~第7回~ ユニバーサルデザインの重要性

二宮清純スペシャルコラム

~第7回~ ユニバーサルデザインの重要性

2020年東京オリンピック・パラリンピック開幕まで、あと2年5カ月です。それに伴い、「ユニバーサルデザイン」という言葉に注目が集まるようになってきました。皆さんも、一度は耳にしたことがあるでしょう。ユニバーサルデザインとは、障がいの有無や年齢、性別、人種などにかかわらず、たくさんの人々が利用しやすい施設や製品、システムのことを指します。

国内施設として広島の本拠地マツダスタジアムがユニバーサルデザインのスタジアムとして高い評価を得ています。一例をあげれば収容人数3万3000人のうち車椅子席は142席。0.43%という数字はプロ野球12球団の本拠地の中で最高です。加えて人工肛門や人工膀胱を造設した人のためのオストメイト対応型トイレも12カ所設けています。

同スタジアムの設計を手掛けた環境建築家の仙田満さんはこう語っていました。
「私は眼鏡をかけています。眼鏡を掛けなければ字が読めない。つまり、ほとんど誰もが障がい者で、またいつかは障がい者になりえるんです。だからユニバーサルデザインはこれからのスポーツ施設だけでなくて、集客性にもつながるので経済的な効果もあると考えています。工事費からすれば、スロープよりもエレベーターの方が安い。でもそれ以上のお客さんを集める貢献度が考えられます」

エレベーターよりもスロープという視点は新鮮でした。仙田さんはその理由について「スロープなら障害者の車椅子を健常者が押したり、お年寄りと連れ立って歩くことでコミュニケーションが生まれ、多様性も確保できます」と語っていました。歩き、話し、支え合う―。これもスポーツ観戦の魅力のひとつと言っていいでしょう。

オリンピック・パラリンピックに話を戻しましょう。国際パラリンピック委員会(IPC)のガイドラインによれば、車いす席はオリンピック会場の0.75%、パラリンピック会場の1~1.2%が望ましいとされていますが、オリンピック会場について言えば、既存施設の8割が基準を満たしていないというデータもあります。このガイドラインについていえば、法的拘束力こそないものの、開催都市の民度をはかる上で、重要な指標になっていることは言を俟ちません。

JTBは「Tourism for All」を合い言葉に、ユニバーサルツーリズムを推進しています。
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※社名・肩書きは取材当時のものです。

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