第15回JTB交流創造賞 授賞式レポート
「交流の創造」による、感動をもっと。

第15回JTB交流創造賞の授賞式が2020年1月16日(木)、東京都新宿区の京王プラザホテルにて行なわれました。

第15回JTB交流創造賞 授賞式レポート 「交流の創造」による、感動をもっと。

01JTB交流創造賞とは

地域に根ざした持続的な交流の創造と、各地域の魅力の創出、地域活性化に寄与することを目的として2005年に創設。毎年各地における観光振興に対する斬新な取り組みや、実際に体験した交流創造の事例を募集し、選考・表彰しています。JTB交流創造賞には『組織・団体部門』、『一般体験部門』、『ジュニア体験部門』の3つの部門があり、それぞれが以下のコンセプトのもと、毎年、全国各地から作品を募集しています。

交流創造賞 「組織・団体部門」

新たな知恵や特性を活かした観光を基軸とした交流の創造・地域活性化の取り組みを募集。

交流創造賞 「一般体験部門」

人や文化の交流による心に残る旅先でのエピソードを募集。

交流創造賞 「ジュニア体験部門」

旅先での人・自然・文化・歴史等との感動体験を募集。

02今年度の最優秀賞作品

今回は2019年9月30日(月)の応募締め切りまでに「組織・団体部門」84作品、「一般体験部門」95作品、「ジュニア体験部門」に620作品ものご応募がありました。その中から選考委員による最終選考会議を経て、各部門の最優秀賞作品が決定いたしました。

  • 【組織・団体部門】最優秀賞
  • 漁師が地元の海をまるごと魅せる! 漁船クルーズで町を活性化
    マリン・ツーリズム山田(岩手県下閉伊郡山田町)
  • 【一般体験部門】最優秀賞
  • カールの次はカール
    深瀬 惇(旅先:カルムイキア共和国)
  • 【ジュニア体験部門】
  • 小学生の部 最優秀賞
    島バナナゆれて
    阿部 恵(場所:沖縄県宮古島)
  • 中学生の部 最優秀賞
  • 自分ルーツの旅
    阿美 慈英(場所:鹿児島県徳之島)

03「組織・団体部門」受賞作品紹介

【組織・団体部門】最優秀賞
漁師が地元の海をまるごと魅せる! 漁船クルーズで町を活性化
マリン・ツーリズム山田
インタビュー

■取り組み内容

2005年頃、地元の漁師7〜8人で結成された会員制のグループ「マリン・ツーリズム山田」。当初は県内の子供たちへの養殖漁業体験を目的に活動していたが、2011年の震災を境に一度は活動を中止するも、2016年夏に新生「マリン・ツーリズム山田」として再スタート。
再開後は県外からも広くお客様を受け入れ、漁業を中心とする観光体験を展開し、山田町の水産資源のブランド化、漁業の復興、そしてさらなる発展を目指している。

作品はコチラ

取り組み内容

■選考委員の評価のポイント

観光客には山田町の漁師の“生きがい”を通じて、山田町ならではのリアルな体験を楽しみ、漁師はそこで生まれた今までにない交流に“やりがい”を感じています。このような、双方に大きな相乗効果が生まれていることを評価しました。
また、2016年の再開以降、着実に規模を拡大しており(2019年9月時点で1,000名以上受け入れ。再開当初の約3倍)、地元の方々のエネルギーが交流の源流としてしっかりと根付いている点も素晴らしいと感じます。復興支援のみならず、真に地域の人と資源、そしてアイデアによって活動を盛り上げ、思いを見える化し、観光客を巻き込むことに成功しているこの取り組みは、今後の事業予定からもさらなる発展が期待できると考えます。

(左から)マリン・ツーリズム山田 事務局長 沼崎 真也さん、やまだワンダフル体験ビューロー 体験コーディネーター 服部 真理さん、マリン・ツーリズム山田 会員漁師 中村 敏彦さん
(左から)マリン・ツーリズム山田 事務局長 沼崎 真也さん、
やまだワンダフル体験ビューロー 体験コーディネーター 服部 真理さん、
マリン・ツーリズム山田 会員漁師 中村 敏彦さん

■受賞者の声

-最優秀賞受賞、おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください。

まさかこのような名誉ある賞をいただけるとは思っていなかったので、とても驚いているのと、嬉しい気持ちでいっぱいです。また、これまで山田町の漁師たちが取り組んできたことの意義深さを改めて実感しています。地元の仲間や漁師たちもみんな大変喜んでいます。

-どのような点が評価されたと思いますか?

地元の漁師たちがカキやホタテなど地元の海産物や、島、養殖イカダなどの地元の資源を利用して、自ら観光客をもてなし、交流を広げられたことを高く評価していただけたのだと思います。漁師たちの本業は、もちろん漁業であり、観光のスペシャリストではありません。そんな漁師たちが中心となって、率先して取り組んできたからこそ、取り組みの成功や今回の受賞に繋がったのだと感じています。

-取り組みの中で、印象に残っていることは?

初めは取り組みに対して消極的だった漁師たちが、徐々に観光客と交流を深め、明るく元気に変わっていったことがとても印象に残っています。漁師の中には、震災によってつらい経験をした方も多くいます。以前は震災のことになると口を閉ざしてしまうことが多かった方も、自らその経験を話している姿を見て、この取り組みが地元の人々の心の復興にも繋がっているのかなと感動しました。

-取り組みによって変わったことは何ですか?

実は漁師たち自身、自分たちが獲った海産物をどんな人が、どのような表情をして食べ、どのような感想を抱いてくれるのか、知りたくてもあまり知ることができませんでした。しかし、取り組みによって多くの方が山田町を訪れ、漁師の日常に触れ、食だけでなくそのすべてに興味津々になってくれました。
「こんなに美味しいホタテは初めて食べた!」と言っていただけたり、子供たちがホタテの収穫を夢中になって眺めているその様子は、漁師たちの大きなモチベーションや新たな楽しみにもなっていきました。
取り組みによって生まれた交流は観光人口を増やすだけでなく、地域や漁師をはじめとする地元の人々のエネルギーにもなっていると確信しています。
また、海外からの観光客も増えてきており、日本人とは異なるリアクションやコミュニケーションは漁師にとっても初めての体験なので、楽しみながら交流を深めています。

-今後の活動展開や抱負を教えてください。

震災の影響もあり、まだまだ三陸地域には観光客が少ない状況ですので、周辺地域も含め山田町の知名度アップに継続的に取り組んでいきたいと思います。やがては「東北に行くなら山田町に行きたいね」「山田町の漁師に会いに行きたいね」と言ってもらえるのが目標です。そのために新たに計画している体験もありますので、楽しみにしていてください。
あとは、取り組みに参加してくれる漁師の数を増やしていければと思っています。私たちの取り組みは、山田町の漁師こそが主役であり、その協力なしでは考えられません。今後はもっと多くの漁師や地域の人々が一体となって、これまで以上に大きな交流を生み出し、観光客の皆さまに喜んでいただける山田町ならではの価値を創造していきたいですね。

受賞者の声1
受賞者の声2

「組織・団体部門」 その他受賞作品紹介

優秀賞
映画×文化×まち 新しいことをカタチに!日本最古級の映画館「高田世界館」の挑戦。NPO法人「街なか映画館再生委員会」

■取り組み内容

「高田世界館」をメインステーションとした取り組み。NPO法人「街なか映画館再生委員会」は地域の方々との協力をもとに設立された運営団体で、「高田世界館」の保存や上映活動を行っている。日本最古級とも言われる、稀有な歴史的産業遺産・有形文化財である「高田世界館」の魅力を活用・発信していくことで、映画館だけでなく、人々、街、周辺地域の賑わいを再生させることを目標としている。

作品はコチラ

優秀賞 映画×文化×まち 新しいことをカタチに!日本最古級の映画館「高田世界館」の挑戦。NPO法人「街なか映画館再生委員会」

優秀賞
JR三江線の廃止を乗り越え“天空の駅”一帯を廃線の聖地に
旧服部医院を再活用する会

■取り組み内容

2018年3月に廃線となったJR三江線の邑南町にある宇都井駅と口羽駅、その周辺施設一帯を観光と交流の拠点として盛り上げていく取り組み。宇都井駅は日本一高い駅舎で“天空の駅”と呼ばれ、周辺には邑南町宇都井の歴史を物語る旧服部医院が残されている。この宇都井駅と旧服部医院を中心に、周辺一帯の観光資源・資産を活用しながら、観光人口、交流人口の継続的な増加と地域を活性化させる取り組みを続けている。

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優秀賞 JR三江線の廃止を乗り越え“天空の駅”一帯を廃線の聖地に旧服部医院を再活用する会

選考委員特別賞
世界一ビールが楽しいまち遠野・ビールの里実現に向けた取り組み
株式会社BrewGood(ビールの里まちづくり協議会 事務局)

■取り組み内容

ビールの原材料に欠かせないホップの日本有数の栽培地である岩手県遠野市。56年の歴史があり、今も日本一の栽培面積を誇る一方、高齢化や後継者不足によって生産量は激減してきている。このような状況に酒造メーカーと遠野市はホップ農業衰退の解決を目指し、2015年からは「ホップの里からビールの里へ」というビジョンを掲げ、2018年10月からは「ビールの里構想」を持続的にマネジメントしていくための事務局「株式会社BrewGood」を設立。ホップ農業の未来だけでなく、地域全体を含めた活性化を目標に多角的な取り組みを行っている。

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選考委員特別賞 世界一ビールが楽しいまち遠野・ビールの里実現に向けた取り組み株式会社BrewGood(ビールの里まちづくり協議会 事務局)

04一般体験部門受賞作品紹介

【一般体験部門】最優秀賞
カールの次はカール
深瀬 惇(旅先:カルムイキア共和国)
インタビュー

■作品のあらすじ

18年前に訪れたカルムイキア共和国にあるチベット仏教の寺院で、筆者は一人の見習いの少年に出会う。それから年月が経ち、東日本大震災をきっかけに再び二人の交流がはじまる。東方の最初の仏教国で生まれた僧と、西方の最初の仏教国で生まれた筆者の交わりは、物理的な距離を超えて心を通じ合わせていく。

作品はコチラ

【一般体験部門】最優秀賞 カールの次はカール深瀬 惇(旅先:カルムイキア共和国)

■選考委員の評価のポイント

筆者自身が感じた情景や感覚の描写は想像力を大いに刺激し、旅へのモチベーションをかき立ててくれます。また、日本人なら誰でも印象深い東日本大震災を入れ込んだ構成で、読者を強く惹きつけました。手紙のやり取りを通じた筆者の感情表現も巧みで、旅情豊かにドラマチックに書きあげられている点も高く評価しました。

■受賞者の声

-最優秀賞受賞、おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください。

作品を評価していただいたことはもちろん大変光栄ですが、作品に関わる多くの関係者の皆さまにも今回の受賞を喜んでいただけると思いますので、自分のこと以上に嬉しく思います。今からどうやって皆に報告をしようか楽しみに考えているところです。

-ご応募のきっかけは?

旅先のカルムイキア共和国で出会った若い僧が、たった一度しか会ったことのない私の住む、行ったこともない遠い国のことを思い、仲間とともに深く祈りを捧げてくれている。彼は手紙で「私には祈ることしかできない」というけれど、それでは私には何ができるだろうかと考え、このような尊く感動的な事実を少しでも多くの人に伝えたい、知ってほしいという気持ちで作品を綴り、応募を決めました。

-作品に登場するドルジンさんへのメッセージをお聞かせください。

この賞は「ドルジンくん、あなたの賞だよ」と伝えたいですね。あの日あなたに出会えたことで交流が生まれ、お互いの境遇を慮り、日本のために祈り、そのすべてが今日のこの受賞につながっていると運命的なものを感じます。これでまた一段と絆が深まったと感慨深いものがありますね。

-深瀬さんにとって「旅」とは?

私にとっての旅は「永遠の学び」だと思っています。私が旅をする時は観光地を巡るのもいいですが、まずは現地の方と同じようなものを食べ、現地の方が集まる場所へ行き、現地の方と同じように時間を過ごすことを心がけています。そのため、時にはおなかを壊すことや苦労することもありますが、それ以上に貴重な経験や得がたい価値があり、その全部が学び・勉強になっていると思っています。
作品の中で描いたような交流も、現地の人に混じり、日常に触れ、その雰囲気の中を旅したからこそめぐり逢えた奇跡だと感じます。

-新しい旅への期待を教えてください。

次は過去に一年間住んでいたことのある香港を旅する予定です。これまで世界中のたくさんの国を訪れてきましたが、いつもその地域ごとに新鮮な学びがあり、いくら学んでも果てはありません。人に触れ、日常生活に触れ、文化や空気感に触れる。現地でしか出会えない交流体験の先には常に大きな発見と感動があります。次回の旅でも新たな学びに期待しています。

受賞の喜びを語る深瀬 惇さん
受賞の喜びを語る深瀬 惇さん
受賞者の声1
受賞者の声2

「一般体験部門」 その他受賞作品紹介

優秀賞
団塊ジジイのひとり旅
熊倉 省三(旅先:タイ)

■作品のあらすじ

団塊世代の筆者は「ジジイ心を満たす旅」をしようと、タイのロッブリーを訪れる。現地では青シャツのサムロー運転手の案内で、以前からに気になっていた「フォールコンの妻」の足跡をたどる旅をしていく。夕食で立ち寄った屋台で、青シャツの運転手と再会し、酒を酌み交わしながらたわいもない話で交流を深める。「フォールコンの妻」の話に語られる女性と「美しい精神」については、結局わからずじまいであったが、青シャツの運転手との話に垣間見た「美しい精神」にジジイ心は満たされていく。

作品はコチラ

優秀賞
白枇杷の木の下から
山田 幸夫(旅先:静岡県)

■作品のあらすじ

5月の連休が終わり、伊豆、富士を巡る旅へ。電車や車の旅ではなく、自転車の旅。楽ではないし、向かい風や峠道はつらく厳しい。しかし、自転車旅だからこその濃密な出会いもある。旅先の土肥で出会った同年代の男性、2人の男子大学生との交流は、思いもよらぬ未来へと繋がり、「旅」と「教育」を共通項にした4人は、ゆっくりと絆を深めていく。

作品はコチラ

優秀賞 白枇杷の木の下から山田 幸夫(旅先:静岡県)

05「ジュニア体験部門」のご紹介

小学生の部

最優秀賞
島バナナゆれて
阿部 恵(旅先:沖縄県宮古島)

■作品のあらすじ

鹿児島に住む筆者は、家族旅行で宮古島を訪れる。そこで触れた三線体験の折り、島民に古くから歌い継がれる歌の本当の意味を知ることになる。三線の先生の話、祖母の話、そして母の言葉に、島の今と昔を思う筆者。宮古島ならではの空気感の中、交流を通じて歴史を感じる貴重な体験が綴られている。

作品はコチラ

最優秀賞 島バナナゆれて阿部 恵(旅先:沖縄県宮古島)

優秀賞
おさんぽカヤック
稲田 紬季(旅先:和歌山県)

■作品のあらすじ

夏休みに出かけた和歌山県太地町でのシーカヤック体験をしたときのこと。カヤックのパドリング、イルカのジャンプ、磯での生物観察など、初めての経験にあふれたひと時が夏の思い出として豊かな感情表現と共に描かれている。

作品はコチラ

優秀賞 おさんぽカヤック稲田 紬季(旅先:和歌山県)

優秀賞
民泊バンザイ
黒川 芯吏(旅先:長崎県)

■作品のあらすじ

初めての民泊旅で長崎県五島へ来た筆者は、島のおじちゃん、おばちゃんとの出会い、交流、別れを通じてたくさんの体験をする。海の生物観察、ご当地料理、釣りや網引きなど、そこでしかできない貴重な経験と、民泊ならではの濃密な交流によって、成長を実感する。

作品はコチラ

優秀賞 民泊バンザイ黒川 芯吏(旅先:長崎県)

中学生の部

最優秀賞
自分ルーツの旅
阿美 慈英(旅先:鹿児島県徳之島)

■作品のあらすじ

母方の曽祖父の生い立ちや人となりに興味を持った筆者は、祖父母と母を誘い、曽祖父の故郷である徳之島伊仙町へと自らのルーツを探る旅に出る。結局島では曽祖父の詳細を知ることはできなかったが、帰りに寄った鹿児島で興味深い話を聞く。その話や祖母、母と曽祖父のイメージを重ねながら、自分のルーツである曽祖父への憧れと興味はますます大きくなっていく。

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最優秀賞 自分ルーツの旅阿美 慈英(旅先:鹿児島県徳之島)

優秀賞
車イスを押して横浜
橋本 翔右(旅先:横浜)

■作品のあらすじ

筆者と母、そして車イスに乗る父と横浜へ家族旅行に行くことになった。車イスを押しながらの道中、様々な苦労やハプニングに遭いながらも、母や出会う人と力を合わせて旅は続く。駅員や見知らぬ人々との交流の中で多くの優しさに触れ、今度は筆者自身が人に優しく、人の助けになりたいと強く心に誓う。

作品はコチラ

優秀賞 車イスを押して横浜橋本 翔右(旅先:横浜)

優秀賞
俳句と小諸とわたし
田中 茉莉(旅先:長野県)

■作品のあらすじ

「虚子・こもろ全国俳句大会」の入選をきっかけに小諸を訪れた筆者。当日句の作句のために小諸各地を巡る。小諸城址「懐古園」、懐古神社、富士見展望台、高濱虚子記念館、北国街道沿いの商家や土蔵など、それらの風景やそこでの交流を通じて、小諸との縁を深めていく。

作品はコチラ

優秀賞 俳句と小諸とわたし田中 茉莉(旅先:長野県)

「旅」を通じて繋がる人と人、そして地域の未来。JTBグループは、JTB交流創造賞を通じてこれからも国内外を問わず、様々な交流の広がりと地域の発展を支援していきます。皆さまもぜひご応募ください。

第15回JTB交流創造賞の受賞・入賞作品ならびに過去作品は「JTB交流創造賞WEBサイト」からご覧ください。

※社名・肩書きは取材当時のものです。

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