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CROSS TALK
対談|チャレンジド社員
DEIB※の推進によって、多様な価値の創造に挑むJTBグループ。
障害者がその能力を最大限に発揮することも、大切な原動力のひとつです。
JTBグループは障害有無問わず活躍できる環境づくりをおこなっているのか。
新入社員と、その上司の座談会を通じてお伝えします。
※内容は取材当時のものです
対談|チャレンジド社員
DEIB※の推進によって、多様な価値の創造に挑むJTBグループ。
障害者がその能力を最大限に発揮することも、大切な原動力のひとつです。
JTBグループは障害有無問わず活躍できる環境づくりをおこなっているのか。
新入社員と、その上司の座談会を通じてお伝えします。
※内容は取材当時のものです
H.I.
株式会社JTBデータサービス
総務部
総務課
2024年入社
Y.K.
株式会社JTBデータサービス(出向)
総務部
総務課
課長
2016年入社
障害があっても、挑戦の一歩を。
まずは自己紹介をお願いします。

H.I.
2024年4月入社のH.I.です。後天性の病気が原因で、右手右足の上下肢障害、右側の視野障害があり、身体障害者手帳を取得しています。趣味は、韓国アイドルの推し活と野良猫探しです。自宅でも保護猫を飼っていて、いつか猫島に行ってみたいなと思っています。

Y.K.
H.I.さんの上司として一緒に仕事をしている、課長のY.K.です。株式会社JTBビジネストランスフォームから出向しています。H.I.さんとちょうど同じぐらいの年齢の子どもが2人います。
お互いの第一印象は?

H.I.
とても丁寧な方という印象でした。入社前からメールのやりとりがあり、合同入社式にも同席していただきました。仕事が始まってからは「次はこういうスケジュールで、この時間には移動しましょう」と具体的に導いていただき、わからないことだらけの新入社員としてはすごく安心できました。何かあれば「Y.K.さんに聞こう」と思うほど、頼ってばかりです。

Y.K.
笑顔が素敵な明るい女性だと思いました。誰とでもすぐ仲よくなれて、同期の中では中心的な存在で頼りになります。
普段のお二人はどのように関わっているのですか?

H.I.
社内勉強会の運営などを引き継いだほか、日々の相談にもいろいろと乗っていただいています。

Y.K.
社内勉強会や教育業務については、引き継ぎながら配慮すべき点、注意すべき点を教えています。特に意識して伝えているのは、障害の有無にかかわらず、相手の立場になって考えることの大切さです。また、日頃の業務で気になったことがあれば、後からではなくその場で声かけするようにしています。
H.I.さん、入社の決め手を教えてください。

H.I.
就職活動では、一般枠ではなく障害者枠での採用がある会社を探していました。中でもJTBデータサービス(JDS)は、特例子会社ということで安心感がありました。「ここで働きたい」と思った大きな決め手は、障害者でも活躍できて、何事にも挑戦できる会社だと感じたことです。
障害者が「活躍できる」「挑戦できる」と感じた理由とは?

H.I.
聴覚障害のある社員が多いイメージがあったのですが、実際にはさまざまな障害のある社員が活躍しています。誰もが第一歩を踏み出しやすい環境ではないかと思ったのです。ただ、もちろん不安もありました。
それはどんな不安ですか?

H.I.
自分の障害について、大まかには事前に合理的配慮シート(※)や面談で会社に伝えてありました。ただ、細かな部分では自分自身も理解できていないところもあり、そこを尋ねられた時、的確に答えられるかどうかが不安でした。また、障害をすべて打ち明けて、できる業務がなくなってしまうことも心配していましたが、自分の状況をしっかり伝えることで「ここまではお願いします」「ここからは任せてください」と、周囲が私を理解したうえで業務を任せてもらっています。そのおかげで、いまは不安なく仕事に打ち込んでいます。
※障害についての配慮事項をまとめたシート
※障害についての配慮事項をまとめたシート

障害への理解が、お互いの安心になる。
Y.K.さんは、H.I.さんの受け入れにあたってどんな準備をしましたか?

Y.K.
JDSの新入社員研修では、2か月にわたって各課を回り、業務を学ぶことができます。また、新入社員自身が障害特性について社員全員に伝える勉強会も開催しています。こうした機会によって障害についての理解も進んでいたので、不安なく受け入れることができましたね。受け入れ前には総務課のメンバーに「コミュニケーションをよく取って、業務が難しそうなら工夫してやり方を変えるなど、臨機応変に対応しましょう」と話しました。
勉強会の開催に対して、社内のリアクションはいかがでしたか?

Y.K.
「もっと早くやってほしかった」という声が上がりました。相互理解が深まるので、新入社員も受け入れる側も、どちらも安心できます。障害特性について当事者が自分自身の言葉で説明するのは、具体的だし説得力もあります。これからも勉強会を続けていきたいと思います。

H.I.
私は講師として自分の障害について開示しましたが、特に抵抗は感じませんでした。むしろ、職場のみなさんに知ってもらえることがうれしかったですね。
H.I.さん、仕事内容について詳しく教えてください。

H.I.
総務課に所属し、勤怠管理や経理業務に携わっています。1日の流れを紹介します。朝礼がある日は、まずTeamsのセッティングやメールの確認、各課からの依頼があれば、オンラインで物品の購入なども行います。そのあとは日によって異なりますが、勤怠管理システムや人事システムを使った業務が中心です。また、社内勉強会の運営や経理システムでの伝票作成、切手・レターパックの管理、受付対応なども行っています。
仕事のどんなところにやりがいを感じていますか?

H.I.
業務がスムーズにいき、感謝される時です。たとえば、郵便物を届けた時。「ありがとう」「H.I.さんにやってもらって助かった」と声をかけられるとうれしくなりますね。
Y.K.さんからみて、H.I.さんの活躍ぶりはいかがですか?

Y.K.
着任した時、全社員の名前と顔を覚えていたことに驚きました。総務課を訪れる社員にいつも笑顔で対応してくれるので、一段と明るく、訪れやすい場所になったと思います。また、業務に新しい視点を持ち込み、これまでのやり方にとらわれない改善を提案してくれるため、そのことが、周囲にもいい刺激になっています。

試行錯誤を恐れずに、誰もが働きやすい職場へ。
仕事中、困ったことはありますか?

H.I.
右目の視野障害のために、Excelやwordでの作業中に見落としが出てしまうことがありました。ノートパソコンを左側に置き、見直しも重ねることでミスがないよう工夫しています。また、さまざまな作業で右手が使えず、左手だけで行うことがほとんどです。ものを運ぶ時には量を減らし、大きな郵便物などは周囲の手を借りるようにしています。パソコンのキーも3つを同時に押すのが難しかったのですが、周囲が気づいてくれて、画面内にキーボードが表示されるよう設定を変えることで解決できました。仕事がスムーズに進むようになって、とても助かっています。

Y.K.
座席の位置も試行錯誤しています。たとえば指導を行う先輩社員は、H.I.さんの視野に入りやすい左側に座っています。また、切手やレターパック、貸出用PCなど、業務に必要なものが入ったキャビネットもそばにあります。2度の座席変更を経て現在の位置になり、仕事のしやすさを確かめているところです。障害のある社員に限らず、誰もが働きやすい環境をつくりたいと思っています。みんなの声を聞き、何度でも変え、できなかったらもう一度考える。それを繰り返しながら、理想に近づけていきたいですね。
周囲からの配慮について、お願いしにくかった経験はありますか?

H.I.
ありません。みなさんがよく声をかけてくださるので、こちらからも話しやすいです。Y.K.さんも、ミーティングの質疑応答などで「H.I.さんは質問ない?」「大丈夫?」と私を気づかい、意見には真剣に耳を傾けてくれます。総務課の一員として受け入れられたようで、とてもうれしいですね。
H.I.さんと接するうえで、Y.K.さんが意識していることはありますか?

Y.K.
固定概念で決めつけないことですね。私たちが「これは難しいだろう」と思った業務も、工夫すればできることもあります。たとえばH.I.さんは、メモが取りにくいので電話応対はできないだろうと考えていました。けれどあるメンバーが「郵便局や宅配業者など、決まった相手からの受付電話なら取り次ぐこともできるのではないか」と提案してくれました。実際にお願いしてみるとまったく問題はなく、とても助かっています。
「こんな制度があったらうれしい」と思うものはありますか?

H.I.
通院についての制度が充実するといいですね。それほど頻繁ではありませんが、私は定期的に通院していて、平日の場合は有休を使います。CTやMRI検査を伴う通院が必要になることもあり、手当や特別休暇があるととても助かります。それからリモートワークです。JDSはリモートワークがそこまで浸透しておらず、出社しなければできない業務もあります。ここが変われば、もっと働きやすくなると思います。

Y.K.
私も通院休暇はあったほうがいいと思いますね。定期的な通院は健常者にもあり得ることです。有休とは別に休暇制度があることで、安心材料になるはずです。

決めつけない姿勢が、可能性を広げる。
最後にメッセージをお願いします。

H.I.
「障害があるからできない」と決めつけることなく、まずは一回やってみる挑戦心を持ち、みなさんと切磋琢磨しながら成長していきたいです。また、初めて会った人にも「私って、こういう特性があるんだよね」と気軽に伝えられる環境をつくるために、チャレンジド社員が自ら発信していくことも大切なのかなと感じています。まずはJTBグループに特例子会社があることや、DEIBについて発信していることをぜひ知っていただき、多様性について考える機会につながればと思います。

Y.K.
お互いをよく理解し、コミュニケーションを取ることが何よりも大切だと思っています。その中で、新たな気づきや発見もあります。私はサポーター社員を経験することで、正しく伝えることの難しさや、コミュニケーションの大切さを改めて感じました。また、自分自身のアンコンシャスバイアスに気づこうとすることで、ものの見方や捉え方が変わり、さまざまな可能性を模索する機会も増えました。これは私自身にとっても、そして組織にとっても、とてもいい変化だと感じています。これからも、社員一人ひとりがそれぞれの違いや多様性を強みに変えて、能力を発揮しながら挑戦を通じて成長できるような職場をつくっていきたいですね。
