2018年の旅行動向見通し

JTBは、2018年の旅行市場についての見通し調査の結果をまとめました。

国内旅行

※訪日外国人旅行者は除く、日本居住者の国内旅行

国内旅行人数は3億1,120万人(前年比+1.8%)、平均消費額は34,700円(前年比▲1.4%)、国内旅行消費額は10兆8,000億円(前年比+0.4%)と推計

2018年の国内旅行は景況感の改善や休暇取得の促進効果も期待ができ、旅行人数は増加が見込まれます。平均消費額については、訪日外国人の民泊利用などにより都市部を中心に宿泊施設の混雑緩和が想定されること、節約志向に加えて安価な交通手段としてのLCCの利用が定着したこと、そしてホテル、旅館以外にも様々なタイプの宿泊施設が登場し、安く旅行をするための選択肢が増えていることなどから、昨年より微減と推計します。
当社によるアンケートで2018年の国内旅行の回数を聞いたところ、「回数は増える」と回答した人が若い年代(15歳~29歳)で多くなる一方で、シニア層(60~79才)で「回数は減る」と回答した人は23.1%で、前年より1.5ポイント増加しており、シニア層の旅行意欲が他世代より少ないことも単価を下げる要因になると考えられます。

多様な宿泊施設の登場

2020年に向けてホテルの開業が続いていますが、2018年は「ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄」が夏に「イラフ SUI ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄宮古」が年内にとハイグレードなホテルの開業が予定されています。一方、豪華なカプセルホテルやお洒落なバーを備えたゲストハウスなど安価ながらもホテルとは違う滞在を楽しめる宿泊施設も増えています。実際簡易宿泊所の数も年々増加しています(2014年26,349軒、2015年27,169軒、2016年29,559軒、厚生労働省調べ)。
また近年は、古民家や歴史的建造物を活用した宿も増え、その地に伝わる生活文化の体験が旅行者の関心を集めています。一例として2018年の春にワコールが京都の町家を改装した宿泊施設「京の温所(おんどころ)」を、日販が保養所を改装したブックホテル「箱根本箱」を開業する予定です。多様な宿泊施設の出現は、滞在方や料金の選択肢を広げるだけではなく、旅行の動機にもつながっているといえそうです。

観光列車の人気が続く

観光列車の人気が続いています。2017年に登場した豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」や「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は、料金が高額で乗客数にも限りがあるものの、数か月先まで満席の状況です。最近は、現美新幹線のように美術鑑賞を楽しめる列車や、短い時間で沿線地域の食材を楽しむことのできる観光列車も各地に増えています。またサイクルトレインのように愛用の自転車を載せて旅する列車も登場し、目的地である地域での体験につながる様な列車も登場しています。2018年も鉄道の旅に話題が集まりそうです。

明治維新150年でゆかりの地でイベント開催

2018年は明治維新から150年となり、2017年の大政奉還150年に続き、佐賀で「肥前佐賀幕末維新博覧会」、鹿児島で「かごしま明治維新博」などゆかりの地でイベントが開催されるとともに、大阪、京都など各地でキャンペーンが予定されています。

NHK大河ドラマの舞台は、鹿児島

2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん(せごどん)」は鹿児島が主たる舞台で注目が集まりそうです。2008年のNHK大河ドラマ「篤姫」の放送時には生誕の地である鹿児島が人気となりました。鹿児島県の観光統計資料によれば、2008年1年間の鹿児島県への観光客数は、宿泊と日帰りを合わせて5,206.1万人となっており前年と比較して4.8%の増加となっています。

瀬戸大橋開通30周年で瀬戸内地方に注目

2018年は瀬戸大橋が開通して30周年となります。近年、瀬戸内地方では、「しまなみ海道」がサイクリングコースとして国内外で有名になったり、瀬戸内海を周遊する宿泊型の和風客船が就航したりするなど、新しい動きがあり、瀬戸大橋30周年の周年イベントとともに、2018年も瀬戸内地方に注目です。

海外旅行

海外旅行人数は過去最高であった2012年に次ぐ1,820万人(前年比+1.7%)、平均消費額は243,100円(前年比+0.5%)、海外旅行消費額は4兆4,200億円(前年比+2.1%)と推計

2017年の日本人の出国者数は、1月から11月までの累計で対前年比4.8%増の1,642万人となり、ほぼ毎月、前年同月を上回って推移しました。2016年の年末は0円だった燃油サーチャージが2017年の2月から復活しました。2018年の2月にも再度の値上げが予定されていますが、2017年2月以降の海外旅行者数にも影響が少なかったことから、当面、影響は限定的であると考えられます

LCCは海外旅行においても旅行費用の節約を後押しする存在へ。国際線の新規就航も活発に。

LCCは、アジアを中心に国際線の路線も増え、安価な交通手段として、また、地方空港から直接海外に行く手段として定着してきました。LCC以外の航空会社の新規就航も活発で、エア・カナダが、6月2日より成田~モントリオール間に直行便を就航、フィジー・エアウェイズが7月3日より成田~フィジー(ナンディ)線に新規就航を予定しています。またエールフランスは、2018年夏期スケジュールで日本路線を週40便(2017年冬期は週35便)に増便すると発表しています。

海外旅行先は長い目で見れば近距離シフト

JTB総合研究所による「海外旅行実態調査」から2000年以降の海外旅行先の変化を見てみると、同じような出国者数でも行き先の構成は大きく変わってきています。2000年時点では40%にも満たなかったアジア地域(東アジア、中国、東南アジアの3地域の合計)は、2016年は57.3%と6割近くとなり、LCCを含むアジアへの航空路線の拡大等を背景に、年々シェアを伸ばし続けています。前述のとおり欧州や北米などの路線拡大の動きも見られますが、2018年もアジア中心の傾向が続くと思われます。

クルーズ人気の継続

2016年の日本人のクルーズ人口は前年比12.4%増の24万8,000人で、過去最多となっています。外国船の寄港も増加し、日本人の海外クルーズ旅行も定着してきました。フライ&クルーズや安価なクルーズ旅行も増え、富裕層やシニア以外にも利用者が広がり、2018年も引き続きクルーズ人気は続くと考えます。

海外でのスポーツイベントの開催

2018年は、2月~3月に韓国平昌で、2018冬季オリンピック・パラリンピックが開催され、6月にサッカー・ワールドカップ ロシア大会、7月にアメリカ・サンフランシスコで「ラグビーワールドカップ・セブンズ2018(7人制ラグビー)」が開催されます。また、人気プロ野球選手の米大リーグへの入団が決まり、チームの本拠地が日本人にとってなじみのあるテーマパークがあるアナハイムということで、米大リーグ関連の報道も増えそうです。スポーツを観戦するための旅行はもとより、選手の活躍が日本で報道されることで、開催地の注目も高まりそうです。

訪日旅行

訪日外国人旅行者数は3,200万人(前年比+12.3%)と推計

2017年は、9月に訪日外国人旅行者数の累計が過去最速で2,000万人を突破しました。11月の訪日外国人旅行者数は237.8万人となり、1月~11月の累計で2,616.9万人(対前年比+19.0%)となっています。国別にみると、人数では中国が最多で、韓国が続きます。伸率では、韓国が平均40.6%と大きな伸びを見せています。インドネシア、ベトナムも30%以上の伸率となり、アジア経済の好調さを反映しています。国は2020年に訪日外国人旅行者数4000万人の達成に向け「明日の日本を支える観光ビジョン(2016年)」に沿って空港や港湾、鉄道などのインフラ整備、デジタルマーケティングの本格導入、欧米を中心とした富裕層向けの対応など環境整備を進め、2018年も順調に訪日外国人旅行者は増加すると考えられます。
しかしながら、2017年に大きく増加した韓国からの旅行者の伸びは、2018年にはやや落ち着くこと、また、10月現在で前年より半数近くまで落ち込んでいる中国からの韓国への旅行者数の回復も想定され、訪日外国人旅行者数は3,200万人(前年比+12.3%)となると予測します。

※出典:韓国文化観光研究院

リピーターや個人旅行者を中心に民泊利用が進む

2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行となり、民泊が全国で解禁になります。JTB総合研究所が2017年に実施した調査結果では、台湾からの旅行者の19%、韓国からの旅行者の13.9%が民泊利用経験ありと回答しました。マンスリーホテルと民泊とのハイブリッド型宿泊施設など、新しい形態の宿泊施設を作る動きも活発化しています。また、中国や台湾などの民泊仲介サイトや世界大手のオンライン旅行予約サイトとの連携なども進み、2018年以降における訪日外国人の民泊利用の伸びが見込まれます。

免税制度の改正でショッピング気分の盛り上がりに期待

2017年10月から訪日外国人が酒蔵やワイナリー、蒸留所で購入した酒類について、酒税や消費税を免除する制度が始まっています。2018年7月からは、これまでそれぞれ5千円以上の購入が対象であった食料品などの消耗品と家電などの一般物品が、合算で5千円以上であれば消費税が免税となります。免税制度の改正で日本滞在中の消費の増加が期待されます。

AIやVRなど新しい技術を活用したサービスがより快適な訪日旅行を実現

ICTの進化に伴い、AIやVR(仮想現実)などICTを活用した様々なサービスが増えてきました。対話型AIを利用した浅草での観光案内、成田空港ではスマートフォンを通じ、多言語に対応したAIとのチャットで空港の施設情報や周辺の観光案内などを知ることができるサービスが開始されています。また、観光庁はVRやAR(拡張現実)などを使い、地域の隠れた観光資源を体験してもらい、実際に足を運んでもらうための取り組みを始めました。今後も、新しい技術を活用した新しいサービスが訪日旅行の魅力を広げそうです。

滞在中のストレスを軽減するサービスの登場

訪日外国人旅行者数の増加により、外国人が滞在中に不便や不満を感じていることを軽減するためのサービスをビジネスとして展開する動きが増えてきました。スーツケースなどの大型手荷物を宿泊施設まで運ぶサービスや、ICTやアプリを利用した通訳機能や多言語対応、ナイトライフを手軽に楽しんでもらうためのコンテンツ開発などがあげられます。今後も2020年に向けて、訪日外国人旅行者に関する様々なサービスがビジネスとして誕生していくと思われます。

フリーパスなど企画乗車券の拡充やインフラ整備で地方への足が便利に

東北と北海道函館市に路線を持つ鉄道事業者13社が今年1月から発売している「東北・函館ローカル鉄道共同パス」など、訪日外国人旅行者向けの企画乗車券が増えてきました。JTB総合研究所の過去の調査結果から、訪日回数が増えるほど、地方を訪れたい意向が強くなる傾向があることがわかっています。鉄道駅の多言語表示やWi-Fiなどのインフラ整備も進んでおり、各地へと足を延ばす訪日外国人旅行者も増えそうです。

ニュースリリース

※社名・肩書きは取材当時のものです。

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