世界を目指す!JTBで働くアスリート

JTBはスポーツ領域で様々な取り組みを行っています。身近なところからスポーツ界へ貢献したい、そして、競技を通じた交流を創造していきたいと私たちは考えています。その取り組みのひとつに、競技に挑むアスリートのサポートがあります。スポーツに真摯に向き合い、観る者に感動を与えるアスリートたち。JTBグループでは、彼らを直接雇用し共に働きながらサポートする取り組みも実践しています。共に歩み、交流文化を目指す、JTBで働くアスリートを紹介します。

小池岳太選手

JTBコミュニケーションズ 総務局在籍
競技:障がい者スキー競技 アルペンスキー パラサイクリング

1982年長野県岡谷市生まれ。20歳時のオートバイ事故により左腕麻痺の障がいを受傷。大学2年時からアルペンスキーを始め、冬季パラリンピックに3度出場。最高位は2010年バンクーバー大会および2014年ソチ大会の9位。2014年からは自転車競技にもチャレンジしている。

2014年11月からJTBコミュニケーションズ 総務局所属となった小池岳太選手
2014年11月からJTBコミュニケーションズ 総務局所属となった小池岳太選手

障がい者スキーと自転車競技に取り組むトップアスリート

JTBコミュニケーションズ 総務局に在籍する小池岳太選手は、障がい者スキー競技 アルペンスキーで過去3回のパラリンピック大会に出場しています。小池選手が取り組むアルペンスキーは、「回転」「大回転」「スーパー大回転」「滑降」「複合」の5種目から成ります。

「最も高速な滑降種目では、スピードは時速120kmにも達します。いかにその時の雪質に順応し、身体のパワーをスピードに変えられるか。スピードに乗って水の流れのようにスムーズに降りていけるかが勝負のカギです。そこに競技としてのおもしろさを感じています。」

2014年夏からは、スキーの練習の一環として取り組んできた自転車についても競技として取り組み始め、2016年のリオデジャネイロ、2020年の東京パラリンピック出場を目指しています。スキーと自転車には競技としての共通点も多いと小池選手は話します。

「どちらも短時間の無酸素運動で、短時間に自分の限界に挑戦するスポーツです。パフォーマンスをうまく発揮できた時のスピード感はたまりません。スキーは重力を利用し、遠心力も前進エネルギーに変えることができますが、自転車の原動力は自分の力のみ。3分間をフルパワーで漕ぎ続けるための科学的なトレーニングが不可欠です。30秒間の全力走行を10本行うトレーニングは、選手が苦しさのあまり吐いてしまうほど過酷です。」

絶望のどん底に光を差した障がい者スポーツ

小池選手は20歳の時にオートバイ事故に遭い、左腕の神経が脊髄から断裂する大けがを負い、左腕麻痺の後遺症が残りました。日本体育大学でサッカーのゴールキーパーとしてプロを目指していた小池選手にとって、それは受け入れがたい現実でした。

「突然将来への夢を諦めざるを得ない状況になり、がく然としました。肩の周りの筋肉がすべて動かなくなってしまったので、ちょっとした衝撃で肩が脱臼してしまいます。ジョギングすらできず、プロの道どころかもうスポーツを楽しめなくなったことを知り、絶望のどん底に落とされました。」

ところが、そんな中にも幸運がありました。通常は数年待つことも多い神経接合手術を受傷後間もないタイミングで受けることができたのです。

「半年間の入院中に4回、退院後に1回の計5回の手術を受け、胸の筋肉の神経を腕に移植することができました。その後、リハビリを重ねることで上腕部を少しだけ動かせるようになり、脱臼も防ぐことができるようになりました。実は左腕は左胸の筋肉を動かす感覚で動かしています。左腕をつねると左胸を痛いと感じます。人体の神秘と現代医療のすごさを日々実感しています。」

小さな希望が見えてきた時に、大学の教授が障がい者スポーツの存在を教えてくれました。

「教授に『お前、スキーはできるか』と聞かれ、私は反射的に『サッカーと同じくらい得意です!』と答えました。そうか、またスポーツができるんだと思い、本当にうれしかったです。以来、冬場はスキー漬け、夏場は自転車を中心とした体作りに一貫して取り組み、国際大会への挑戦を続けています」

※肩書きは取材当時のものです。

スポーツ文化の向上に寄与したい

「競技も仕事も粘り強く頑張りたい」と話す小池選手
「競技も仕事も粘り強く頑張りたい」と話す小池選手

小池選手は日本オリンピック委員会(JOC)のアスリートの就職支援制度「アスナビ」を利用して、2014年11月にJTBコミュニケーションズへ入社しました。4月から9月の夏季期間は週3日程度、海外遠征が多い10月から3月は月1~2回の出社で業務にあたっています。

※「アスナビ」は、世界を目指す現役トップアスリートの就職支援ナビゲーション。競技活動に専念できる環境を整えるために、企業からの支援・採用を望むトップアスリートと、採用を検討する企業側、双方にメリットがある環境を実現させることを目的としている。

http://www.joc.or.jp/about/athnavi/

「昨年、ソチ大会を最後にあるスポンサーとの契約が満了となり、競技を継続するための道を模索しました。今の私があるのは、手術を受けられた幸運に加え、新たな道を示してくださった教授やいつも厳しく叱咤激励してくださるトレーナーら多くの方々のおかげです。そんな皆さんに報いるために私ができるのは、競技で結果を出すこと。アスリートとして活動していくことは自分の使命だと考えています。また、パラリンピアンとしての経験を生かして社会に貢献できる仕事をしたいとも考えていました。そんな私にとって、アスリートそして社員としての両面の価値をJTBコミュニケーションズに見出してもらえたことは本当にありがたいことです。」

小池選手は出社日も効率的にトレーニングするために自宅から会社までの60km以上を自転車通勤しています。自宅を6時に出て1時間半かけて都心のスポーツジムへ行き、30分~45分の筋力トレーニングをします。そして2度目の朝食を摂った後、9時半に出社。退社後もスポーツジムで汗を流してから自転車で1時間半かけて夜11時頃に帰宅します。週に1日を休養と姿勢矯正などの身体のメンテナンスに充てていますが、それ以外は早朝から夜までハードなトレーニングに打ち込んでいます。

「自分は才能やセンスがあるアスリートではありません。ですから人一倍練習が必要です。粘り強く、やり通す。それが、私が強くなる唯一の方法だと思っています。」

小池選手の業務内容は多岐にわたります。会社で書類作成や備品管理などの庶務をこなすほか、学校などでの講演やスポーツイベントへの参加などを通じて障がい者スポーツの啓蒙活動に力を入れています。また、JTBグループのイントラネットを活用してパラリンピアンの合宿や遠征の様子をリポートし、移動や宿泊、食事などの生の情報を伝えています。

遠征先での小池選手
遠征先での小池選手

「私のミッションはパラリンピアンという立場でスポーツ文化の向上に寄与することだと考えています。障がい者スポーツには、足に障がいがある人が手で漕ぐハンドサイクルという自転車競技や、脳性麻痺の人が行うカーリングに似たボッチャという競技などさまざまな種目があります。まずは、障がいがあっても取り組めるスポーツがあることをみなさんに知っていただきたい。健常者の方に私たちが一生懸命に取り組む姿を見てもらうことで、自分にもできるスポーツがあるはず、自分なりにスポーツを楽しんでみたいと思ってもらえたらうれしいです。障がい者スポーツには、普段あまりスポーツをしない人に“スポーツは身近なもの”という気づきを与える働きがあります。生活にスポーツを取り入れることで健康増進をはかり、毎日の暮らしはより楽しく豊かなものにできます。障がい者スポーツに取り組み、啓蒙していくことで、豊かな社会を実現する一助となればと考えています。」

スポーツには交流を生み出す力がある

JTBコミュニケーションズ 総務局 チーフプロデューサー 上埜洋平と同アシスタントプロデューサーの後藤由希子
JTBコミュニケーションズ 総務局 チーフプロデューサー 上埜洋平と同アシスタントプロデューサーの後藤由希子

総務局チーフプロデューサーの上埜洋平は、小池選手を採用した理由について話します。

「当社およびJTBグループが今後スポーツ事業に力を入れていく中で『アスナビ』から小池さんを紹介いただきました。採用にあたっては、“スポンサード”ではなく、ひとりの社員としてJTBグループとともに長期間に渡って成長してもらえる社員を望んでいました。面談時の小池さんは『障がい者スポーツの祭典で金メダル』という目標はもちろん、『障がい者スポーツの振興』といった社会人としての目標が明確だったので、ぜひ一緒に働いてほしいと思いました。」

JTBコミュニケーションズの経営理念は「あらゆる『交流』の場において、新しいコミュニケーションを創造し、人と社会の活性化に貢献する」。この理念と小池選手が目指す目標が一致していると上埜は話す。

「小池さんは障がい者スポーツというテーマの先にあるコミュニケーションをしっかりと見据えています。現役中だけでなく、引退後も当社で活躍できる人財だと確信しました。最近は営業や企画立案にも参加してもらい、彼の視点を具体的に活かそうと動いています。障がい者スポーツの第一線で活躍するアスリートならではの発想と独自の人脈を生かして、事業の創造、拡大にも貢献してほしいと期待しています。」(上埜)

同アシスタントプロデューサーの後藤由希子は、いまどき珍しいくらいの好青年だと話します。

「スポーツで培った実直さが全身にあふれていて、もう少しフランクでもいいのにと思うほど、他の社員にも礼儀正しくきちんとしています。先日、大学生の前でスピーチしてもらったのですが、話が的確で学生からの評判が非常によくて驚きました。人を惹きつける不思議な魅力があります。」

JTBでは、すでに障がい者スキー大会の観戦ツアーや足が不自由な人のためにチェアスキー体験教室など、形になりつつあるプロジェクトもあります。

最後に、小池選手はこう話します。
「交流を創造していくことを事業とするJTBグループの一員として働けることに、大きな可能性を感じています。スポーツには交流を生み出す力があります。また、スポーツを通じた交流こそ、スポーツ文化の向上の大きなエネルギーになると信じています。アスリートとして結果を出すこと、そしてスポーツで交流を増やしていくこと。このふたつを着実に実現していきたいです。」

2018年平昌パラリンピック、2020年東京パラリンピックで金メダル獲得という高い目標を掲げる小池選手。持ち前の粘り強さを武器に、チャレンジが続きます。

※肩書きは取材当時のものです。

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