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2018年ゴールデンウィークの旅行動向

日並びの良さもあり国内旅行人数 、総旅行人数 が 過去最高に総旅行消費額も1兆円を超える見込み

・国内旅行: 利用宿泊施設 で は「旅館」が増加

・海外旅行: ヨーロッパ の 復調 傾向 が 続 き、アジアも人気

JTB は、「ゴールデンウィーク(以下 GW)<4 月 25 日~5 月 5 日の 11 日間>に、1 泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向の見通しをまとめました。

この調査は、1,200 人から回答を得た旅行動向アンケート、JTB グループの販売状況、航空会社の予約状況、業界動向などから推計したもので、1969 年に調査を開始して以来、今年で 50 回目となります。調査結果は以下の通りです。



<社会経済環境と生活者の動き>

1.旅行やレジャー消費をとりまく社会や経済の環境

世界経済の回復に伴い、世界的に需要が増加し輸出が堅調に推移したことなどから、日本の上場企業の 2018 年 3 月期の最終利益は、過去最高を更新する見通しです。好調な企業業績を反映し、2018 年春季労使交渉においては、主要企業で前年を上回るベースアップが相次ぎました。昨年のボーナスや雇用環境もよく、現役世代にとっては比較的好環境と言えます。

内閣府が発表した 2 月の「景気ウォッチャー指数(*1)」は 3 か月連続でマイナスとなりました。ガソリン代や燃料、食料品などの生活必需品が上昇したことや、冬季の天候不順による野菜の高騰などが家計を圧迫したことも背景となっています。4 月からは、瓶ビール、たばこなど生活に身近な商品が値上げとなり、今後の生活への影響は懸念されますが、GW の旅行についてはピークシーズンで予約も早めであることから値上げの影響はそれほどないと思われます(図 1、図 2)。

また、2009年から2011年にかけて実施されたエコポイントで購入した家電が買い替え時期をむかえ、今後は、電化製品の買い替え需要が旅行のライバルとなる可能性もあります。旅行動向アンケートにおける「今後1年間の旅行支出に関する意向」では、「支出を増やしたい(15.4%)」が0.6ポイント増 加、「支出を減らしたい(27.3%)」も0.8ポイント増加しています。現役世代にとっては好環境でもシ ニアにとっては、老後の生活への不安などもあり、年間の支出についての考え方には世代や生活の状況によって差がありそうです(表2)。

(*1)タクシー運転手、小売店の店長など景気に敏感な人への調査結果を指数(DI)化したもの


2.GW の旅行を取り巻く環境と生活者の旅行意向

今年の GW は、暦上では前半の 4 月 28 日(土)~4 月 30 日(祝)の 3 連休と、5 月 3 日(祝)~5 月 6 日(日)の 4 連休があります。また、5 月 1 日(火)、2 日(水)を休めば 9 連休となる日並びです。

旅行動向アンケートでは、今年のGWに旅行に行く人は、昨年よりやや増加する結果となりました。旅行に行く予定の人に「昨年と今年のGWの違い」を聞いたところ、「収入」については、「昨年より収入が増えた(16.5%)」が「昨年より収入が減った(13.2%)」より多くなりました。「休暇の取得」に関しては、「昨年より長く休みが取れそうだ(11.0%)」が「昨年より休みが取れそうにない(7.7%)」より多くなりました。「昨年より長く休みが取れそうだ」は前年より0.1ポイント増加し、「昨年より休みが取れそうにない」は5.8ポイント減少しました。4月27日(金)は昨年2月から実施のプレミアム フライデーになりますが、「4月27日のプレミアムフライデーを利用して1日長く休む」と回答した人が昨年に比べると1.0ポイント増加しています(表3)。「旅行先」に関しては、「昨年より近距離の旅行に行く(11.0%)」が「昨年より遠距離の旅行に行く(8.8%)」より多くなり、日数は「昨年と同じ日数の旅行に行く(14.3%)が最多でした。また、「今の生活や気持ち」について聞いたところ、「趣味や旅行など自分の好きなことにはお金を惜しまない」は、10代~40代で高く、「モノを買うことより体験や思い出を作ることにお金をかけたいと思っている」は30代、40代で高くなりました。昨年より収入が増え、休みも取れそうなので、旅行に行こうと考えている人が多いことがうかがわれます。


<2018 年GW 旅行動向予測>

1. 海外旅行人数は、58.5 万人(前年比+0.7%)、一人あたりの旅行平均費用は、264,000 円(前年比+ 2.7%) と増加。出発日のピークは、5 月 3 日(祝)、遠距離方面は 4 月 28 日(土)、29 日(祝)も多い

2018 年に入ってからの日本人の出国者数は、1 月は 142 万人(前年同月比+9.9%)、2 月は 139 万人(同▲6.9%)でした。2 月にマイナスとなった理由としては、今年は春節が 2 月(昨年は 1 月)だったため中国本土や香港などからの訪日客が大きく伸び、航空座席が取りにくかったことも影響したと考えられます。1月までの出国者数は 3 か月連続で増加しています。原油高から燃油サーチャージが上昇していますが、為替相場は対米ドルに関しては円高で推移していることもあり、旅行意欲を妨げる要因にはなっていないようです(表 4、表 5)。

今年の GW は「3 連休」+「4 連休」で、人気のアジア方面に行きやすい日並びであることもあり、海外旅行人数は昨年より増加することが見込まれます。前年より燃油サーチャージが上がっていることや平日 2 日を休んで長距離の旅行に出かける人もいると思われることから、旅行平均費用も、264,000 円(前年比+2.7%)と増加を予測します。


JTB の海外パッケージツアー「ルック JTB」の予約状況をみると、出発日のピークは、近距離のアジアを中心に 5 月 3 日(祝)となり、米国本土や欧州などの遠距離は 4 月 28 日(土)、29 日(祝) がピークになっています。人気の行き先は、ファミリーに人気のハワイ、近・中距離では台湾・シンガポールなどのアジア、遠距離では、イタリア・フランスなどの欧州となっています。

ヨーロッパ方面は、今年に入ってからの航空会社の旅客輸送実績も前年を超えており、復調傾向が続いています。

2. 国内旅行人数は過去最高の 2,384 万人(前年比+1.0%)、国内旅行平均費用は 36,200 円(前年比+1.7%)。出発日のピークは、4 月 28 日(土)、5 月 3 日(祝)

旅行動向アンケートによると、「旅行日数」については、「1 泊 2 日(42.8%)」が前年から 0.2 ポイント減少、「2 泊 3 日(37.6%)」は前年から 8.7 ポイント増加しています。「3 泊 4 日(13.3%)」も前年より 0.5 ポイント増加、「4 泊 5 日(4.6%)」は 1.1 ポイント減少しています。アンケート調査の結果では、約半数の 47.6%が「最終日は休息日としたい」と回答しており、「4 連休の最後の 1 日を休息日とし、2 泊 3 日で旅行へ出かけるパターンも多いと考えられます。

「旅行の目的」は「帰省、離れて暮らす家族と過ごす(25.3%)」が 最多ですが、前年からは 2.3ポイント減少しています。一方「温泉を楽しむ(9.9%)」「街歩きやショッピング(2.2%)」は前年からそれぞれ 0.8 ポイント、1.6 ポイント増加しています。

同行者」は、「子供連れ(中学生まで)(36.3%)」が 1.0 ポイント増加しています。「利用交通機関」については、「乗用車(73.4%)」が 1.8 ポイント増加し、「利用宿泊施設」については、前年と比べると「旅館」が 5.8 ポイント増加しています。また、「予定費用」(海外旅行含む)については、「2 万円未満」が 24.7%と最多ですが、「6 万円未満(8.2%)」は昨年より 3.1 ポイント増加しています。旅行に関しては、シニアに関心が向きがちでしたが、若い人を中心に収入や休みの状況が良いことから、今年のゴールデンウィークは小さい子供連れの旅行も含め、若年層の旅行が増えそうです(表7、表 8、表 9、表 10、表 12、表 13)。国内旅行については、人数・日数ともに増加し、国内旅行平均費用は 36,200 円(前年比+1.7%)と予測します。

JTB の国内パッケージツアー「エース JTB」の予約状況をみると、出発日は、4 月 28 日(土)、5 月 3 日(祝)が多く、行き先は、東北や九州、中国四国などが人気となっています。日本の名旅館に泊まるプランも昨年に比べて予約が好調です。また、35 周年を迎える東京ディズニーリゾート®や東京ミッドタウン日比谷などの新しい商業施設が増える東京・関東地区の予約が好調です。名古屋では、昨年オープンした『LEGOLAND® Japan』(レゴランド®ジャパン)の水族館「SEA LIFE」が 4 月 15 日に、オフィシャルホテルが 4 月 28 日にオープンします。関連商品については、東海地区を中心に予約が増えています。

また、JTB 総合研究所が行ったインターネット調査で「今年のゴールデンウィークで気になっている場所」を聞いたところ、「食のフェスティバル」が最も多くなりました。動物園や水族館、テーマパークなど若者やファミリーが行きやすい場所が人気です。



<旅行動向アンケート調査方法>

調査実施期間: 2018年3月2日~14日
調査対象: 全国 15 歳以上 79 歳までの男女個人
サンプル数: 1,200 名
調査内容: 2018 年 4 月 25 日から 5 月 5 日に実施する 1 泊以上の旅行
(海外旅行を含み、商用、業務等の出張旅行は除く)
調査方法: 全国 200 地点における調査員による質問用紙を使った個別訪問調査

<報道関係の方からのお問い合わせ先>
JTB 広報室 03-5796-5833

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