東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関する調査
株式会社JTB
〇75.0%が「開催が楽しみ」
〇開催が近づいている「実感がわいてきた」「やや実感がわいてきた」は合わせて39.0%で1000 日前よりも18 ポイント増加
〇開催期間中は「普段通りに生活」が約5 割。5%が、期間中にオリンピックと関連のない旅行をすると回答
〇文化プログラムの認知度はまだ低いものの、25.8%が「子どもたちの日本文化理解のために利用したい」
株式会社JTB(東京都品川区、代表取締役社長:髙橋 広行)は、「東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会に関する調査」を実施しました。
2019 年3 月12 日で、東京2020 オリンピック開会式まで500 日となります。2017 年10 月28 日の1000 日前と比べると、競技場や選手村の建設が進み、大会マスコットの決定、ボランティアの募集と登録の終了、チケットを申し込みするためのID 登録開始など目に見えて大会の準備が進んできています。また、国がすすめているキャッシュレス化の推進など多くの外国人が日本を訪れると思われる2020 年に向けての新しい技術やサービスの進捗に関する報道も増えてきました。JTB は、1000 日前にも調査を実施していますが、あと500 日と開催が迫る現在、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会に対する人々の気持ちや開催時の過ごし方に1000 日前と比べて変化があるか、期間中の旅行にも注目して調査を行いました。
【調査概要】
調査手法:インターネットアンケート調査
調査期間:2019 年2 月14 日~2 月15 日
調査対象者:全国エリア(47 都道府県)に住む18 歳~79 歳までの日本人男女 2,070 名
*各地方に属する都道府県:北海道(北海道)、東北地方(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東地方(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川)中部地方(新潟、富山、石川、福井、
山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重)、近畿地方(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)、中
国地方(鳥取、島根、岡山、広島、山口)四国地方(徳島、香川、愛媛、高知)九州地方(福岡、
佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
【東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会開催について】
1. 開催を楽しみにしている人の多くが、「日本で開催されるから」。 「一生に一度の経験だと思う」は40 代以下に多い
調査対象者に、東京2020 オリンピック開会式まで500 日に迫る中、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催について「楽しみか」「楽しみでないか」を聞きました。4 つの選択肢から選んでもらったところ、全体では「とても楽しみである」が、33.0%、「やや楽しみである」が42.0%で、約7 割が開催を楽しみにしています。特に29 歳以下の学生は「とても楽しみである」が38.7%となり、どの年代よりも高くなりました。(図1)。
「とても楽しみである」「やや楽しみである」と回答した人に楽しみにしている理由を聞いたところ、全体では「日本で開催されるから」が79.8%でした。年代別にみると40 代までは「一生に一度の経験だと思うから」が多く、「世界的なアスリートの競技が見られるから」は60 代、70 代で多くなりました。居住地別に首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)とそれ以外の地域でみてみると、首都圏は「東京とその近郊で開催されるから」が51.5%となっています(図2-1、2-2)。
2018 年2 月の平昌冬季オリンピック・パラリンピックでは、日本人選手の活躍が話題になりました。大会を見て感じたことを聞いたところ、「東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会開催が以前より楽しみになった」が全体で24.3%でした。特に20 代では、学生で32.7%、学生以外で30.0%と全体を上回り、若い人たちにとって開催が楽しみになるきっかけになったようです。一方、「国内外から多くの人が訪れて受け入れ側は大変そうだなと思った」は、70 代で31.4%と高くなっています(図3)。
2.約4 割が「開催が近づいてきた実感」を感じている。理由は「ニュースや関連広告が増えてきたので」
大会開催が近づいている「実感」は人々の間で高まっているのでしょうか。大会が近づいている「実感」について聞いたところ、全体では「実感がわいてきた」は8.6%、「やや実感がわいてきた」が30.4%で合わせて39%でした。1000 日前の、「実感がわいてきた」3.0%、「やや実感がわいてきた」17.9%、合計20.9%と比べて、合計では18.1 ポイント高くなりました。「まったく実感がわかない」は、1000 日前は31.9%と3 割以上ありましたが、今回は、17.3%と減少しています。年代別にみると、「まったく実感がわかない」はどの年代も1000 日前より少なくなくなっています。日々、大会に関する報道が増え、ボランティアの登録やチケットを申し込みするためのID 登録などが始まり、大会が近づいている実感が高まってきています(図4-1、4-2)。
実感がわいてきた理由は「ニュースや関連広告が増えてきたので」が84.6%ですが、若い世代では「準備に関わっている人が増えてきたので」も多くなっています(図5-1)。地域別では、首都圏とそれ以外の地域で大きな差はみられませんでした(図5-2)。
3.関心のある競技は、トップは水泳で43.0%。 国際大会で日本人選手が活躍して話題になった競技が上位に浮上
オリンピック、パラリンピックで関心がある競技は何かそれぞれ4 つずつ選んでもらいました。オリンピックの競技で30%を超えたのは、水泳(43.0%)、陸上競技・マラソン(37.3%)、体操・新体操(33.6%)で、パラリンピック競技では、車いすテニス(42.6%)、車いすバスケットボール(34.2%)でした。1000 日前と比較すると、調査実施の直前に話題となった水泳や、日本選手の国際大会での活躍などで報道が増えたテニスやバドミントンなどが上位になっています(表1、表2)。
【東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会開催期間中の過ごし方】
4.競技の観戦方法は、「テレビで観戦する」が9 割。「実際に競技場に見に行く」は、若い世代に多い
競技の観戦方法では、92.7%が「テレビで観戦する」と回答しました。年代別では、年齢が高いほど、「テレビで観戦する」が多く、「実際に競技場に見に行く」は、若い世代に多くなっています。また、1000 日前は、「テレビで観戦する」が93.3%、「実際に競技場に見に行く」は19.4%でしたので、開催が近づくにつれ、観戦に出かける気持も高まってきたのではないかと思われます(図6)。
期間中、どこで何をしていると思うか聞いたところ、「普段通り生活する」が52.4%でした。「オリンピックとかかわる活動をする」は、首都圏で多くなっています(図7)。期間中に「オリンピックと関連のない旅行をする」と回答した人は、4.9%でしたが、内容を聞いたところ「日本国内の混雑を避けるために開催にかかわりのないところ(国内)に行く」は、首都圏では65.7%で、それ以外の地域より多くなりました(図8)。「会場に出かけて競技を観戦している」と回答した人に内容を聞いたところ「日帰りで観戦に行く」、は首都圏で多く、「何日間か連続して泊りがけで観戦に行く」は、その他の地域で多くなりました。また「観戦のついでに国内旅行をしたい」は、首都圏以外の地域で多い傾向が見られました(図9)。
5.大会期間に設定される予定の連休については、「かえって混雑するのではないか」と考える人が3 割。職場での働き方への対応は、6 割が「全く動いていない」
現時点では、通勤通学の混雑緩和のため、2020 年は7 月の「海の日」8 月の「山の日」10 月の「体育の日」を移動し、オリンピックの開会式がある7 月24 日前後が4 連休、閉会式がある8 月9 日前後が3 連休になる予定です(2018 年6 月発表)。このことについてどう思うか聞いたところ、「連休にしたことでかえって混雑するのではないかと思う」が首都圏で25.4%、その他の地域で28.0%でした(図10)。また、働いている人に、自身が所属する組織で、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会開催中を意識したテレワークや休日取得等、期間中の勤務体制や休日制度についてすでに何か動いていることがあるか聞いたところ、約6割は「全く動いていない」と回答し、首都圏以外の地域は、首都圏よりもやや多くなっています(図11)。
6.ボランティアに登録した人は2.4%
登録しなかった理由は、若い人に「活動時間などの条件が自分に合わなかったかので」が多い
2018 年9 月26 日にボランティアの募集が始まり、12 月21 日に登録が締め切られました。2019 年2 月からは応募者へのオリエンテーションが始まっています。「ボランティア」について聞いてみたところ、「もともと登録するつもりはなく、しなかった」が50.8%で、「登録をした」と回答した人は2.4%でした。「そもそも募集について知らなかった」も25.7%ありました(図12)。首都圏とそれ以外の地域でボランティアの登録について聞いたところ、首都圏以外では、「そもそも募集について知らなかった」が首都圏より多くなりました(図13)。
登録した理由では、「ラグビーワールドカップ2019日本大会でもボランティア活動をするので」が首都圏以外の地域で36.4%ありました。登録しなかった人(「もともと登録するつもりはなく、しなかった」と「興味はあるが登録しなかった」と回答した人)に登録しなかった理由を聞いたところ、「活動時間などの条件が自分に合わなかったから」が約3 割でした(図14-1、14-2)。
7.文化プログラムについて約5 割が「知らない」と回答も、「子どもたちの日本文化理解のために利用したい」
オリンピック憲章と「オリンピックアジェンダ2020」では、オリンピック開催にあたり、スポーツのみならず教育を含めた「文化オリンピアード(Cultural Olympiad)」の実施を義務付けています。東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の文化プログラムについて知っているか聞いてみたところ、「知らない(興味もない)」が52.6%、「知らない(興味はある)」は34.2%でした。
2016 年10 月より「東京大茶会」、「キッズ伝統芸能体験」、「六本木アートナイト」など、全国各地で様々な文化プログラムが開催されていますが、調査の結果からどのようなプログラムがあるのかが人々に伝わっていないことがうかがわれます。文化プログラムについてどのように考えるか聞いたところ「子どもたちの日本文化理解のために利用したいと思う」が25.8%でした。「知らない(興味はある)」は男性より女性、若い人より年齢が上の人が多いので、女性や年齢が上の層、子どもを持つ親の世代へ情報提供していくことも必要かもしれません(図15、図16)。
8.開催を通じて海外に伝えたい事は、「日本の治安の良さ」や「伝統文化」
大会終了後に続いて行ってほしい事は、日本経済の活性化や跡地の有効活用
最後に、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を通じて海外へ伝えたいこと、開催後にレガシーとして伝えていきたい事を聞きました。海外に伝えたい事では、「治安の良さ」が41.2%、「日本の伝統文化や伝統技術の素晴らしさ」40.4%、「日本で体験する食事」が40.1%となりました。「日本の先端技術を体感してほしい」は22.1%で、比較的文化的なことのほうが海外に伝えたいと思っているようすがうかがえます(図17)。東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会終了後のレガシー(社会的な遺産、有形無形の社会変化)として、あなたが次の世代に伝えたい事、続いて行ってほしいと思う事を聞いたところ、「日本経済が活性化すること」が37.1%、「建設物や跡地の有効活用」が31.9%で、首都圏では「東京が文化都市としての魅力も持ち続けていくこと」も高くなりました。(図18)。
JTB広報室 03-5796-5833