誰でも参加できるパラスポーツ運動会をサポート -前編-

企業・自治体・大学向け運動会「あすチャレ!運動会」に協賛

ENGLISH

JTBは2016年9月、企業・自治体・大学向け運動会「あすチャレ!運動会」への協賛をスタートしました。「あすチャレ!運動会」はパラスポーツを「リアル」に体感してもらい、そこから生まれる「気づき」を提供する日本財団パラリンピックサポートセンターが主催するプログラムです。そのユニークな中身を2回にわたってお伝えします。

誰でも参加できるパラスポーツ運動会をサポート -前編-

パラスポーツ体験から生まれる様々な気づき

参加者全員が初心者の運動会

「あすチャレ!運動会」は一般的な運動会にパラスポーツをとり入れた企業・自治体・大学向け運動会プログラムの新しいかたち。ボッチャ・ゴールボールなどのパラリンピック公式競技をはじめ、まだあまり知られていない多様な競技を体験することができます。

「あすチャレ!運動会」

「あすチャレ!運動会」 ブラインド競技や車いす競技などのパラスポーツにチャレンジする法人向け運動会。パラスポーツ体験を通じて社会にある様々なバリアに気づくと同時に、バリアを克服するための豊かなコミュニケーション、チームの結束力を醸成します。

https://www.parasapo.tokyo/asuchalle/undokai/



01プログラム内容

JTBは2016年9月から「あすチャレ!運動会」のプログラム開発のサポートに取り組み、11月から企業や大学などに実際に運動会を体験してもらうトライアルを繰り返してきました。日本体育大学で開催した様子をご紹介します。

選手宣誓

車いすに乗った人も交えて選手宣誓。このあと、ラジオ体操で身体をほぐします。

選手宣誓


あすチャレ!アイスブレイク(ブラインドグルーピング)

実際の競技に入る前に、あすチャレ!アイスブレイクと題しブラインド状態で行うオリジナルのアイスブレイクプログラムに挑戦してもらいます。そのひとつ、ブラインドグルーピングでは、見えない状態でグループ分けを行います。MCが呼びかける血液型や出身地などのお題に従って仲間を集めますが、みんなで叫び合ってしまって混乱状態に。その後、呼びかけ方を工夫する人が増えていき、なんとかグループ分けに成功しました。

あすチャレ!アイスブレイク(ブラインドグルーピング)


ゴールボール

アイシェードと呼ばれる目隠しを装着し、全盲状態でプレー。3対3で鈴の入ったボールを投げ合ってゴールを狙う競技。選手はボールが向かってくる音を頼りにブロックします。繊細な音を聴き分けられるように、競技者以外は静かに観戦します。慣れてくると音に反応できるようになっていきました。

ゴールボール
ゴールボール


ボッチャ

ジャックボールと呼ばれる白い目標球を投げたあと、赤いボールと青いボールを6個ずつ投げ合い、ボールをよりジャックに近づけたチームが勝ち。手で投球できない場合は、「ランプ」と呼ばれる滑り台のような投球補助具を使ってボールを転がすことも可能な競技です。戦略が問われるゲームで、みんな夢中になって楽しみました。

ボッチャ
ボッチャ


シッティングバレーボール

床にでん部の一部が接触した状態でプレーするバレーボール。一般のバレーボールよりも低いネット、狭いコートで行います。高いボールに対応しようとすると、分かっていてもついお尻が浮いてしまいます。試合が進むにつれて素早く動くコツをつかみ、ラリーが続くようになりました。新鮮なプレー感覚に盛り上がっていました。

シッティングバレーボール

車いすポートボール

バスケットボールに似たポートボールを車いすに乗って行ないます。ボールを持って移動できるのは連続2こぎまで。3回以上こぐとトラベリングになります。初めは車いすの操作に悪戦苦闘していましたが、少しずつキビキビと動けるようになっていきました。

車いすポートボール
車いすポートボール


車いすリレー

運動会の花形競技であるリレーも車いすに乗って行います。みんなが未経験の中で、意外な人が思いもよらない速さを見せるなど、予測のつかないおもしろさがあります。

開会直後は、「一体何が始まるのだろう」と、幾分不安げな雰囲気もありましたが、プログラムが進むにつれて「次はどんな競技ができるの?」と期待感が高まっていくのが分かりました。最終的にはみんなが目を輝かせ、笑顔の絶えない運動会になりました。

車いすリレー
車いすリレー

02JTB担当者の思い

パラスポーツファンが生まれるきっかけづくりに寄与したい

大人が参加できるパラスポーツイベントを

JTBスポーツビジネス推進室 推進担当マネージャー オリンピック・パラリンピック担当 小林正太郎
JTBスポーツビジネス推進室
推進担当マネージャー
オリンピック・パラリンピック担当
小林正太郎

日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)の自治体・法人・大学向け運動会「あすチャレ!運動会」において、JTBグループはこの「あすチャレ!運動会」への協賛に加え、プログラムの開発や運営、事務局窓口などもサポートしています。協賛のきっかけは2016年6月頃です。パラサポ様はすでに小中高校生向けのパラスポーツ体験型授業「あすチャレ!School」や大人向けには障がい者が講師となって行うコミュニケーションセミナー「あすチャレ!Academy」を展開していますが、大人がパラスポーツそのものを体験できる新たなプログラム開発を課題としていました。JTBグループは、年齢、性別、国籍、障がいの有無などにかかわらず、お客様が快適に旅行を楽しめる様々なユニバーサルツーリズムの提供実績があるほか、企業向け運動会を長年手がけてきたこともあり、運動会というかたちで大人が参加できるパラスポーツイベントの開発に関わることになりました。

プログラム開発にあたっては、大勢の参加者がバラエティ豊かな競技を楽しめることを重視しました。多くの参加者にとって初体験となる競技ばかりなので、ルールやプレーの要点をスムーズに理解してもらえるように説明方法を試行錯誤しました。加えて、初めてでもゲームとして楽しめるように、例えば車いす競技では、バスケットボールだとなかなかゴールが入らないため、ポートボール形式にすることで競技性を高めたり、競技者だけでなく周囲で応援する参加者に対しても、パラスポーツ独特の応援方法をレクチャーするなど、全体で気づきを与えられるプログラムを追求してきました。企業や大学などにご協力いただいてトライアルを繰り返すなかでプログラムをブラッシュアップし、どの競技も短時間でルールを理解ができ、誰もが楽しめる内容に仕上がったと思います。

誰もが楽しめる平等な環境の運動会

「あすチャレ!運動会」には一般の運動会と異なるいくつかの特長があります。第1の特長は「誰もが活躍できるインクルーシブな運動会」であることです。一般の運動会では、通常は競技経験者や身体能力に優れた人が活躍します。一方、「あすチャレ!運動会」では、参加者の多くが初めての競技に挑戦するため、実力差のないフラットな状態で競い合い、みんなで楽しむことができます。さらに、ブラインド状態や足を使わないなどの要素が加わることから普段の運動能力が反映されにくくなり、誰が活躍するか分からないという状況が生まれます。これが盛り上がる要因となります。トライアルでのアンケートでも好評をいただいており、「想像していたよりも楽しかった」「新しい感覚だった」「みんなで楽しむことができた」との声が多く聞かれています。

第2の特長は「コミュニケーション」が非常に重要であることです。ブラインドをはじめとする様々なバリアの中でチームワークを発揮するために不可欠なのはコミュニケーション力です。コミュニケーションがうまくいくとパフォーマンスが目に見えて向上します。積極的に声をかけ合い、また手を取り合って助け合いながら、緊密なコミュニケーションを経験する時間は、チームビルディングにもとても有効だと思います。

第3の特長は様々な「気づき」が生まれることです。リアルな体験を通して、障がい者が向き合っているバリアはこういうことだったのかと実感をもって理解することができます。「あすチャレ!運動会」を体験したあとは、日常生活におけるバリアの存在にもより敏感になるはずです。障がい者との接し方にもより配慮できるきっかけになるかもしれません。そして、私も実際に「あすチャレ!運動会」に参加して得た気づきですが、パラアスリートたちがいかにすごいことをやってのけているかを実感できます。パラアスリートへのリスペクトが自然に生まれ、パラリンピックをはじめとしたパラスポーツへの関心も高まっていきます。

誰もが楽しめる平等な環境の運動会

パラスポーツを心から楽しむ観客を増やす

一度体験するとパラスポーツの印象はがらりと変わります。パラスポーツはとてもかっこいいものであり、大きなポテンシャルを秘めたジャンルであることが分かります。あるセミナーで、パラアスリートの大きな願いは競技が世に知られることだという話を聞きました。パラアスリートたちのモチベーションを何よりも上げるのは、応援してくれる観客です。パラスポーツに限らずスポーツには声援を送るタイミングなどそれぞれに特有のマナーがあります。選手と観客が一体となって、そのスポーツが一つの文化となっています。

東京2020パラリンピックでは、パラスポーツを理解し、そしてパラスポーツを愛する多くの方に観戦していただきたいと願っています。世界中から集まったパラアスリートたちに「東京のオーディエンスは最高だった」と思ってもらえたら、これは世界に誇るレガシーになります。パラスポーツを見る目を変える「あすチャレ!運動会」を一人でも多くの方に体験していただくことで、東京2020パラリンピックがよりすばらしいイベントになると信じています。そして、パラリンピックをきっかけにしたパラスポーツのムーブメントは、障がい者と健常者との間の垣根をなくすという理想的な社会の実現に大きく寄与することでしょう。


※肩書きは取材当時のものです。
※トライアルの内容は実際のプログラムと異なることがあります。

あすチャレ!運動会

続きを見る