CAREER & CULTURE
							
								
						
						CROSS TALK
座談会|グローバル
旅行領域と旅行外領域の両軸で
	真のグローバル展開を目指すJTB。
	日本と世界、そして世界と世界をつなぐー 
	変革の最前線で生まれる、新しいJTBの姿とは。
	JTB Pte Ltd(シンガポール)が取得した
	『GSTC』認証を通じた、
	サステナブルツーリズムへの本格参入と
	グループ連携を例にご紹介します。
※「GSTC」認証:グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(Global Sustainable Tourism Council®)が定める、旅行と観光における持続可能性のための国際標準「GSTCスタンダード」に基づく認証。JTBグループでは、国内ツアーにおいて株式会社JTBとJTBグローバルマーケティング&トラベル、海外ではTour East Singaporeと、JTB Pte LtdがGSTC ツアーオペレーター認証を取得している。
※内容は取材当時のものです
							

H.K.
JTBシンガポール支店
DMC事業シニアマネージャー
2003年入社
- これまでのキャリア
- 2003年株式会社ジェイティービー入社。
 日本国内で個人向け旅行店舗およびロイヤルロード銀座勤務後、2024年4月よりJTB Pte Ltdへ出向にて現職。
- 仕事内容
- JTBグループのインハウス部門にて、お客様を受け入れる側の責任者として、団体旅行・個人旅行の統括を務める。併せて、当地における新規企画の策定や折衝、またセールスプロモーション業務として、日本の営業担当に対してのPR活動を行う。
K.S.
株式会社JTB
ビジネスソリューション事業本部
第三事業部
2018年入社
- これまでのキャリア
- 2018年株式会社JTB入社。初期配属でビジネスソリューション事業本部第三事業部に配属。
- 仕事内容
- 担当する顧客に正対し、課題解決を目的とした営業活動を行う。現在は大型案件を抱えるお客様へ、旅行・MICEを基軸として、JTBの価値最大化・顧客関係深化を目指し、さまざまな手法を駆使しながら営業実践をしている。
T.T.
JTBシンガポール支店
団体課マネージャー
2013年キャリア入社
- これまでのキャリア
- 2008年ツムラ―レクロアチア・ザグレブオフィスにて勤務。2013年よりJTBシンガポール支店/JTB Pte Ltdへ入社。
- 仕事内容
- 主に日本からシンガポールを訪れるお客様の社員旅行、イベント、教育旅行の手配。観光素材やレストランといった現地の魅力を旅行というサービスに凝縮し、思い出に残る貴重な体験・時間として提供することを支えている。
JTBのグローバルについてもっと知りたい!
サステナブルな国で、
サステナブルな旅を。
						
							JTB Pte Ltdが「GSTC」認証の取得に至った経緯を教えてください。
						
						
H.K.
								シンガポールは国土が狭いこともあってか、サステナビリティへの意識が日本よりはるかに高いんです。それがツーリズムにおいても、ごく当然のように取り入れられている。同じくJTBグループも、サステナビリティ経営にはすごく力を入れてきました。シンガポールにはサステナビリティ担当大臣がいますが、JTBにはサステナビリティ担当役員がいるというほどで(笑)。じつは「GSTC」認証も、株式会社JTBとしてはすでに取得済みでした。となると、JTB Pte Ltdも——在シンガポールの支店である私たちも追随し、サステナブルなツアーオペレーターであることを積極的に発信していく。いずれ必要になると考えましたが、私たちは以前からサステナブルツーリズムを推進してきました。だからこそ『いずれ』ではなく『いま』だと。もともとやってきたことをしっかり認めてもらって、「GSTC」認証の取得につなげようと思い立った。それが発端ですね。
							
						
T.T.
								取得にあたっては、私も含めた社内メンバーと、外部のコンサルティング会社でプロジェクトチームを組みました。話が出てから取得まで、4か月程度だったでしょうか。
							
						
H.K.
								普通は1年ぐらいかかるらしいんです。
奇跡的なスピード感だった(笑)。
						奇跡的なスピード感だった(笑)。

T.T.
								H.K.さんの話にもあったように、すでに取り組みの事例が蓄積されていたことが大きかったですね。それを正しくまとめることで、説得力のある資料ができた。とはいえ、もちろん大変だったわけですが(笑)。
							
						 
						自然を楽しむことで、
その大切さを知る。
						
							これまでに行ってきたサステナブルな取り組みとは?
						
						
T.T.
								原則的に言えば「法に則り、環境、文化、経済に十分配慮しながら現地のツーリズムを推進していくこと」。具体的に環境対応の例を挙げると、たとえばペットボトルを使い捨てるホテルや、フカヒレを提供するレストランは避ける。ツーリズムの推進であれば、ツアーのコンテンツを吟味することで現地を盛り上げ、旅行そのものを持続可能にしていくことだと言えますね。
							
						
H.K.
								その一つの象徴が、マンダイ・ワイルドライフ・グループとの協力覚書(MOU)の締結です。マンダイ・ワイルドライフ・グループは、動物をテーマにした5つのパークと、野生動物保護区を管理運営する現地企業です。単なるアトラクションにとどまらない学びの提供や、基金への寄付を通じて、野生動物の保護活動に大きく貢献している。もともと長い付き合いなのですが、その関係をさらに深め、サステナブルツーリズムをともに推し進めていきたい。そんな思いが一致して締結に至りました。
							
						
K.S.
								たとえば私が法人クライアントに社員旅行を提案するとき、マンダイ・ワイルドライフ・グループのテーマパークにおけるイベントを盛り込む。そのことで、クライアントに楽しんでいただきながら、野生動物や保護活動についての理解も自然と深まるような機会を提供しています。一例として、とある大手企業のインセンティブ旅行にマンダイ・ワイルドライフ・グループのディナー付きナイトサファリを取り入れ、非常に好評でした。
							
						
T.T.
								K.S.さんがシンガポールの旅行を企画する際には、まず私たちからさまざまな観光情報を提供します。そこからお客様にとって特に魅力的なものを選び、ツアーとして組み立てる流れです。その情報の中に、ディナー付きナイトサファリが含まれていて。
							
						
K.S.
								このツアーでは、T.T.さんにすごくご苦労をおかけしてしまいました。というのも、旅行の参加人数が出発ギリギリまで増え続けたんです。インセンティブ旅行なので成績優秀な社員が招待されるのですが、旅先がシンガポールだとわかった途端、みなさん、すごく張り切られたようで。そのことは非常に嬉しいことなんですが、T.T.さんの調整のご苦労を考えると冷や汗が出ました。
							
						
							お客様からは、どのような好評の声が届いたのですか?
						
						
K.S.
								「シンガポールって、こんなに自然が豊かなんだ」という発見を喜ぶ声が多かったですね。都市国家のイメージが一般的だと思いますが、それだけではないと。シンガポールの多面的な魅力を味わっていただけたと思いますし、動物保護の重要性にも触れていただけたのかなと感じています。
							
						 
						サステナブルツーリズムというマーケットを切り拓く。
							K.S.さんは日本で営業活動を行っていますが、JTB Pte Ltdの「GSTC」認証取得をどのように受けとめましたか?
						
						
K.S.
								非常に心強いと感じています。たとえば大手企業にシンガポールへの社員旅行を提案するとして、JTBが介在する価値をこれまで以上に明確に感じていただけるようになる。社員旅行には、参加者を楽しませることはもちろん、対外的なアピールの意義もあると思っています。JTBがツアーオペレーターをつとめることでサステナブルな旅になり、社員旅行というイベントが社会貢献性を帯びる。となれば、非常に大きなインパクトをもって、クライアントに受けとめていただけるはずだと。
							
						
H.K.
								修学旅行もそうですね。修学旅行の運営は学習指導要領に基づくのですが、そこには「サステナビリティ」というキーワードがしっかり載っています。JTBが学校に企画書を持っていくとき、「GSTC」認証を持っています、と謳えるのは強い。一方で、数年もすれば他社もこの認証を取りに来るだろうと予想しました。だからこそ、JTBは先駆けて始めなければという思いもあった。
							
						
T.T.
								JTBが先駆者となって、サステナブルツーリズムというマーケットを切り拓く意義。それは私も強く感じました。シンガポールでの観光を楽しんでいただくことに加えて、慣習や宗教上のルールもしっかりと共有し、現地をもっと知っていただく。そのことで旅行をさらに興味深いものにすると同時に、持続可能性を高めていく。いわば啓蒙にも近い取り組みだからこそ、JTBには、最初にそれをやる責任があるのかなと。
							
						
H.K.
								めでたく認証を取得できて、いまはそのことをJTBグループの中で宣伝している段階です。いずれ周知が行きわたり、ビジネスにつながっていくことを期待したいですね。
							
						「日本と世界」から「世界と世界」へ。
							H.K.さんが海外業務を志した理由を教えてください。
						
						
H.K.
								もともと私は、ラグジュアリー旅行専門店である「JTBロイヤルロード銀座」にいました。日本から海外へと、お客様を送り出す側だったんです。けれどお客様に100%楽しんでいただくためには、お迎えする現場の側もしっかりしていないといけない。自分の手でその土壌づくりをしてみたいと、いつしか思うようになっていました。
							
						
							実際にシンガポールに赴任して、ご自身に変化はありましたか。
						
						
H.K.
								楽しませたい「主語」が変わりましたね。最初はあくまでも「日本の」お客様。交流創造事業を掲げるJTBの表現にならっていえば、日本と海外の交流をつくろうとしていた。今はそれが「世界中の」交流をつくりたいに変わりました。というのも、シンガポールに来たことで、視界が360度、大きく開けた感覚があったんです。こっちを見れば日本というマーケットがあるけれど、あっちにはアジアがあるし、そっちにはヨーロッパもあるじゃないか、と。そのすべてのマーケットからシンガポールに来ていただくことで、無数の交流を生み出していきたい。JTBはいま、海外事業を大きく伸ばそうとしています。その中には「世界発、世界着」という旅行事業の拡大も含まれている。その意義が、シンガポールに来ることで腹に落ちた。そう感じています。
							
						
							T.T.さんはいかがですか。
						
						
T.T.
								最初のきっかけにまでさかのぼると、高校時代に初めて海外旅行をしたことです。それまで海外とはまったく無縁の暮らしで、私自身はもちろん、家族も親族も、一人もパスポートを持っていなかったんじゃないかな。それがたまたま、夏休みを利用した語学研修制度を知った。行き先はイギリスでした。なんとなく海外に憧れはあったし、友達もけっこう参加するという。それならば、と思い切ったのが始まりですね。
							
						
							初めての海外旅行は、T.T.さんにとってどんな経験でしたか。
						
						
T.T.
								とにかく刺激的でした。語学はもちろん、本当にたくさんの学びがあった。見知らぬ土地でトラブルがあったときにどう解決するか。外から見てわかる日本の良さとは何か。ワクワクしっぱなしでしたね。いま私がJTBにいて、シンガポールで仕事をしているのも、あの時に感じたワクワクを多くの人に広げたいという思いが源泉なんだと思います。
							
						オンもオフも「旅行人」。

K.S.
								T.T.さんのお話、すごくよくわかります。私の場合は学生時代、東南アジアで2か月ほどバックパッカーをやったのがすごく記憶に残っていて。JTBに入ってからもあちこちに行っていますが、国や地域によって印象がまったく違って、すべてが新鮮。旅っていいものだなと、常々感じています。
							
						
H.K.
								JTBにはやっぱり旅好きが多いんですよ。行ったら行ったで、身を削ってでもすべてを体験し尽くそうとする(笑)。けれどその結果、旅の知識が蓄積されて、お客様に価値として提供できたならそれでいい。旅行人としては本望です(笑)。
							
						
							その「旅行人」とは、仕事のことですか。それともプライベートですか。
						
						
H.K.
								もう、どっちもですね。混ざってます(笑)。
							
						
K.S.
								どっちもあるからいいのかな、と思います。もちろんビジネスとして旅行をご提案するのですが、一人の旅行者としての感覚も大切にしたい。たとえばシンガポールは、空港に着いた途端、ランの花のすごくいい香りがする。小さな例かもしれませんが、現地を直に見て、直に感じることでしか味わえない特別感。それこそがきっと、旅行の価値につながっている。その価値をリアルにお客様に伝えることが、JTBの存在意義のひとつだとも思っています。ただ、私は日本で営業活動をしている以上、現地の肌感覚がどうしても持ちにくい。だからこそ、生きた情報の提供元であるH.K.さん、T.T.さんの存在が本当にありがたいんです。
							
						
T.T.
								現地にいる私たちとしては、最終的にお客様をシンガポールに連れてくるのはK.S.さんだと思っていて。K.S.さんが自分ごととして、熱意とリアリティを込めてシンガポールを語る。それがお客様の心を動かすわけですから、私たちは必要なサポートを全力で提供したい。K.S.さんは、コミュニケーションがすごく密なんです。オンラインツールをフル活用しながらシンガポールを深掘りして、ツアーの質を高めようとする熱意。それが伝わってくるからこそ、一緒にツアーをつくるパートナーとして向き合うことができている。そう思います。
							
						 
						もっともっと、ボーダレスなJTBへ。

H.K.
								いまのお二人の話を聞いてすごくいいなと思ったのは、間にボーダーがないこと。じつは、私たちのような海外の支店を日本国内から見ると、グループ会社でありながら「他社」に近いんです。ともすれば、メールの1行目が「お世話になっております」から始まっている。いや、ひとつのチームなのに「お世話になります」はおかしいでしょう。「おつかれさまです」にしようよと働きかけたことがあるくらいです。会社という単位にこだわるとそうなるけれど、JTBはグループでONE TEAM  ONE JTB。一体となって仕事をつくりあげる意識を、もっともっと高めていきたい。K.S.さんとT.T.さんは、まさにそのONE TEAMを体現してくれていて。
							
						
K.S.
								オンラインツールが発達したことで、コミュニケーションのボーダーはなくなった。それも、H.K.さんの言うONE TEAM  ONE JTBに近づくためのきっかけになるんじゃないかと思います。
							
						
H.K.
								T.T.さんがK.S.さんを「パートナー」と表現していましたが、他社という前提に立つと「お客様」だと勘違いしかねない。そうじゃないんです。私たちのお客様はあくまでも旅行者、エンドユーザーなんです。この視点が抜けると、ONE JTBは実現できない。JTBグループのあらゆるプレイヤーがエンドユーザーを向いて、すばらしい価値を提供していく。それがあたりまえになったとき、JTBは真のグローバル企業になれるのではないかと思います。
							
						
T.T.
								そのマインドは本当に大切にしたいですね。JTB Pte Ltdという拠点の中でも、しっかり浸透させていくべきことだと思います。JTB Pte Ltdのスタッフは、約7割が現地採用のシンガポーリアンです。その中にもさまざまな文化的背景があって、価値観にも違いがある。その多様性を尊重しながらも、ONE JTBとして譲れないマインド——エンドユーザーを見つめて一緒に価値を生み出すということを、しっかり根付かせるようなマネジメントをしていきたいと思います。
							
						 
				

