ多様な流通機会の創出を可能にするデジタルプラットフォーム
※3 Account Based Marketingの略称。自社にとって価値の高い顧客を選定し、顧客の課題やニーズに合わせた最適なアプローチをとるBtoBマーケティング戦略のこと
※4 「J'sNAVI NEO/Jr」は株式会社JTBビジネストラベルソリューションズの登録商標です
※5 企業や団体が自らの組織内に作った旅行会社
※6 MeetingEvent
※7 Travel Management Companiesの略称。出張者を満足させる体験を実現し、統合された多くのテクノロジーを活用しながら複雑な出張管理の舵取りをすると同時に、支出の無駄を排除しコスト管理とリスク管理を支援し、プログラム全体の包括的なサポートを提供する企業

2.20233月期(2022年度)の通期見通し

 2022年度通期見通しは営業利益を黒字化し、通期で2期連続の最終利益黒字を見込んでいます。

新型コロナウイルス感染拡大の収束にはまだ一定の時間を要すると見られ、ロシア・ウクライナ情勢など、ツーリズム産業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあります。一方、日本国内の行動制限解除による人流の回復や、渡航制限・入国制限の緩和が段階的に進んでいることから、旅行市場における人流の回復を国内旅行市場は2019年度比90~100%、海外旅行・訪日旅行市場は2019年度比20~30%と想定しています。当社グループにおいては、回復基調にある国内旅行需要を確実に獲得するとともに、回復が遅延している海外旅行・訪日旅行においても今後の国際人流の回復を見据え、旅行商品・サービスにおける2022年度売上総利益を2019年度比64.3%、2021年度比263.0%と想定しています。また、旅行以外の商品・サービスは、会議・イベント運営や企業・行政に対するBPOサービスの継続的な拡大や、観光地のDX支援強化に取り組み2019年度比183.7%、2021年度比79.3%を想定しています。本年度から中期経営計画の次なるフェーズ「回復・成長」期に入ることから、さらなる成長戦略の具現化に取り組みます。グループ全体として、回復が見込まれる旅行需要の獲得と、旅行以外の領域における成長の加速を両立させ、2022年度営業利益63億円の達成と、最終利益の黒字を目指します。

3.持続可能な交流創造事業への挑戦

JTBグループは、サステナビリティへの取り組みを更に加速するため、各部署を横断した「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ戦略の策定と、優先的に取り組む3つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。「心豊かなくらし」と「人々をとりまく環境」をテーマに、ステークホルダーとの「パートナーシップ」により、交流が生み出すプラスの効果を更に加速させると共に、環境負荷などマイナスのインパクトの削減にも挑戦します。

具体的には、脱炭素社会の実現に向け、まず㈱JTBにおいて、2030年度までに自社が排出するCO排出量(スコープ1、2)を実質ゼロとし、2050年度までにサプライチェーンの排出量(スコープ3)を含めた全体でカーボンニュートラルの達成をめざします。当社グループでは、証票・契約の電子化などによるペーパーレス化の他、お客様にご提供する旅行やMICEにおいてもCO2削減に貢献するサービスを開始しています。今後もお客様へのサービスやソリューションにおいてサステナビリティに関する選択肢を増やすと共に、旅行先のサステナビリティへの取り組みについて理解を深めていただく機会を提供します。さらに、環境負荷削減に積極的に取り組んでいる事業パートナーとの連携を強化し、バリューチェーン全体で持続可能なツーリズムに取り組んでまいります。



JTB グループは創立 110 周年となる2022年を機に、事業ドメインである「交流創造事業」におけるサステナビリティへの取り組みを更に加速し、「心豊かで持続可能な社会の実現」をめざしていますhttps://www.jtbcorp.jp/jp/sustainability/



20223月期の決算概要の詳細については、以下URLよりご参照ください。
URLhttps://www.jtbcorp.jp/jp/company/accounts/

■報道関係の方からのお問合せ先

JTB広報室 TEL:03-5796-5833

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