2019年4~9月期 連結決算概要
株式会社JTB
国内の大型イベント需要にも支えられ増収増益
売上高 : 6,860億円(前期比 0.4%増)
営業利益 : 64億円( 同 68.7%増)
経常利益 : 69億円( 同 59.6%増)
当期純利益 : 44億円
◆連結決算概要
旅行事業を取り巻く市場環境は、ゴールデンウィークの10連休によって特に個人需要が喚起されたことや、活発な企業活動も好要因となり、比較的堅調に推移しました。また訪日旅行については、一部で減速はあったものの、引き続き全体の訪日外国人旅行者数は伸長し、2019年1月から9月の累計では推計値で約2,441万人(前年同期比104.0%、日本政府観光局(JNTO)調べ)となりました。
このような中で当社グループは、グループ経営ビジョン「デジタルとヒューマンタッチが融合したソリューションにより、お客様の期待を超える価値を生み出し、お客様にとっての成果をお約束する」の実現に向け、各事業において選択と集中に基づく具体的施策を実行した結果、昨年より続く経営改革の効果が徐々に現れ始めたこともあり、当期は増収増益となりました。
当社グループの2019年度4~9月期連結決算概要は、以下の通りです。
売上高 6,860億円 ( 前期比 0.4% 増)
営業利益 64億円 ( 同 68.7% 増)
経常利益 69億円 ( 同 59.6% 増)
当期純利益 44億円
また、当社グループの概況は以下のとおりです。
連結対象会社数 :国内34社、海外122社、持分法適用会社22社 計178社
従業員数 :28,208名(2018年9月末より1,084名減)
◆事業別概況
1.個人事業
個人事業全体としては、ゴールデンウィーク10連休の追い風を受け、ステージ制や来店予約制が順調に浸透しながらも、来店されるお客様の大幅な増加までは至らず、売上高はほぼ前年水準にとどまりました。一方、推進途上ではあるものの改革の効果が徐々にコスト面などに現れ始めたことも業績を後押しして、営業利益は計画を上回り、増収増益となりました。
国内旅行については、関東や沖縄方面の企画商品がやや苦戦するなど、宿泊を伴う商品の販売が低調でした。海外旅行については、政情不安の影響はあったものの、マーケットインの発想に基づいた商品の価値向上に努めた結果、グローバルデスティネーションキャンペーンを実施中のハワイのほか、長期連休を利用することができた欧州方面が昨年を上回るなど引き続き堅調で、全体を支えました。引き続き製販連携サイクルの改革に取り組みながら、戦略的商品やWebチャネル向け商品の展開、デジタル化の推進やコンサルティング力向上に努めています。
2.法人事業
法人事業全体としては、前期に引き続き「旅行事業」「コミュニケーション事業」「地域交流事業」「総務系ソリューション事業」という4つの戦略ドメイン別の事業推進を強化すると共に、市場環境に応じた選択と集中を推進した結果、当期は売上高で前期を上回ったものの、重点投資領域における事業開発への投資により若干の減益となりました。
旅行事業のうち国内旅行については、日本の旬「国立公園」の集中販売に取り組むことで団体宿泊販売を拡大しました。海外旅行は、政情不安の影響が一部あったものの、全般的にはインセンティブや周年企業イベント等の旺盛な旅行需要もあり、ハワイやヨーロッパなどの強化方面を中心に順調に推移しました。教育事業では、堅調に推移する海外研修の取扱いの拡大強化や、新たな教育プログラムの開発の一例として「修学旅行探求ノート」を発売するなど、提供価値の高度化を進めています。
コミュニケーション事業では、MICE領域を中心に好調に推移した中で、法人のお客様の利便性向上に向けたEMS(※)活用等のデジタル化の推進に努めました。今後、顧客システムとのデータ連携の開発や、サーベイ機能の強化を進め、法人のお客様の課題解決に資する取組みを加速させていきます。
地域交流事業では、栃木・日光国立公園内にある元御用邸の敷地を歩くガイドウォークプログラムといった体験型商品を開発するなど、地域の新しいコンテンツ開発を推進しました。
総務系ソリューション事業については、企業ニーズが拡大している福利厚生事業に加え、ビジネストラベル事業についても堅調に推移しました。
スポーツビジネスでは、9月にスタートした「ラグビーワールドカップ2019日本大会」公式観戦パッケージツアーの販売が順調だったほか、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」公式観戦ツアーも発売いたしました。
※ Event Management Systemの略で、企業においてミーティング等のコストを正確に計測し、費用対効果を最大化するためのマネジメントシステム。
3.グローバル事業
今年度よりスタートした「グローバルDMC事業」と「グローバルビジネスソリューション(GBS)事業」の2つの事業軸を重点戦略ドメインとし、各地域の事業戦略と連携を図りながら事業の強化を推進しました。訪日イベントの取扱いが増えたほか、成長領域における選択と集中を進めることにより、今期は損益改善につながりました。
グローバルDMC事業については、全地域に展開するグローバルDMCとしてのブランド向上の取組みを行ったほか、4月より新たに、ヨーロッパ12ヶ国に跨りルートの総延長が14,000Kmに及ぶ「ランドクルーズ」の運行を開始しました。
GBS事業は、Meetings & Events(M&E)部門において訪日を含む大型イベントの取扱いが好調に推移したほか、M&EクラウドソーシングのトップカンパニーであるCvent社とアジアパシフィック地域でのプラチナムパートナーシップ契約を締結しました。これにより企業M&Eにおける調達効率化が進み、お客様対応スピードとコスト圧縮効果が向上し、同地域における領域拡大及びグローバル企業の取扱い拡大に向けた営業力の強化につながりました。
訪日インバウンドに関しては、大型の国際MICEの取扱いもあり堅調に推移しました。また、訪日外国人旅行者向けの観光支援アプリ「JAPAN Trip Navigator」についても更なる利便性の向上を図る一方で、国内向けには、主に自治体を対象にした「インバウンドセミナー」を各地で開催し、地域における訪日旅行客の認知向上への取組みも強化しました。
◆2019年度下期以降の取組み
2019年度下期については、年末年始に9連休があることや海外航空路線の就航数も増加傾向にあることから、引き続き日本人の海外旅行者数、訪日外国人旅行者数はともに拡大し、観光立国、地方創生等の動きが継続されることが予想されます。
このような環境のもと、当社グループは、持続的な成長の実現のため、「JTBならではの価値」の具現化と新たなビジネスモデルを構築すべく、お客様の体験価値の変革、デジタルテクノロジーを活用した新たなビジネスへの挑戦を引き続き進めることで、"JTBならでは"のソリューションビジネスをご提供する「第三の創業」の完成を目指し、これからもチャレンジしてまいります。
JTB広報室 TEL:03-5796-5833