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ミレニアル・ポストミレニアル世代の価値観と旅行に関する調査(1)

 

  (株)JTB 総合研究所(東京都港区代表取締役社長  野澤  肇)は、「ミレニアル・ポストミレニアル世代の価値観や働き方と旅行に関する調査」の調査研究をまとめました。当社は生活者のライフスタイルや価値観が消費行動や旅行に与える影響に関する調査研究を多様な視点で継続的に行っています。

  デジタルネイティブであるミレニアル世代は、これからの時代に新しい消費を生む世代として近年世界的に注目されてきました。一方、低成長期に育った日本の若い世代は〇〇離れさとり世代など、「欲がない」「消費をしない」というイメージで語られてきました。しかしながら、ここ数年における海外旅行市場では、シニア消費をけん引した団塊世代の伸びが止まり、代わりに 20 代~30 代が新たなけん引者として浮上してきました(*)。またこの1~2年でミレニアル世代の次の世代の「ポストミレニアル世代」が成人にさしかかってきましたが、過去の当社の調査から、グローバル志向、上昇志向ではミレニアル世代とは違うポジティブな傾向がみえてきました(**)。次の新しい時代を担うポストミレニアル世代、ミレニアル世代は、どのように日本の消費や旅行のあり方を変えていくのか、彼らのライフスタイルや生き方、旅行や消費への考え方から今後へのヒントを探ります。

(*)JTB 総合研究所「海外観光旅行の現状2018」
(**)JTB 総合研究所「ミレニアル世代の価値観と旅に関する調査(2017)」

 

【調査概要】

 調査方法:インターネットアンケート調査

調査対象者:日本全国に居住し、過去1年以内に観光旅行(日帰りも含むが、業務旅行や帰省などは除く)へ行ったことがある 18 歳~58 歳の男女   1236 名を 12000 名の調査パネル(日本全国に住む 1858 歳の男女)より抽出。(比較対象として、ミレニアル世代~バブル世代までの年代にも調査を実施しています。)

調査期間:2018 年 9 月 11 日~9 月 14 日

 

 

【ポストミレニアル・ミレニアルの価値観】

 1. 日々の生活の充実度は全体で、「とても充実感を感じている(10..2%)」、「まあ充実感を感じている(55.6%)」ポストミレニアル、ミレニアル、プレゆとり世代(18 歳~37 歳)は高い傾向だが、ポスト団塊Jr.で落ち込む

   まずポストミレニアル、ミレニアルが、日々の生活の中で、どの程度充実感を感じているのかを聞きました。総じて若い世代ほど充実感を感じている傾向が見られ、「とても充実感を感じている」が最も高かったのは男性ポストミレニアル(21.4%)、次いで女性ポストミレニアル(15.5%)で、男性ポストミレニアルは全体の 10.2%を 10 ポイント以上超えています。回答者の職業をみると、ポストミレニアルは学生の割合が高いことから自由な時間も多く、社会人としてのストレスの影響が少ないのかもしれません(図1、図2)。

 

 

2.ポストミレニアル世代から顕著にみられる特徴は「ボランティア精神」、「チャレンジ精神」
 「家事や育児の分担」や「同性同士の恋愛や結婚」など新しい価値観を容認する一方、リアルな対人関係には慎重で、持家やお墓へのこだわり、就職先への安定志向など保守的な一面も

  海外のレポートなどによると、ミレニアル世代の世界共通の特徴として、「多様な価値観」を受け入れ、「ボランティア精神」に富む傾向があげられますが、過去の当社の調査では、日本人のミレニアル世代ではあまりその傾向が見られませんでした。ミレニアルの年齢定義は海外の方が広いこともありますが、日本国内の若い世代の実態はどうなのでしょうか。ライフスタイルや生き方について、以下の5つのカテゴリーについて聞きました。

 

多様な価値観:「結婚したら男女問わず、家事や育児を分担するのは当然だ」は、ポストミレニアル、ミレニアルとも全体平均と大きく変わりませんでしたが、女性ポストミレニアルだけは突出して高い結果となりました (全体 66.9%、女性ポストミレニアル 77.7%)。「同性同士の恋愛や結婚も容認できる社会であるとよい」も、女性により広く浸透している結果となりました(全体 51.9%、女性ポストミレニアル 73.8%、女性ミレニアル76.7%)。「自分のお墓はなくてもよい」と考える人は、全世代を通じて女性の方が、そして世代が上がるほど割合が高くなる傾向でした。親の介護や看取りが現実的な課題である上の世代の方がより合理的に考えているのかもしれません。また、女性の方が総じて多様な価値観を容認する傾向があると言えそうです。

 

対人関係や地域とのつながり:対人関係においては、若くなるほど慎重である傾向が明らかとなりました。「出世のためには調整役に徹することも大切だ」は、女性ポストミレニアル、男女ミレニアルが全体平均を上回り(全体 49.0%、女性ポストミレニアル 58.3%、男性ミレニアル 61.2%、女性ミレニアル 53.4%)、さらに「個性を発揮することをためらい不安に思うことがある」は、ポストミレニアル、ミレニアルとも全体を大きく上回る結果となりました(全体 41.7%、男性ポストミレニアル 55.3%、女性ポストミレニアル 56.2%、男性ミレニアル52.4%、女性ミレニアル 47.6%)。
  ただし慎重な中にも「正しいと思ったことに対しては妥協せず自分の意見を通す(男性ポストミレニアル48.5%、女性ポストミレニアル 48.7%)」という面もみられます。

 

お金や消費:「持家を持つことは人生の目標の一つ」も意外にもポストミレニアル、ミレニアルとも全体平均を上回り(全体 40.3%、男性ポストミレニアル 52.4%、女性ポストミレニアル 45.6%、男性ミレニアル 49.5%、女性ミレニアル 41.7%、)、所有の意向も高いことがわかりました。この傾向は、都市部以外の地域でより顕著にみられました(首都圏、大阪圏、名古屋圏(東名大)居住のポストミレニアル 46.4%、その他の居住地 52.1%)。その一方で「シェアハウスなどで共同生活をするのもよい」はポストミレニアルで高い結果がみられ、柔軟な考えも垣間見られます(全体 17.6%、男性ポストミレニアル 28.2%、女性ポストミレニアル 36.9%)。

 

ボランティア精神:「子供食堂や高齢者の見守りなど、地域の安全や安心のために活動したい」、「募金やクラウドファンディングなど積極的にしたい」、「災害が起こった地域の産品を積極的に購入して応援したい」のいずれもポストミレニアルで意向が高い一方、ミレニアルについては全体より意向が低いものもみられました。
  「ボランティア精神」はポストミレニアル世代から現れた特徴の1つといえそうです。

 

チャレンジ精神:「夢や目標に向かって具体的に努力している」は男女とも若くなるほど高い傾向がみられ、「失敗するリスクが高くても、新しいものやことに積極的にチャレンジしたい」は特に男性ポストミレニアル、男性ミレニアルが高く、全体を 10 ポイント以上上回りました(全体 25.6%、男性ポストミレニア 37.9%、男性ミレニアル 42.7%、)。このようなチャレンジ精神の旺盛さもポストミレニアルの特徴と考えられ、人生の目的に対して、着実に進んで行こうとする姿勢が感じられる結果となりました(図3)。

 

 

 

【世代間の交流と影響について】

 3.ポストミレニアル・ミレニアル世代が生き方や行動の手本とするのは「親」
若い世代ほど身近な人が生き方や行動の手本となり、年齢が上がると手本は不在に
10歳以上年上の友人ともよく交流。「知らない知識を教えてもらえる」、「相談できる」の他、「おごってもらえる」期待も

   誰がポストミレニアル・ミレニアル世代のライフスタイルに影響を与  ているのか、生き方や行動のお手本としている人を聞きました。その結果、手本とする人の1位は「親」となり、ポストミレニアルは全体より 15 ポイント、ミレニアルは 5 ポイント高くなりました(図 4)。子供のころの活動(スポーツやサークル活動、習い事など)への親の関与度や「友達のようにつきあえる親子だ」という意識も世代が若くなるにつれて高まる傾向がみられ(図 5)、親子の距離が縮まったことが、親を手本とする割合の高まりにつながっていると考えられます。
  次に、親以外の他世代との交流をみるため、年上と年下の友人との交流について聞いたところ、全体的には、年上の友人の方が年下の友人よりも多く、平均的には 10 歳以上離れた友人ともよく交流していることがわかりました(図 6)。年上の友人と一緒にいてよいと思うことは、全体では「知らない知識を教えてもらえる(68.9%)」、

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