事例紹介

お客様と地域の皆様、そしてJTBグループの社員が共に活動していく「JTB地球いきいきプロジェクト」。1982年より「観光地クリーンアップキャンペーン」を全国で実施してきました。2012年の創立100周年を機に、現在の『JTB地球いきいきプロジェクト』に名前を変更。自治体、NPO、大学、一般企業をはじめとする地域の皆様、お客様、そしてJTBグループ社員が一丸となって各地域で様々な活動を通して、元気な未来を創造しています。 このプロジェクトは観光地の清掃活動はもとより、自然環境や生物多様性の保全活動、歴史や文化の学習体験など、地域の特色を活かした多彩なプログラムへと発展してきました。今では国内だけにとどまらず、世界中で数多くの交流を生み出しています。
今回は、「サンゴの村宣言」でも知られ、地域の各団体が協働して海洋環境の改善に力を注ぐ沖縄本島北部・恩納村で2019年3月3日開催されたプログラム“サンゴの村宣言 「恩納村」−持続可能な取組みでサンゴを守ろう−”をご紹介します。

01 海を身近に感じてもらうプログラム

サンゴの村宣言 「恩納村」−持続可能な取組みでサンゴを守ろう−
海の問題を知り、自身にできることを知る一日

海洋環境の保全と改善が世界的に叫ばれる現在。美ら海を誇る沖縄県でも、サンゴの白化現象や海洋ゴミの漂着問題の深刻化が懸念されています。今回の「JTB地球いきいきプロジェクト」にご協力いただいたのは、2018年に「サンゴの村宣言」を行い、環境と観光を高次に連携させた地域づくりを目指す恩納村の各種団体の皆様。サンゴの苗作り体験やビーチクリーンを通して海洋保全の取組みや、海の素晴らしさを身近に感じてもらうプログラムが組まれ、沖縄本島在住の約30名(お子さんを含む)の方々が参加しました。

02 サンゴの植樹体験

ひと枝のサンゴが美ら海に広がることを願って
これまで知らずにいた「海」のこと

恩納村真栄田にある漁業協同組合の施設から当日のプログラムはスタート。「海を豊かにしようと感じてもらえたらうれしい」という沖縄体験ニライカナイのスタッフから、苗作り体験前にサンゴに関するレクチャーを受けました。サンゴが分裂して成長していくこと、海全体のわずか0.2%の面積しかないサンゴ礁に海洋生物の約30%が生息していることなど、知る人ぞ知る情報が次々披露され、参加者からはあちこちで驚きの声が上がっていました。

サンゴの白化現象について説明する沖縄体験ニライカナイのスタッフと熱心に聞き入る参加者の皆様。
サンゴにそれぞれのメッセージを込めて

サンゴやその保護の重要性を理解したところで、いよいよ苗作り体験にチャレンジ。ボルトが打ち込まれた小さなコンクリートの基盤に美ら海への願いや日付、名前などを書き込み、枝サンゴのかけらをワイヤーで巻きつけて大きな水槽の中に沈めます。ここでしばらく成長を見守られたサンゴは後日、恩納村マリブビーチの、満潮時に深さ約4mになるエリアに植え付けられます。
スタッフの方によると、サンゴたちの定着率は約半分ほど。このような地道な活動が実を結び、マリブビーチのサンゴは少しずつ回復しているのだといいます。

まずは生きた枝サンゴの一枝を選びます。
サンゴ育成の土台となる基盤にメッセージを記入。
細いワイヤーでサンゴを基盤に固定。
ある程度大きくなるまで、水槽の中で育成される。
タッチプールで海への興味をさらに喚起

サンゴの仮住まいとなる水槽はタッチプールも兼ねていて、大きなヒトデをはじめ普段なかなか見ることのない海の生き物たちがたくさん。参加者の皆さんは、初めて触れる奇妙な生き物におっかなびっくりながら興味津々。いままで漠然とそこにあった「海」にがぜん興味がわいた様子で、特に小さなお子さんたちが、次々とスタッフに質問を投げかける姿が印象的でした。

03 ビーチクリーン

サンゴのゆりかご「マリブビーチ」を清掃
あっという間に8つのポリ袋が満杯に!

朝は真夏のような日差しだったにもかかわらず、突然の雨。雲の合間をぬい、徒歩でマリブビーチへ。たびたび清掃が行われているビーチながら、よく見ると貝や海藻や木片に混じって、細かくなったプラスチックやストロー、ぺットボトルのフタをはじめ、たくさんのゴミが打ち上げられています。
沖縄のビーチには、中国、韓国、台湾などの近隣諸国から大量のゴミが海流にのって漂着するので、日本国内だけでは問題の解決が難しいのが現状。だからといって放置してしまえば、景観が損なわれるのはもちろん、サンゴをはじめとする海の生き物たちに深刻な影響を与えてしまいます。根気よくビーチクリーンを続けることは、海洋環境にとってとても大切なことなのです。
短い時間ながら、海を身近に感じ始めた参加者の皆さんの表情は真剣そのもの。あっという間にポリ袋8個分のゴミを回収しました。

集めたゴミを前に記念写真(於マリブビーチ)

04 その他のプログラムメニュー

海からの贈り物と親しむ楽しい時間
いつもの海が今日からもっと身近に

この日のプログラムは、サンゴの苗作りとビーチクリーンの他にも盛りだくさんの内容でした。 漁業協同組合の組合長による海ぶどうの養殖施設紹介では、実は30年ほど前にフィリピンから輸入されて養殖がはじまったもので沖縄の海には自生していないという説明に、参加者の皆さんからは「えー!?」と驚きの声。沖縄の名産品となるまでの試行錯誤をはじめ、興味深いお話に耳を傾けました。
サンゴや貝を使ったクラフト体験では、大人もお子さんもとっておきの一点を作ろうと奮闘。特別な一日の、素敵な思い出の品をそれぞれ完成させました。
プログラムのガイド役を務めてくれたスタッフさんたちとのお別れのカチャーシーも「スタッフのあたたかさが伝わってきた」「初めて会った人とも一体感が持てた」と大好評でした。

05 参加者の声

想い出に残ったこと、印象深かったことは?

●今回は6才の息子と参加しました。サンゴにとても興味を持ったようで、自分からスタッフの方に質問しているのを見ていてうれしかったです。とても意義のあるツアーだったと思います。(女性)
●一番楽しかったのはクラフト、二番はヒトデを触ったこと、三番はビーチのゴミを拾ったことで、四番は海ぶどう!また来たい!(男の子/6才)
●参加のきっかけはプログラムのひとつであるサンゴのクラフト体験で、娘も喜ぶと思って旅行気分で参加しました。最終的には、サンゴの生態に関するお話や苗作りがとても印象に残りました。(男性)
●サンゴは分裂しながら大きくなるとか、今まで知らなかったことを知ることができてよかったです。みんなで踊ったカチャーシーも思い出に残りました。またこのようなプログラムがあったらぜひ参加したいです。(女性)
●サンゴのいろんなことが分かって海が好きになりました。アクセサリー作りも楽しかったです。(女の子/10才)

06 協力団体の声

横のつながりを強めて海を守るプログラムを推進

当社は学校の体験学習等にもたずさわっていますが、近年は海の環境に関する意識の高まりを感じています。私は、恩納村のマリブビーチを沖縄一のビーチだと思っていますが、この海を守っていくためには、地域の横の繋がりが必要不可欠です。今日のプログラムに施設を貸してくださった漁業協同組合さんをはじめ、村内のさまざまな団体との連携をさらに強めていくとともに、環境保全に無理なく持続的に取り組んでいけるよう、活動で生じる利益を地元へ還元する取り組みを強化していきたいと思います。
JTBには、CSR活動の先駆け企業として、今後ともご協力いただければ幸いです。

沖縄体験ニライカナイ 代表 加蘭明宏氏

私は一度沖縄の外に出て暮らしたことで、この美ら海の素晴らしさに改めて気づかされました。本日のプログラムでは小さなお子さんがたくさん質問をしてくださって驚きましたし、海やサンゴに興味を抱いてくれたことがとてもうれしかったですね。参加者の皆さんも、今日の体験によって今までとは違う意識を、海に対して持っていただけるのではないかと思います。
近年は、マイクロプラスチック問題をはじめ、海洋環境に関する危機感が一般にも高まってきていますので、さらに海のプログラムに力を入れていけたらと思っています。

沖縄体験ニライカナイ 部長 山田有子氏

07 担当者の声

グローバル・ゴールを見すえたプロジェクトを展開していきたい
(株)JTB 沖縄 小山隆

今回のプログラムは、2018年に「サンゴの村宣言」を行った恩納村の自然環境に対する高い意識と環境保全活動に同調する形で企画・実施させていただきました。 サンゴの苗作りやビーチ清掃といった環境保全に直接つながる活動はもちろん、小さなお子さんも楽しんでもらえるコンテンツを盛り込んだ構成内容となり、楽しみながら海を身近に感じていただけたのではないでしょうか。ご協力いただいた各種団体の皆様に、たいへん感謝しております。
今後も、国連開発計画が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つである「海の豊かさを守ろう」の活動に継続的に取り組みつつ、より良い未来づくりに役立つアクションを「JTB地球いきいきプロジェクト」を通して実施していければと思います。

※社名・肩書きは取材当時のものです。