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JTBグループ 2021年3月期連結決算概要

株式会社JTB(代表取締役 社長執行役員 山北栄二郎)は、2021年3月期の連結決算を取りまとめました。



1.JTBグループ2021年3月期連結決算について

(1)全体概要

 当会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による悪化と回復を繰り返し、通年ではマイナス成長になりました。その中でもツーリズム業界を取り巻く環境は厳しく、2度にわたる緊急事態宣言の発出で、旅行需要は大きく減少しました。政府の観光需要喚起策により国内旅行需要は一時的に回復基調となりましたが、感染の再拡大により12月下旬から全国で停止され需要の低迷は続いています。また出入国制限や渡航制限は継続され、年間を通じて海外旅行需要や訪日外国人需要はほぼ消失し、現在も凍結状態となっています。ツーリズム関連産業への影響は今もなお深刻な状況が続いています。

 当社はこのような状況のなか、急速な市場環境の悪化と需要低迷の長期化を見据え、2020年7月より中期経営計画『「新」交流創造ビジョン』をスタートさせ、財務の健全性確保を最優先課題とした、構造改革に取り組んでまいりました。その結果、緊急対策による経費削減および旅行以外のソリューション事業の増益によって下半期における損失を中間期の見込みより圧縮することができました。しかしながら、2021年3月期連結決算は、売上高3,721億円(前期比28.9%)、営業損失976億円、経常損失743億円と減収減益となりました。

当社グループの概況は次の通りです。



2020年

前期比

2019年

売上高

3,721億円

28.9%

12,886億円

営業損失

976億円

→▲

(営業利益) 14億円

経常損失

743億円

→▲

(経常利益) 25億円

当期純損失

1,052億円

→▲

(当期純利益)16億円

※部門別概況 (金額はすべて売上高)

2020年

前期比

2019年

国内旅行

1,528億円

33.6%

4,545億円

海外旅行

225億円

5.1%

4,401億円

訪日旅行

38億円

5.6%

684億円

グローバル旅行

117億円

10.6%

1,106億円

*グローバル旅行:日本以外の第三国間における旅行事業

連結対象会社数 国内32社、海外104社、持分法適用会社21社  計157社
        (2020年3月末より17社減)

従業員数    23,785名(2020年3月末より3,427名減)


(2)主な事業別の概況

個人事業

個人事業においては、2度の緊急事態宣言の発出と、政府の観光需要喚起策の一時停止、海外渡航制限の継続等により、年間を通し様々な行動が制限され旅行需要は国内・海外ともに大きく減少し、極めて厳しい結果となりました。このような状況のなか、店舗においては、お客さまと従業員の安心・安全を第一に考え、1度目の緊急事態宣言発出時に全国的な臨時休業を実施、その後も営業時間の短縮や密を回避するための来店予約制の導入、カウンターへのパーテーション設置などコロナ禍において感染拡大防止に取り組んでまいりました。また、非来店型の「オンライン相談」の導入や「オンライン旅行セミナー」の開催、SNSを活用したコミュニケーションなど、オンラインとオフラインを融合したお客さま接点を構築する取組みも進めてまいりました。商品においては、国内旅行のダイナミックパッケージである「JTB MySTYLE」の販売を開始し、より多様化するお客さまニーズへの対応を強化するとともに、デジタル化によりパンフレット費用などの縮減を図りました。海外旅行は渡航制限が解除されず、募集型企画旅行においては年間を通し実施することができませんでした。バーチャルとリアルな体験を組み合わせた旅行商品「JTBこころトリップ」の販売を2021年3月より開始し、海外旅行を待ち望んでいるお客さまへ新しい旅のスタイルを提供しています。



法人事業

法人事業においては、修学旅行を含む団体旅行の取り消しや大型イベントの中止・延期が相次ぎ、大幅に需要が減少しました。一方、リアルな交流が制限される中、デジタルを活用したハイブリッド型ミーティングやオンライン展示会、教育旅行におけるバーチャルツアーなど、お客さまへ新たなソリューションを積極的に展開し、リアルの強みとデジタルを掛け合わせ、付加価値の高いソリューションの強化に取り組みました。

旅行以外のソリューション事業として、人流に影響されない企業版ふるさと納税サイト「ふるさとコネクト」など新たな取り組みも好調に推移しました。また、地域のDX支援業務や観光型MaaS実証実験事業など、今後の観光地経営・まちづくり参画を見据え、観光ICTの推進体制を強化しました。引き続き各地域の観光推進、復興事業等への対応も行ってまいります。



グローバル事業

グローバル事業においては、世界的に国境をまたいだ移動が制限され、当期における世界旅行者数、訪日外国人旅行者数ともに激減し大変厳しいものとなりました。このような状況のなか、コロナ禍以前から取り組んできた構造改革をさらに加速するとともに、人流再開に向けた需要喚起や、人流に捉われない新たな取り組みを進めました。具体的には、SNSを活用した現地からの動画配信やオンラインツアー、ハイブリッド型ミーティングやオンライン展示会など、日本及び海外各地域の法人事業とグローバルに連携し新たな需要獲得に取組みました。特にオンラインツアーは、BtoC向けの観光性オンラインツアーに加え、BtoBモデルの教育系プログラムを中心としたバーチャルなテクニカルビジットにも力を入れており、世界各地でSDGsをテーマにしたプログラムの提供など教育マーケットの開拓も進めてまいりました。



(3)中期経営計画『「新」交流創造ビジョン』の進捗について

 当期は経費構造改革に着手しています。具体的には、1.国内グループ改革、2.販売機能改革、3.要員構造改革、4.海外グループ改革、5.組織改革、6.システム改革、7.オフィス・働き方改革、8.一時的人件費削減に取り組んでおり改革は計画通りに推移しております。また、現時点の財務の健全性は確保できております。



2.2021年度の通期見通し

 現在、日本国内では3度目の緊急事態宣言が10都道府県で発出され、まん延防止等重点措置も多くの地域で発出されています。これにより国内の移動制限は未だ続いていますが、ワクチン接種が進みその効果があらわれ、夏以降は徐々に制限が緩和されると想定しています。海外の渡航制限は、下半期より一部地域から段階的に解除され、お客さまの安心・安全により配慮したツアーを中心に催行が開始されると想定しています。これらの状況から、一定程度の市況が回復することによる旅行事業の一部回復、旅行外事業の獲得、構造改革の継続により、2021年度の黒字化は実現可能と見込んでおります。



3.新たなグループ経営体制における成長戦略

 ツーリズム産業は、コロナ禍において世界的な交流機会の減少、人流の停止という未だかつてない状況に直面しており、アフターコロナを見据えた安心・安全な旅行の実現に向けた環境の整備が早急に求められています。また当社を取り巻く環境においても様々な変化や課題が顕在化しており、これらの社会課題や、環境変化への対応を、新たな事業戦略である「ツーリズム」・「エリアソリューション」・「ビジネスソリューション」の3つの柱を中心として推進してまいります。

 ツーリズム戦略では、「旅の新たな体験価値」を創造し、お客さまが感じる実感価値の追求を最重要事項としています。具体的には、日常から旅マエ・旅ナカ・旅アトまでのシームレスな旅行体験の仕組みの構築に取り組み、商品においてはダイナミック化を加速させ、素材の組合せだけでは実現できないテーマ・目的特化型の企画旅行の強化に取り組んでまいります。

 エリアソリューション戦略では、持続可能な観光地域づくりに向けて「交流の目的創造と交流の促進」を重点テーマとし、交流の目的となり得る魅力的な観光・体験コンテンツ開発に主体的に取り組むと同時に、交流の促進に資する、観光事業者と販売事業者および旅行者をつなぐプラットフォーム構築や、事業者DX支援に取り組んでまいります。具体的には、株式会社グッドフェローズJTBの提供するチケット流通ソリューションや、TripAdvisorと協業したJTB B_KUN事業によるアクティビティコンテンツの流通、地域DX支援など、専門性を持つビジネスパートナーとの協業をさらに発展させてまいります。

 ビジネスソリューション戦略では、企業の本質的な経営課題解決を実現する領域として、「コミュニケーション課題解決」を重点テーマとし、経営課題そのものを解決するビジネスパートナーとして、企業と従業員のエンゲージメントを高めるためのHRソリューションや、デジタルを活用した新たなMICEソリューションなど、ツーリズム産業の枠を超えた事業領域の拡大を加速してまいります。



 私たちのビジネスは、宿泊、交通機関、飲食、観光施設、ガイドなどツーリズムに携わる事業パートナー、そして地域、行政、企業など様々な皆さまと共に力を合わせて初めて成長できるものです。業界全体がコロナ禍で大きな痛みを感じている時だからこそ、思いをひとつにし、ともにこの環境を乗り越えたいと考えます。

一日も早く世界中の人々が笑顔で安心・安全な交流を楽しむことができるよう、持続可能な社会を担う企業として、これからも新たな交流を創造し続けてまいります。



◆2021年3月期の決算概要の詳細については、以下のURLよりご参照下さい。

URLhttps://www.jtbcorp.jp/jp/company/accounts/

■報道関係の方からのお問合せ先

JTB広報室 TEL:03-5796-5833

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